「ダーウィン」セーヌ川の水面の下に なつさんの映画レビュー(感想・評価)
ダーウィン
サメサメパニック作品はホラー作品の一つとして確立し、出尽くしてる感はあるものの、まだまだ深いのね。
ゴミだらけの海で始まるこの作品。
最初こそ観れば「人間による環境汚染だ!!!ひどい!」ってなるのですよ。
しかし、「生き残るものは、変化するものである」という言葉がすっぽり当てはまってしまった。
研究対象であった「リリス」と名をつけた1匹のサメ。
調べていた科学者ソフィア達はとてつもないスピードで巨大化、凶暴化していることを知る。
そして3年後、若き環境活動家がリリスが変化して淡水に適応しセーヌ川に迷い込んでいることを突き止めリリスを救うべきだと主張する。
そしてSNSなどで若い有志を集め中途半端な彼らはあっさりリリスの生贄に。
そんな状況を見ながらリリスにより夫を失った彼女の絶望感を表すシーンが素晴らしい。
その後、ソフィアの研究によりリリスは子供を産みさらにその子供も超スピードで子供を作り環境の変化だけでなく、オスは不要。オス不要?!!
メスだけで子供を作る単位繁殖の恐ろしいモンスターとなってしまった事を知る。
もう、救うとか言ってるレベルではないですよ。
苦しくもセーヌ川ではトライアスロンの大会を控えている。
セーヌ川でのトライアスロンの中止を願いでても、もちろん却下の女市長。
あ、腹立つこの女もきちんとお亡くなりになるので大丈夫です。
結局、爆弾を仕掛け殺す方向にいくが水面で頭上を見ればおびただしい数のサメの群れが回遊している。
ここは怖かった。
サメ達が人間をモグモグしてるシーンより怖かった。
だってだいたいサメ映画、1匹対人間じゃない。イワシの群れみたいにサメが泳いでる。絶望感半端ない。
最終的にはトライアスロン大会もサメ達のモグモグタイム。
まさに阿鼻叫喚。観客達もどんどん滑り落ちてサメ達の替え玉。
そして、序盤に伏線として用意されていた川底に沈む沢山の不発弾。
「打つな〜!打つな〜!」
叫びもむなしくドッカンドッカンと爆発を連鎖する不発弾。倒壊する橋、建物、人々、サメ。
そしてソフィアは1人ボートの上で目撃する。
目の前にはまだまだ大量のサメの背びれがゆったりと泳ぎ続ける。
人類のエゴにより変化してしまったサメ達、それを守る守る詐欺みたいに考え無しに突っ込んだ人々、最終的には再び人間のエゴにより使われていた不発弾により大きな被害を出してしまった花の都パリ。
エンドロールではリリスから産まれたサメ達が繁殖し、殴り込みのように世界中の川から川へと泳ぎ続ける地図が表示され続ける。
マグマの様に見えるその赤いラインで記されたサメの群れはどこまでもどこまでも自由に先へと泳ぎ続ける。
変化した彼らの完全勝利だった。
ものすごいバッドエンドだけど、これはこれで振り切ってて好きかも。
リリスとは最初の女の名前なのよね。
うまいネーミング。
女達の戦いとしてみても面白かったかも。
少し中弛み感があったので星減らす。
せっかくの設定、トライアスロンの悲劇をもっと見たかった。