「典型的なロードムービーとしておすすめ」ブリーディング・ラブ はじまりの旅 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
典型的なロードムービーとしておすすめ
今年242本目(合計1,334本目/今月(2024年7月度)5本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
(前の作品 「Shirley シャーリイ」→この作品「ブリーディング・ラブ はじまりの旅」→次の作品「The moon」)
いわゆるロードムービー系の映画で、展開にまぎれがないので選びやすいかなという印象です。
ロードムービー「だけ」だと結局展開につまりがでて飽きがでますが(黎明期のころならともかく)、この映画では後述するように日本も経験している睡眠薬依存などの論点が入っていて、それらとの複合であったのが良かったです。
逆に言えば「サブ筋」は入っているものの、脱線ネタやお笑いネタ等はほぼ皆無という状況なので、映画に娯楽性を求めるならちょっとおすすめはできないけれども、下手に評価の低い映画を見るよりはおすすめといったところです。
ロードムービーの特性上、アメリカの地理に詳しいと有利かもしれません。
採点に関しては特段気になった点までないのでフルスコアにしています。
-----------------------------------------------------
(減点なし/参考/「ベンゾ系」とは何か)
この映画は上述通り、いわゆる「薬物中毒」が一つのテーマとなっています。薬物は一つとは限りませんが、映画内で出るこの「ベンゾ系」は日本でもどこでも乱用の多い薬です。
睡眠薬の大半をこのようにいいます(ベンゾジアゼピン系)。これらは程度の差はあっても依存性があり、ここが「入口ドラッグ」となって他の違法薬物に手を出すことは日米はもちろん他の大半の国ではよく見られることですが、このストレス社会の中、何かしら睡眠薬を処方された方はいらっしゃると思いますが、「ベンゾジアゼピン系」という語自体は日常用語でも何でもないので(ある程度知識があればわかるが)ある程度補足が欲しかったところです(周辺知識なく、この意味がわかるのは心療内科や薬剤師の方くらいではないかと思います)。
※ 日本では相変わらずベンゾジアゼピン系はよく処方されますが、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬もあり、これらの依存性もよく問題視されています(この非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、英語表記でZで始まるため、「Z薬」と呼ばれたりします。代表例がマイスリーなど(正式名称は「ゾルピデム」))。むしろ、これらの薬のほうが依存性が多く言われるようになっているので(マイスリーは日本では乱用のトップ5にはだいたい入る薬)、ベンゾジアゼピン系でなければ安全ということではなく、映画内でちらっと出る「当事者の会」(日本でいうダルクみたいなもの)でも当事者、あるいは心療内科医や看護師ほかの医療職が中に入って依存から抜けるような取り組みは日本でもアメリカでも行われています。