アンジェントルメンのレビュー・感想・評価
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スタイリッシュだが薄味
メインプロットのミッションを、
ストーリーの軸に据えつつ、
ガイ・リッチーらしい映像の妙技とテンポ感だけで観客を惹きつける作品だ。
しかし、このような「映像のおもしろさ」に全振りした映画が、
果たしてどれほどの観客を動員できるのかは疑問が残る。
映像の見せ方に依存しているため、
ストーリーやキャラクターに深みを求める観客には、
やや物足りなさを感じさせる可能性がある。
リッチーのキャリアを振り返れば、
スーパースローやタイムスライスのような、
軽快でスタイリッシュな犯罪劇が一部で「飽きられた」と感じられる原因も、
まさにこの「深みの欠如」にあったのかもしれない。
前作『コヴェナント 約束の救出』では珍しく、
仲間との絆や人間ドラマをシナリオも含め、
しっかりと描き、
やればできる、というスタンスを垣間見せたが、
『アンジェントルメン』では再び彼の得意ゾーンに回帰した印象が強い。
本作がリアル007らしいので、
例えば007シリーズと比較してみよう。
初期の作品群は、
メインプロットはスペクターのような敵を倒し世界を救う、
スペクタクルとエンターテインメント性を詰め込み、
Qの新兵器、多種多様のボンドカーや「007秒で停止するカウントダウン」、
ユニオンジャックのパラシュートといったギミックで観客を満足させた。
サブプロットは軽く、深く考えずとも楽しめる設計だった。
しかし、ダニエル・クレイグのボンド以降、
シリーズは一変する。
ボンドの自分探しやスパイとしての尊厳といった重厚なサブプロットが導入され、単なるアクション映画を超えたストーリーテリングが求められるようになった。
これは、現代の観客がエンターテインメントに「意味」や「感情の共鳴」を期待するようになった証左だろう。
確かに、豊富な火力、ウィットに富んだ会話、
豪華キャストの軽妙なやり取りは見事で、
映像面での「おもしろさ」は申し分ない。
だが、
観客の嗜好は変化している。
アニメでは抽象的で壮大なテーマが支持され、
マンガでは長尺で描かれる友情や精緻な物語が読者を引き込む。
世の中のエンターテインメントの質とスピードが向上する一方で、
観客は短時間で高濃度の刺激を求める傾向も強まっている。
007が時代と共に進化したように、
ガイ・リッチーもまた、
単なる娯楽を超えた何かを提示できれば、
さらに広い観客層を掴めるはずだ。
今のままでも十分に楽しめるが、「次の一歩」を踏み出さない限り、
彼の映画は「スタイリッシュだが薄味」という評価を覆せないかもしれない。
シナリオも書いている、
ロックストックとか
スナッチとかは、
一周回って若い人たちにもウケるのかもしれない。
好き嫌いは別れるのかも
第二次大戦中、苦境に陥った英国の一発逆転劇、その事実に基づいたストーリー。
非情に重苦しい決断を迫られるウィンストン・チャーチル、正にナチスドイツに世界(特にヨーロッパ諸国)が蹂躙されている頃のお話しですから、シリアスになってもおかしくないのですが、ガイ・リッチーなら軽いテイストに仕上げてくれるだろうとの期待を胸に劇場へ、そうしたら予想通り、人はバッタバッタ死にますが、そこはそれコミカルさが勝る映像になっていて、ワタシ的には好物でした。
同じ題材でもクリストファー・ノーランならもっと考え込むような作品になるのでしょうね(それも見てみたいけど)
序盤から「M」と呼ぶのを観て「おや?」と思いましたが、そうか、この人があのスパイシリーズのモデルかもなのですね、納得です。
ユニオンジャックの狐がハーケンクロイツの狸を化かす。臨機応変のハラハラドキドキに胸が高鳴りました。
だけど、チャーチルの頑張りとか、この作品に登場した面々がいなかったら今の世の中どうなっていたのかと考えるとぞっとするし、戦争は愚かだと改めて思わされもしました。
極秘任務を遂行する困難に立ち向かう男達と1人の女性の熱い作品。 本年度ベスト!
出だしの字幕!
実話ベースの作品と言う事に驚く!
第2次世界大戦中のスパイ映画って感じ!
メッチャ面白かったぁー!
実話ベースと言う事で0.5を加点。
ドイツ軍の潜水艦、Uボートを無力化させる為、Uボートに積み込む魚雷や燃料を積んだ貨物船を海に沈める秘密裏のミッションに選ばれた男達のストーリー。
某スパイ映画の様に「当局は一切関知しない」みたいな感じで進む展開。
でもちゃんと無線で当局に状況報告する律儀なメンバー達(笑)
任務を遂行する為、ドイツ軍の収容所に囚われた仲間を救出したり、陸と海から2方向から貨物船のある港まで向かう展開がメイン。
紅一点のマージョリーが美しい。
彼女の素敵な歌も聞けるお得感(笑)
銃の腕前もお見事だった。
終盤、船を沈める任務を遂行する事が困難である事が判明。
それでも仲間達の機転で任務を成し遂げる感じが胸熱だった!
ドイツ軍の兵隊が、かなり殺されるんだけど殺し過ぎじゃね?(笑)
でもあっさりしてて残酷な感じがしないので観ていて苦痛にならないのも良かった。
エンドロールで実在の人物を紹介するけど皆、勲章を頂いていることに驚く。
実在の皆さんが優秀な方だったと認識しました( ´∀`)
イギリスの公に出来なかった史実
第2次世界大戦中の1942年1月、ナチス軍はオランダ、ベルギー、フランスを占領し、イギリスも猛攻を受け窮地に追い込まれていた。イギリスはアメリカ軍の援助を要請していたが、ナチス軍の潜水艦Uボートが大西洋を支配していて、アメリカ軍がイギリスに来る事が出来なかった。そこで、特殊作戦執行部のガビンズ少将とイアン・フレミングは、ガス少佐に、イギリス軍にもナチスにも見つからずに、北大西洋上のUボートを無力化せよ、という高難度の任務を命じた。特殊能力を持つ仲間たちを集めて船で現地へ向かったガス少佐は、作戦決行へ向けて準備を進めていくが・・・さてどうなる、という事実に基づく話。
その特殊部隊は違法だったため、イギリスはその存在を公に出来ず、1912年になってやっとチャーチル元首相の文書が公開されたため、公になったとの事。つまり、70年間秘密だったのか、とその事に驚いた。
ナチスは全面的に悪、と捉えて観ると、がんばれイギリスなんだけど、弱いからアメリカ頼りと言うのも情けないと言えば情けないな、とも思った。日本はその時アメリカと戦ってたので、一方的にイギリスを応援したいとは思わなかった。
海軍情報将校のイアン・フレミングは退役後に作家となったそうで、007で生み出し、ジェームズ・ボンドはモデルが本作のガス・マーチ=フィリップスとの事。勉強になった。
演じたヘンリー・カビルが良かった。
女スパイ役のエイザ・ゴンザレスが美しく色っぽかった。史実だと、その2人がこの作戦の後4月に結婚し、ガス・マーチ=フィリップスは9月に別の作戦で戦死したとの事。あんな生死紙一重の様な作戦を続けてると命がいくつあっても足りないよな、という感想。
事実に基づく、との事で、あまりフィクションを多く加えずに製作したのだろうけど、アクションもスリルあり凄かった。
潜水艦の補給基地がアフリカに有ったのも勉強になったし、戦争中の情報の大切さも良く理解できる、素晴らしい作品だと思った。
次回作に期待かな
期待度○鑑賞後の満足度○ 実話ベースにしては軽すぎ、娯楽エンタメというにはテーマが重すぎ、とちょっと困った映画。でもって、出来もちょっと困った映画。終わり良ければ全て良し、にしたいところだけど…
①ヘンリー・カヴィルが主役なので『ナポレオン・ソロ』みたいだったら良いな、と思っていたが後半やや盛り上がったとはいえ、少々トホホな内容であった。
②ガイ・リッチーは演出力が落ちた?と思わせるくらい“演出、下手~”と思ったシーンが何ヵ所かあった。
特に前半のマージョリーとヘロンのカップルのパートが炭酸が抜けたサイダーみたいな気が抜けた演出で観ていてムズムズした。
③いくらナチが酷いことをやったとはいえ、あんなに虫けらを殺すようにナチの兵士をパスパス殺していく(ゲーム感覚?)様は観ていて複雑な気持ちになった。
完全なフィクションであれば其れほど気にならないのだが、一応「実話ベース」と前置きをしているぐらいなのに「そこだけフィクション?」てな感じでチグハグ感というか整合性の無さ感が半端ない。
④エイザ・ゴンザレスもこういうファム・ファタール的な役をするにはまだまだ青くて色気・貫禄・洒脱さ不足。
敵との駆引きの場面も安定感が無いので腹の探り合いの面白さが出てこない。
⑤TVの「ジャック・リーチャー」シリーズで楽しませてもらっているアラン・リックソンは恐らくこういうメジャー大作で主役級の役は初めてで少々心配したが、ヘンリー・カヴィルを前に貫禄負けしていないのが良い。
まあ、あの体格だからスクリーンでも存在感があるが、タイプキャストされないかとそちらが少々不安。
⑥私の大好きな『プリンセス・プライド・ストーリー』他1980年代後半~1990年代前半にかけて英国美男子俳優群の一人だったケイリー・エルウィズもこういう役をする歳になったかと感慨しきり(一時色悪の敵役みたいなのばっかりやっていた時に比べたらマシだけど)
⑦チャーチル役の俳優も全然チャーチルに似ていなくて残念な出来だったし、他の俳優陣(『クレイジー・リッチ』や『GIジョー漆黒のスネークアイ』のヘンリー・ゴールディングは別にして)殆ど顔馴染みの無い連中だし、こういう映画には珍しく余りキャラが立っていないので印象が薄い。
ハラハラドキドキの最高潮が冒頭部分
アンジェントルメン(映画の記憶2025/4/6)
監督ガイリッチー、プロデューサージェリーブラックカイマーという豪華制作陣でお送りするこの物語。チャーチルが10年前くらいに公開した国家秘密の文章を元に作成。ということでかなりがっしりした出来にはなっていた。
ガイリッチーっぽい映画なんでそこは察していただき、役者の演技もそれに併せてきっちりこなしてる感じ。
ムキムキマッチョのアランリッチソンと敵役のティルシュバイガーをどこかで観たことあるようなと思って調べてみたら、アランリッチソンはワイスピの端役で、ティルシュバイガーは三銃士(飛行船とかCGゴリゴリでやってたやつ)とかに出てたから頭の片隅にいたことで納得。
普通に頭使わずに観れるし、それなりのアクション映画っぽいのが観たい方にはおすすめできる。背景の第二次世界大戦だけど、武器とか車とか戦艦とかオタクさんたちが突っ込みたくなるところはあると思うので、そこは期待しない方がいい。
ただこの二人が創ったにしてはオーソドックスだなとは思った。普通におもしろいが。
(個人的評価6点/10点中)
史実をエンタメに昇華!
作品の詳細情報は知りませんでしたが、アクション系の洋画は好きなので、公開初日に鑑賞してきました。なかなかおもしろい作品で満足度は高かったです。
ストーリーは、第2次世界大戦中、ドイツ軍により劣勢を強いられていたイギリス軍から特殊作戦執行部に呼び出されたガス少佐が、障害となっていた北大西洋に展開中のドイツ軍のUボートを無力化せよという極秘任務を命じられ、選りすぐりの部下と共に、敵にも味方にさえも見つかることが許されぬ非公認ミッションを遂行する姿を描くというもの。
戦時中の極秘任務ということで、複雑な駆け引きが描かれるのかと思いきや、アクションを主体にしていることで、とても見やすく痛快な作品に仕上がっています。軽いノリでサクサクとドイツ兵を血祭りにあげていくのは、少々緊迫感には欠けますが悪くないです。特に、チームの重要メンバーとして迎えるべく、敵に囚われている男を救出するためにある島に向かうのですが、ここでの戦闘が最高です。その場のノリで作戦を変更し、白昼堂々と襲撃し、敵を完全に翻弄する姿が痛快です。
チームメンバーもキャラが立っていて、それぞれの得意技を生かした見せ場が用意されているのもいいです。中でもラッセンは、見た目のインパクトもさることながら、弓矢の精度と破壊力がすさまじく、ナイフを持たせれば容赦なしのメッタ刺しで、本作きってのヤバめなキャラとしてかなり印象的です。
また、別動隊として情報収集にあたるマージョリーとRHの活躍も見逃せません。列車内で巧みに情報を入手し、即座に打電するシーンは、なかなか見応えがあります。美しさ、賢さ、大胆さに加えて卓越した銃の腕前をあわせもち、女スパイのお手本のように描かれるマージョリーが、とても魅力的です。
そして、なんと言ってもこれが実話ベースというのに驚かされます。もちろん多分に脚色されているとは思いますが、非合法に組織された、国家による保障や後ろ盾が何もないチームが、高難度任務を成し遂げたという事実にびっくりです。ほとんどの登場人物には実在のモデルがいるようで、さらにガスは007ことジェームズ・ボンドのモデルにもなっているらしいです。なるほど確かにそんな匂いを感じる人物像です。
本作は、実際の作戦に即して描かれるため、聞き慣れない地名も多く登場します。ですが、地図で勢力範囲や進行ルートを表示してくれているので、とてもわかりやすく、当時の状況に詳しくない自分でも、チームの狙いは理解できました。逆に、マージョリーとルアー大佐の会話はよく理解できないところもありましたが、まあストーリーからおいていかれることはなかったので問題ないです。
本作のように歴史に埋もれそうな史実にスポットを当てた作品は、本当に勉強になります。鑑賞中に、以前に観た「オペレーション・ミンスミート」を思い出しました。確かあれも、第2次世界大戦中にイギリスがドイツに仕掛けた作戦を描いていたと思います。後世に残すべき史実を、エンタメ色を強めて世に知らしめるというのも、映画の重要な役割の一つではないかと思います。今後もこのような作品が作られ続けることを期待します。
主演はヘンリー・カビルで、大胆不敵なガスを好演しています。脇を固めるのは、エイザ・ゴンザレス、アラン・リッチソン、アレックス・ペティファー、ヘンリー・ゴールディング、ティル・シュワイガーら。
意外と良かった
広告のポスターの感じから、よくあるB級アクション映画と思いきや、全然そんなことはなく予想以上に良かったです。
とにかくテンポがよく退屈なシーンが殆ど無いです。その代わりにストーリーが雑かと言うとそんなことはなく、ストーリーも充分楽しめます。どこぞのアクション映画のように主役がスタント無しで派手なアクションをするけど中身が無い作品とは大違いです。
それと、特殊部隊として集められた連中が異常者ばかりなので、人を殺すことに全く躊躇が無くバタバタと敵を倒していくので痛快です。
あと、女優さんが魅力的な上に演技力もなかなかなもので、紅一点の効果を上手く活かせていると思います。
という訳で最近のアクション映画の中では出来の良い作品でした。
ガイ・リッチー監督らしい痛快スパイアクション!
【イントロダクション】
史実を基に、ジェームズ・ボンド(『007』)の元ネタと言われている実在したイギリス軍人、ガス・マーチ=フィリップス少佐率いる“無許可・無認可・非公式”な型破りチームによる極秘作戦を描く。
ガス少佐役に『マン・オブ・スティール』(2013)のヘンリー・カヴィル。プロデューサーに、『トップガン』シリーズ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ等、ハリウッドの大ヒットメーカー、ジェリー・ブラッカイマー。監督・脚本には『スナッチ』(2000)、『シャーロック・ホームズ』シリーズ、『アラジン』(2019)のガイ・リッチー。その他脚本に、ポール・タマシー、エリック・ジョンソン、アラッシュ・アメル。
【ストーリー】
第二次世界大戦中の1942年。ナチス・ドイツの侵攻によりヨーロッパ諸国が次々と陥落、イギリスも窮地に立たされていた。アメリカの参戦を促したいイギリスのチャーチル首相だが、ドイツ軍の潜水艦Uボートの存在が脅威となり、アメリカの参戦を困難なものにしていた。
そこで、チャーチル首相は“無許可・無認可・非公式”な特殊作戦を立案。チャーチルの命を受け、ガビンズ准将(ケイリー・エルヴィス)は部下のイアン・フレミング(フレディ・フォックス)と共に、投獄中だったガス少佐を召喚。彼にUボートを無力化させる特殊作戦と、その実行部隊の結成を命じる。
ガス少佐は、怪力男のアンダース・ラッセン(アラン・リッチマン)、航海士のヘンリー・ヘイズ(ヒーロー・ファインズ・ティフィン)、潜水工作員のフレディ・アルバレス(ヘンリー・ゴールディング)を招集。更に、ラ・パルマ島でナチスに拘束されていたジェフリー・アップルヤード(アレックス・ペティファー)を救出。
時を同じくして、諜報員リチャード・ヘロン(バブス・オルサンモクン)と女優のマージョリー・スチュワート(エイザ・ゴンザレス)は、列車で移動中のドイツ軍から機密情報が入った鞄を盗み出し、フェルナンド・ポー島のイタリア船籍ドゥケッサ号が、15日後にUボートへ物資を補給する情報を入手。先に島に向かった2人はそれぞれ、裏カジノ経営者と金トレーダーに扮し、冷酷で残忍なナチス幹部のハインリッヒ・ルアー大佐(ティル・ジュヴァイガー)と接触。来たる日への準備を進める。
メンバーを揃えたガス少佐一行は、ドゥケッサ号を沈没させる為、フェルナンド・ポー島へ向かう。英国軍に見つかれば投獄、ナチスに捕まれば拷問と死。タイムリミットが迫る中、決死の秘密作戦を開始した。
【感想】
ガイ・リッチー監督らしい軽快で娯楽性の高いアクションに仕上がっている。70年代作品らしい雰囲気も個人的に◎。後半に掛けてややパワーダウンしてしまった印象は強いが、作戦に参加するメンバーが皆個性的で面白い。
特に、前半の山場であるラ・パルマ島でのアップルヤード救出作戦は、個々のキャラクターがそれぞれの能力を活かして活躍する展開と、そのテンポの良さは抜群で、間違いなく本作の白眉。戦闘が昼間な事もあり、何が起きているかも分かりやすかった。
作戦に参加するメンバーが、どれも個性派の曲者揃いなのも良い。
特にお気に入りなのが、アンダース・ラッセン。通称「デンマークの怪力男」と呼ばれ、ヘラジカ狩りや熊とのレスリングで育ったという野生児。弓とナイフの名手で、度々登場する矢を放つシーンの絵力と精度の高さには痺れる。演じたアラン・リッチソンのハンサムな顔立ちと筋骨隆々とした体作りもあって、彼単独の作品が観たくなってしまうほど魅力的なキャラクターに仕上がっていた。
ラ・パルマ島で相手の心臓を抜き出す姿や、斧を手に警報が鳴り響く船室内で真っ赤なライトに照らされ、ドイツ兵を次々と葬り返り血を浴びるシーンは、まるでスプラッター・ホラーかのようで最高だった。
紅一点のマージョリーも素晴らしく、野郎ばかりの作戦下抜群の存在感を放っていた。銃の腕前を披露するシーンの頼もしさと、手榴弾を手にしようとするコミカルさも印象的。演じたエイザ・ゴンザレスの、ハインリッヒを前に駆け引きする姿、彼の残忍さに怯えながらタバコを吸う演技も良かった。
ただ、射撃の名手という設定の彼女の作中唯一の実戦射撃が、クライマックスのハインリッヒ射殺以外なかったのは勿体なく感じた。あれならば、殊更に射撃精度の高さを描写する必要はなく、単キャンプ・ビリーが撃ち損じ続けていた酒瓶を一撃で割る=一撃で必ず仕留めるという演出にした方が、よりクールだったのではないだろうか?
奇襲作戦の為仕方ない部分はあるが、フェルナンド・ポー島でのドゥケッサ号強奪のシークエンスは、暗闇や船上という状況下から、派手さを演出しづらかったのか、前半ほどの盛り上がりを見せなかったのが残念だった。
ラスト、刑務所に収監されていたガス少佐ら作戦メンバーを訪問しにきたチャーチル首相が、「君たちは私の下におく」と、彼らを秘密作戦組織として迎え入れ、豪勢な食事と酒を振る舞う。
出来れば、このラストはもっと打ち上げ感のある華々しいラストの方が良かったように思う。ましてや、本作はアクションコメディのノリだっただけに、皆で食事を囲み、酒で乾杯するラストの方が“らしい”感じがしたと思うのだが。
【総評】
事実を基にしつつ、ガイ・リッチー監督らしい外連味溢れるスパイアクションに仕上がっており、特に前半部の盛り上がりは素晴らしかった。『007』の原作者であるイアン・フレミングが登場するという演出もニクい。
味方側に死者が出ない(負傷者は出たが)という点も、爽快感がある。
一方で、メインとなるフェルナンド・ポー島での作戦は、演出や盛り上がりにもう一工夫欲しかった。
薄味なスパイ・アクション映画
第2次世界大戦中のイギリスに設置された、秘密軍事組織である特殊作戦執行部(SOE)とナチス・ドイツ軍との戦いを描いたスパイ・アクション映画。
実話を元にしており、イアン・フレミングも登場するし、主人公は007のモデルとなった方らしい。事実であれば仕方ない面もあるかもしれないが、敵が弱くて、特にハラハラドキドキする場面もあんまりなく淡々と進んでいくので、いまいち盛り上がらない。
紅一点のヒロインであるマージョリーはなかなか魅力的なキャラクターなんだけど、射撃の名手という設定も生きていないし、後半は特にいなくてもよかったんじゃないかと思ってしまう。
ガイ・リッチー監督作としては、前作の戦争映画「コヴェナント/約束の救出」も同じような薄味の印象で、物足りなさを感じてしまうなぁ。最近の作品だったら、アンが付かない「ジェントルメン」の方が好みです。
実話ですって?!
フィッシュ&チップス ウエスタンの通快活劇でした。
アンジェントルメン
The Ministry of Ungentlemanly Warfare
実話らしいのですが、嘘みたいな非常識な兵士達が召集され、007のモデルまで登場です。
消音で殺しまくり、音が出だすとドカンドカンをやりたい放題です。
スカッとするけど、やり過ぎ!
どこがスパイアクションか?
と思ったら、か弱い少年兵隊には逃亡を見逃すジェントルマンでした。
最後はマカロニウエスタンならぬ、
ブリテンウエスタンミュージックでサヨナラさようなら…
それも海賊の国らしく、
ドイツ、イタリアの船を強奪してくるのだから笑えます。
そして、チャーリルから勲章🎖️もらうのだら血は争えません🏴☠️
そんなアクションコメディです。
( ^ω^ )
アンジェントルメン
The Ministry of Ungentlemanly Warfare
「ジェントルメン」「スナッチ」のガイ・リッチー監督が、第2次世界大戦中のイギリスでチャーチル首相もと非公式に結成された特殊部隊の戦いを活写したスパイアクション。
第2次世界大戦中、英国はナチス軍の猛攻により窮地に追い込まれていた。特殊作戦執行部に呼び出されたガス少佐は、ガビンズ“M”少将とその部下イアン・フレミングから、「英国軍にもナチスにも見つからずに、北大西洋上のUボートを無力化する」という高難度の任務を命じられる。型破りな仲間たちを集めて船で現地へ向かったガス少佐は、作戦決行へ向けて準備を進めていくが、思わぬ事態が起こり……。
特殊部隊の創設にもかかわった海軍情報将校イアン・フレミングが、後に作家となり生み出したジェームズ・ボンドのモデルになったと言われる主人公ガス・マーチ=フィリップスを、ヘンリー・カビルが演じた。そのほか、「ベイビー・ドライバー」のエイザ・ゴンザレス、「ワイルド・スピード ファイヤーブースト」のアラン・リッチソン、「クレイジー・リッチ!」のヘンリー・ゴールディングが共演。「トップガン マーヴェリック」のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが製作に名を連ねた。
アンジェントルメン
The Ministry of Ungentlemanly Warfare
2024/アメリカ・イギリス・トルコ合作ま
ビヨンビヨンビヨ〜ンの音楽
リバイバル映画 間違って入った?とはじめ思った。ケド 最近の作品なのね。
バン バンバンって、 飛び道具で簡単に 敵が死んじゃいますから。
素手で戦うアクション好きには あっけないけど。
サックリ 面白かった。肩がはらない娯楽映画だよこれは。
イアン・フレミングは只者ではないという話
感想
イアン・フレミング、ダブルオーセブンシリーズの原作のキャラクター設定や基本プロットは原作者自身がそれ相応の経験を踏まえないと創造し得ないと感じてはいたが、第二次世界大戦時の実話として英国紳士の鏡とされる大英帝国軍人が作戦行動上非紳士的な規定違反を犯し、且つ組織的にも異端行動を貫きながら世界の歴史をも変える事になった重要なミッションを達成して知られざる英雄譚の中心人物となったジェームス・ボンドのモデルと言われるガス・マーチ=フィリップスと英国陸海軍切っての精鋭中の精鋭であるその仲間達に彼が秘密作戦を指令し、危険をも顧みない一見して無謀な策だが実は全て緻密な計算に基づき構築され、さらに現場での大胆な作戦変更判断をしたというエピソードに改めて驚愕すると同時に想像を遥かに超えてくる話が大変興味深く面白さに満足しながら鑑賞することができた。
寄港地の島に駐屯しているドイツ兵とイタリア船乗組員が弱すぎるというレビューに対しては違う見解を持っている。殺しのプロフェッショナルが何人も集まり一つの目標に向かい計画的に結果を出す姿は監督ならではの趣向でまんざら大袈裟な演出になっている事も多少は有ると思うが、今回はどちらかと言うとよりリアルさを追求したのではないかと観ている。実戦時に船舶強奪後、短時間に一気に双方向(①船舶内にいる敵兵駆逐、②港湾部の機関砲台占拠と歩哨駆逐、高射砲台の破壊)に進出すると決めた場合、音も無く進出するその場に現れた人間は全てサイレンサー付きの機関銃と弓矢で敵をばったばったと忽ち薙ぎ倒してしまう描写は充分に有得る話である。公開されている事実情報を読んだ訳では無いが作戦の詳細な経過と発生した問題についての分析、さらに作戦行動全体についての結論的アナライシスは出ており監督とスタッフは読み込んでいるのではないか。相手が弱すぎるのでは無く、其処の暗闇にいる訳のない敵が突然現れて不意打ち喰らわせてくる雰囲気を映像的に上手くリアルなアクションとして表現していたと感じる。決して寓話的な展開を意図して創り上げている映像だけには見えなかった。
製作・演出・脚本・音楽
製作
「トップガン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」
シリーズのジェリー・ブラッカイマー。
昔はチャラい新進プロデューサーという印象であったが、着実に経験を重ねて今や流石と思わせる名作の製作に顔を連ねる常連のハリウッドの名プロデューサーとなったという印象。
監督・脚本
ガイ・リッチー
「コヴェナント」「コードネームU.N.C.L.E.」
今回は2016年に英国諜報機関(元英国海軍諜報部・特殊作戦執行部)から正式に発表された事実資料を元にして本作の脚本が構成されている。内容としては事実であるだけに話は骨太の内容で各登場人物の会話の一つ一つまでにリアリティを感じられる素晴らしいものであった。演出的にはエンターテイメント性を重視した今時の映像創りでアクションとしても充分なデフォルメが成されていてガイ・リッチーらしい作品に仕上がっている。往年のJ・リー・トンプソンやガイ・ハミルトンの正統なる後継者としての地位を揺るぎないものにしてきていると感じる。新しいダブルオーセブンが製作されるとすれば彼の他にはJ ・ J・エイブラハムズ、またはジェームス・マンゴールドと言った辺りが挙げられるだろうが、ガイ・リッチーは監督として最適任者と勝手に思っている。
配役
ガス・マーチ=フィリップス役のヘンリー・カヴィルはアクション映画での定石俳優になりつつある。
イアン・フレミング役でエドワード・フォックスの息子であるフレディ・フォックスが出ており時の流れを感じた。他、頭脳明晰な精鋭軍人ジェフリー・アップルヤード役をアレックス・ペティファーが演じている。そつがない演技で印象に残る。今後の活躍が期待される俳優の一人と感じる。
音楽
クリストファー・ベンステッド
エンニオ・モリコーネのマカロニウエスタンのostを彷彿させるイメージで斬新な印象を受けた。スラブ系JAZZ曲調の要素があり素晴らしいostだと感じる。
バランス良く面白かったので⭐️4.5
文面追加訂正2025.4.8
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