「「姉妹」すなわち「お母さんが一緒」という、切っても切れない人間関係」お母さんが一緒 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「姉妹」すなわち「お母さんが一緒」という、切っても切れない人間関係
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3姉妹が、ひたすら口喧嘩を繰り広げるだけの物語だが、限定された空間での、いかにも演劇的な展開や台詞回しが楽しめる。
姉妹の割には、あまり顔が似ていないなと思っていると、そのことも、しっかりとネタになっていて、キャスティングの妙に唸らされた。
そうした、一重とか二重とかの容姿のことだけでなく、結婚とか出産とかといった、男性よりも女性の方がナーバスになりがちな問題も、上手く喧嘩の中に取り入れられていて、姉妹が抱える確執の「あるある」に、思わず納得してしまった。
事あるごとに母親の悪口を言って、いかにも嫌っているように見えても、姉妹の誰もが、母親の誕生日を祝い、喜んでもらうために一所懸命で、結局、母親のことが大好きなんだというところも面白い。それと同時に、罵り合っている姉妹も、「お母さんが一緒」という、切っても切れない絆で結ばれているということがよく分かる。
せっかく温泉旅館に来たのに、一向に温泉に入ろうとしなかった彼女たちが、一夜明けて、ようやく朝風呂に浸かり、すべてのわだかまりを洗い流すという展開も、ベタではあるが、よくできていたと思う。
常に姉妹たちの話題の中心だった母親の顔を、最後まで見せなかったのは、敢えて狙って、そうしたのだろうが、観客が、描かれないことを脳内で補完する「演劇」だったなら、自分なりの母親像をイメージできて、効果的だったに違いない。
ただ、よりリアルさを重視する「映画」であるならば、最後に思いがけない女優が母親として登場するという、そんなサプライズがあってもよかったのではないかと思ってしまった。
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