「他のみんなが言ってるような高い評価はできない」仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク たくむしさんの映画レビュー(感想・評価)
他のみんなが言ってるような高い評価はできない
・総括
他のみんなが言ってるような高い評価はできない。尺が短いのに無駄な要素が多いし、そのせいで仮面ライダー映画として重要視すべき要素が割を食う結果となってしまったのは残念で仕方がない。良いところはもちろんあるが、悪いところがそれを上回っているので、最終的な評価はかなり低め。
■良い点
・デイブレイクは救われた
絶望しかなかった未来において、デイブレイクが心理的に救われたのは素晴らしい点。おまけに本編とちょっとリンクするところもあったのも評価できる。
・仮面ライダーガヴ
先行登場した新ライダーで、今までとは明らかに違うことがよく分かった。ベルトが直接腹から生えてるみたいだし、アーマーがぷるぷるしてるのも面白かった。次の1年に期待できる。
■悪い点
・劇場限定フォーム
個人的に一番の問題点。レインボーよりもどういった点が強くて、ラスボスにどう効果的なのか全くわからなかった。ノルマとして出しました感が強く感じられた。劇場版として一番やってはいけないことだと思う。とても残念だったし、怒りを覚えた。
・ギガントライナー
未来へ行くために4体のケミーを合体させて誕生したが、なぜその4体でないといけなかったのか明確な説明がされず、必要性を感じられなかった。終盤でも登場したが、なんかノリで出ましたって感じで、存在に必然性を感じなかった。
・ホッパー101
可哀そうなケミー。登場経緯がほんとに不明。人々の想いがなにか作用したのか?なぜあのタイミングで誕生しなければならなかったのか?首をかしげるばかりだった。新フォームに必要なのにこの扱いはあまりにもひどすぎる。
・デイブレイクになった理由が不明確
「りんねが死亡し、悲しんでたらなんか変わった」程度のことしかわからず、納得感が薄かった。結局デイブレイク化は、何がどのように影響した結果なのか示されずとても残念だった。本編登場時から知りたいと思ってたのでなおさら。
・りんね以外の死亡の描写が不十分
セリフと墓のシーンだけでさらっと語られてしまったので、デイブレイクの悲しみがどれほど深いのか理解できなかった。浅い感情移入しかできなかった。
・小島よしお
研究をしていたというが、具体的に何を、何の目的で、どのように研究していたのか分からなかった。終盤に求めていた反応を得られたようだが、それを使って特に何かするわけでもなかったので、彼は必要なかったのではないか?
・榊一香
モブキャラかと思ったら、いつの間にかりんねと名前で呼び合ってたし、敵キャラとも面識があったみたいで困惑した。本編にもいたキャラだっけ?と思ったが、初登場のキャラみたいでやっぱり掘り下げが十分でないなと感じた。
・特殊バリア解除装置
無くても展開に支障がないレベルの無駄なアイテムだった。グリオンの基地に入るのに必要なら、使わせないためにグリオン側が何かしら対策を講じるべきだし、それをどう掻い潜って使うのかを描写すべきなのに、そういうのが一切なかった。この要素を削れば、他の描写不足を補えたかもしれない。
・錆丸と蓮華の戦闘
ケミーを身にまとって戦っていたのは驚きだが、今までのケミーライザー召喚と違う点が明確にされず、不可解が勝ってしまった。
・りんねの特殊能力?
ザ・サンのカードにりんねの意識が移ってたけど、あれはどういった錬金術なのか?本編でヒントになるものあったかな?心当たりがない。
・鏡花とミナトの関係
本編でそんな素振り一切見せてなかったのに、急に見せられても困惑するだけ。本編内でそれとなくほのめかす描写があればよかった。
・設定消えた?
過去の自分と接触するなと言ってたデイブレイク。しかし、がっつり過去の自分と握手してた。良いのかよ、それまで服を触ってたからその設定生きてたと思ったのに違うのかよ。タイムロードで時間移動したわけじゃないからセーフ?過去の自分が未来に来たからセーフ?そんな限定的な設定に意味なんてあるのか?
・現代を襲った目的
上で味方側の問題点を挙げたが、敵側も相当問題を抱えてる。まず現代を襲った理由が「この時間は存在してはいけないから」というふわふわな理由。干渉しなければいい話で、わざわざ消しに行く理由として不十分。敵側の目的は「絶望を集め、完全になる」だけで良かった。絶望を集めることがなぜ完全につながるかの説明は必要だが。
・タイムスリップの方法
なんか穴をあけて、そこを通ったら現代に着いた。原理が分からないので、鏡花の作戦に納得感は生まれなかった。
・冥国のデスマスク
グリオンの新部下として登場したキャラ。特殊能力を持ってたが、攻略の面白さを描き切れず、サクッと倒されてもったいないなと感じた。本編キャストを出すために無理やり作ったキャラなのかなと邪推してしまった。
・ラスボス
グリオンが冥国王を吸収したと思ったら、逆に吸収されていた。だからって物語に影響はないと感じた。素直にグリオンが冥国の力を使って巨大化したとしても問題なったと思う。グリオンがかっこ悪く見えるだけなのに、わざわざこの要素を入れた理由が知りたい。小一時間問い詰めたい。
・ケミーと人間の想いを一つに
言いたいことは素晴らしいが、前振りがないままこんなことを言われてもついていけない。人々がケミーとかかわってきた描写がないのに、急に手元にやってきてケミーと心が通じ合ったと言われて、どうして納得できるだろう?絶望を取られ、抜け殻のようになった(これも意味不明だが)人が正気になっても、その喜びに共感できなかった。終盤の大事な展開でこの始末だから、評価を上げるのは不可能だ。
正直夏映画に関しては全てに理由を求めても仕方が無いと思います。どんなに作りこんでも時間は60分なわけで、その中で頑張った方じゃないかなと思います。去年の夏映画だって時間軸はブレブレでしたし、冬映画に関しては、ぽっとでの浮世英寿の犬が重要な役割を担ってたりと一々指摘してはキリがないです。