「落とし所が良かった」夏目アラタの結婚 luna33さんの映画レビュー(感想・評価)
落とし所が良かった
原作は未読。
堤監督の作風と言うかタッチと言うか、あの独特の雰囲気が僕はあまり好みではないため今回も迷ったのだが、まずは観てみようと思い直し鑑賞に至った。
話としては非常に良かったと思う。猟奇的殺人と不気味な死刑囚、消えた首を捜すという強烈な設定からの先の読めない展開。夏目アラタの揺れ動く気持ちと事件の真相、そして最後の最後で映画の印象が激変するほどの壮大な「純愛ラブストーリー」に昇華させるという落とし所。これは実に見事だったと思う。エンドロールの出し方などもかなり巧妙で、すっかり油断した所に狙いすました強烈な一撃を食らい、完全に持って行かれた。
また真珠は不気味過ぎて人物像が想像しづらく、アラタは言葉遣いなどから育ちを想像させ、一方で弁護士の宮前は振る舞いなどから育ちの良さを感じる。さらに死刑囚マニアの変態ぶりなど、人物描写は良く出来ていたと思う。ただ個人的には真珠の逮捕時とその後の「姿」があまりにかけ離れ過ぎていて感情移入が難しかった。同一人物として脳がいまいち処理し切れなかったのだ。あと基本的に真珠(黒島結菜)があまりに「美人過ぎた」のも入り切れなかった要因の一つだったかなと思う。もちろん歯茎の強烈さなどで成立させてはいるものの、それでも「女の匂い」までは消し切れてないという印象が拭えなかった。実はこの感じ、予告編の時からずっと気になっていたのだが、結局そこが引っ掛かってしまったのは最後まで変わらなかった。
ここでまた冒頭の話に戻るのだが、個人的に堤監督の演出と言うかタッチがどうしてもあまり好みではないという所に収束してしまう。色んな所が映画的と言うよりもTVドラマ的に感じられてしまうのだ。画的にも映画的な美しさとまでは言えず何ともTV的に見えてしまい、台詞などもあまり映画的な情緒が感じられず響いてこない。なのでどうしてもTVの2時間ドラマを観ているような気になってしまう。まあ単なる好みの問題だと思うのでこれ以上深堀りしても仕方ないんだけど。
ラストは見事な着地だったが、これも本当はもっと振り切ってくれても良かった。そういう意味では真珠がもっと凄まじい「バケモノ」でも良かったかも。その方がラストはもっと泣けた気がする。でもこれも僕の感覚が変態的で少しぶっ壊れているのだとは思う。ちなみにエンディングで流れたオリヴィア・ロドリゴの「ヴァンパイア」はめっちゃ良かった。
Iunaさん コメントありがとうございます
紹介頂いた各作品、いずれも知らない物ばかりでした
Mr.ブルックスとディストラクションベイビーズは是非、観てみようと思います‼︎ ありがとうございます‼︎ サスペンスで埋もれた名作を今度教えて下さい
さすが、Iunaさん ダスティンホフマンの「卒業」のイメージとは恐れ入りました‼︎
私は"その後"となると…非常にマニアックですが、「遊星からの物体X」(この日本語タイトルが嫌いです!だって英名は"The Thing"ですよ!そのままで良かったのに)のその後でしょうか⁉︎
カートラッセルの演じる主人公ともう1人生き残った黒人との"その後"が気になります‼︎
あと別件ですが "イヤミス"では
コメントありがとうございます。
粗筋にも「サスペンス」とありますし、予告からもそっちを期待しちゃってたんですよね。
面会の緊張感なんかもイマイチで、感情の移り変わりに関しても分かりづらかったところは否めないかと。
ただ、原作12巻ぶんを2時間で、というところでは及第点かと思います。
「×」については、真珠の持ち物に多用されてるとか、独房で一心に書きなぐってたとかなら良かった。
あぁいう演出であのオチだと、正直「しゃらくせぇ」ってなっちゃって。笑