「単なるパニックアクション映画かと思ったら、リー・アイザック・チョン監督の特徴を多分に盛り込んだ人間ドラマとしても面白い一作」ツイスターズ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
単なるパニックアクション映画かと思ったら、リー・アイザック・チョン監督の特徴を多分に盛り込んだ人間ドラマとしても面白い一作
ヤン・デ・ボン監督『ツイスター』(1996)の続編なんだけど、直接の結びつきはないため、同じ題材を取り上げた別の作品と見たほうが良いかも。もちろん前作未見でも全く問題ありません。
タイトルが複数形になったり、『超巨大竜巻vs人類』という派手な惹句などから、地球規模の超巨大竜巻が発生して、人類は存亡の危機に陥る……、という物語を予想していたんだけど、作中に登場する竜巻は巨大ではあっても、あくまでも現実に存在するレベル。そのためローランド・エメリッヒやマイケル・ベイが手掛けるようなカタストロフィを期待すると意外に思うかも。
とはいえ『ミナリ』(2020)で米国と移民の問題を取り上げたリー・アイザック・チョン監督のドラマ部分の作劇が巧みで、当初は腹立たしいほどに無謀かつ無神経に見えたタイラー(グレン・パウエル)が主人公ケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)と心理的距離が近づいていく過程を魅力的に描いています。
ドラマに分かちがたく「異邦人」感が入っているところは、『ミナリ』と共通しているのですが、竜巻に蹂躙される恐怖(冒頭の容赦ない描写にまず驚かされる)とが分かちがたく結びついていて、全体的に非常に手堅くまとまった印象を与えています。
全体的な空気感といい、空を見上げる描写が多い点といい、ジョーダン・ピール監督『NOPE』(2023)を思わず連想してしまう場面も多々あり!
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