「「過去に出会った女たちを列挙してみた」みたいな、モテる男は辛いよにも見えてくる不思議」WALK UP Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
「過去に出会った女たちを列挙してみた」みたいな、モテる男は辛いよにも見えてくる不思議
2024.7.1 字幕 アップリンク京都
2022年の韓国映画(97分、G)
娘のために旧友のアトリエに来た映画監督を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本はホン・サンス
原題は『탑』で「タワー(塔)」という意味、英題は『WALK UP』で「歩いて昇る」という意味
物語の舞台は韓国のどこか
映画監督のビョンス(クォン・ヘヒョ)は、娘ジュンス(パク・ミソ)とともに、インテリアデザイナーの旧友へオク(イ・へヨン)の自宅を訪れていた
ジュンスはインテリアデザイナー志望だったため、ビョンスは何かの参考になるのではないかと考えていた
へオクはアトリエ兼住宅に住んでいて、地下が作業場、1、2階は料理人のソニ(ソン・ソンミ)に貸し出していて、彼女は1階をレストラン、2階を料理教室として使用していた
3階は住居部分で、近々住人は出ていく模様で、4階がへオクのアトリエとなっていた
一通り建物を案内してもらった二人は、地下の作業場に降りる
そこから本編が始まり、階を上がるごとに「ビョンスの相手が変わる」という流れになっていた
章立てとまではいかないが、ドアを開ける暗証番号の音で場面が変わる感じになっていて、時間の流れもそこで動いている
地下で娘と話していたところで、ジュンスがへオクに弟子入りを志願するという流れがあったと思えば、次のシーンではジュンスはすでにどこかに行っていて、済州島で民宿の手伝いをしていたりする
いつの間にかビョンスはその建物に住み着いていて、ソニと恋人関係になったかと思えば、へオクの影響でベジタリアンにさせられていたり、最後には不動産屋のジヨン(チョ・ユニ)と同棲していたりする
この時点でソニとどうなったのかはわからないが、ラストではソニの店のウェイター・ジュール(シン・ソクホ)がいるのでまだ開いているように思える
だが、このシーンは時系列的に過去(起点)に戻っているように感じた
このあたりの説明はほぼないのだが、単純に見れば、女性を通じてビョンスがどんな人物がを知るという物語でもあり、さらに女性に影響を受けまくるのが男性という見方もある
これらが現実なのか、それぞれの住人と会ったことでビョンスが勝手に妄想しているのかはわからないが、ちょっと変わった作風になっているなあ、と感じた
いずれにせよ、モノクロ映像なのでカラーで見分けをつけることができず、しっかりと人物の顔と話し方(訳し方)を覚えておかないと、場面が変わった瞬間に「誰?」と混乱するかもしれない
展開はあってないようなもので、ほぼ会話劇なので眠気に誘われるのだが、一瞬でも気を抜くとついていけなくなるので、意外と集中力がいる映画なのかなと思った
パンフレットは超充実していて、話の流れはラスト以外書かれているので、おさらいをするにはちょうど良いのではないだろうか
あくまでも、ホン・サンス監督作が好きな人向けだとは思いますが