劇場公開日 2024年5月25日

「福島の話のようで、その上をはるかにいく」生きて、生きて、生きろ。 waiwaiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0福島の話のようで、その上をはるかにいく

2024年6月9日
iPhoneアプリから投稿

記録映画だから、記録し続けたまま終わるわけにはいかず、何がしかのまとめ的な終わり方が必要になります。本作は、その典型のようにハマるエンディングが用意されているかのように見えます。しかし、実は多分違う。この先に、まだまだ続く道のりは、どんな風になるのだろう。そんな生優しくもないだろう。そう感じないわけにはいかない。人間が生きるって、なんなんだ。震災後に翻弄されてきた人たちの困難に満ちた生活を、それを支援する精神科の看護師や、医師とのやりとりで、静かだけれども、圧倒的なパワーで描き出しています。しかも、なぜこんなことに、という問題を、個人の話に矮小化せず、もっとはるかに深い日本社会の問題としても抉り出している。優れた映画は、映画だけで完結しない。見終わった後に、大きな余韻や、疑問や、対話を巻き起こす。この映画もそういう映画だと思います。映画館にレッツゴー!

コメントする
waiwai