「わたしをトルネードにつれてって」ツイスターズ LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
わたしをトルネードにつれてって
研究の為、或いは迫力ある映像撮影の為に巨大竜巻を追う人々(Tornado wrangler :竜巻カウボーイ と言うんだと今回初めて知りました)を描くディザスター・ムービーです。と聞くと、まさしく同じテーマの1996年作(ヤン・デボン監督)の『ツイスター』を思い出します。あのリメイクなのかな、続編なのかな。そんな記述をどこにも見つけられないので、やや不安な思いを抱きつつ劇場へ。
まず結論から言うと、前作と類似のお話ですが、全く別物でリメイクでも続編でもありません。そして、非常によく練られた物語でした。技術の進化を反映して前作より映像の迫力が増しただけでなく、ドラマとしての骨組みが堅牢で、失敗と後悔からの再生物語としてもスッキリしていました。
女性研究者役のデイジー・エドガー=ジョーンズが非常に魅力的に描かれている上に、チャラいインフルエンサーと思わせた男が実は・・の展開にもまんまと振り回されてしまいました。人物描写にメリハリが効いています。そして何だかんだと言っても、クライマックス巨大竜巻シーンでは、拳を握りしめてハラハラしてしまいました。
こんな大仕掛けのエンタメ作品に地味な『ミナリ』(2020) の監督を起用した事にアメリカ映画の健全さを感じます。勿論、勝算を十分に計算したのでしょうが、才能ある監督にはより大きなチャンスが与えられてこそビジネスは広がり映画界は進歩できるのです。ヒットが見込める漫画を原作にし、イケメン俳優の起用ありきで、手練れ監督に頼み、制作委員会方式でリスク分散を図る日本映画界には出来ないことだな。