劇場公開日 2024年9月13日

「立派な人の話は誰も観ない」ジガルタンダ・ダブルX ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0立派な人の話は誰も観ない

2024年9月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

各シーンが過剰な熱量で描かれ、物語は次々と表情を変えつつ予想もしなかった方向へ奥行きを広げてゆき、すべての場面とエピソードに意味があったことに気づいて、ラストはこうなるしかない!という地点に着地する。また、本作は映画の映画になっているが、それだけでなく、なんと映画を武器に戦い、さらにインド映画的要素に重要な意味をもたせ、最後には映画で勝利するという、超離れワザの脚本。 序盤で、ギャングと警察にイーストウッドを絡めたバイオレントなコメディ?と思っていたら完全に足下をすくわれて、終盤はもう滂沱滂沱である。RRRやバーフバリ、あるいはそれ以上の大傑作!

これでPG12?ってほど暴力度高めだし、極悪シーザー役の人はパパイヤ鈴木似(パパイヤ同様もとは振付師らしい)だけど、何にもない移動のシーンでも音楽とリズムが刻まれていて、3時間近い長尺なのにまったく飽きることがない。鑑賞後はポスターのキャッチ「お前が芸術を選ぶのではない、芸術がお前を選ぶのだ」にまた泣けるよ、マイボーイ!

残念なのは公開規模が非常に小さいこと、前作ジガルタンダを見逃していること、前作から今作までは9年空いているので予告された次作トリプルXがいつになるのか、ということ…(ついでに、郊外のシネコンながら少し変わった作品も上映していたMOVIX三郷がもうじき閉館で、また残念)。しかし、ホントにすごいものを観た。個人的には今年のベスト確定だと思う。

ジョンスペ