ナミビアの砂漠のレビュー・感想・評価
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女性監督の良さ悪さ
このご時世に性別を踏まえるのも適切でない自覚はありつつ、女性監督らしい作品を観たなあという印象でした。有名どころの名前を挙げさせていただくと、西川監督、河瀬監督、またエンタメ大作のラストマイルの塚原監督であっても同じことを感じるのですが、メッセージありきの画作りがちょっと過剰かつそのメッセージ自体は集中して画面を見て頭を回している私にとっては凡庸と感じる部分が多いです。ただし、その一方で恐らく監督がそんなに深く考えていないであろう部分で物凄く印象なシーンや役者さんの演技を見る機会が多く、この映画に関しても例に漏れずという感じでした。これは決して悪く言っているわけでなく、すぐ忘れる大作を見るくらいなら、一瞬でも忘れられない瞬間を見ることが映画だと思うので私は女性監督の作品というだけで価値があると思っています。すいません、全体としては好みの作品ではありませんでした。
壊れていく
2024年。山中瑶子監督。仕事も順調で優しい彼氏もいる21歳の女性主人公。しかし、やりたいことがあるわけでもなく、人の欠点や社会の理不尽さはやたらと目についてしまい、満たされない日々を送っている。そんな中、彼氏とは別の男に徐々に惹かれていき、、、という話。
後半に精神科医やカウンセラーが出てくるように、徐々に壊れていく主人公(壊れていくことを自覚していく主人公)を描いている。恐ろしいのは、特にきっかけがなくても、普通に生きているだけで人は壊れていくという筋で展開していくこと。カウンセラーにも指摘されるように、主人公は内面化した理想を相手にぶつけ、自分にもぶつけて壊れていく。
そんな主人公が時々スマホで呆然と眺めているのが「ナミビアの砂漠」の水飲み場に集まる動物たちのようだ。生きづらい人間の世界と対比されているのは間違いない。
大共感
カナと同種の人間すぎて、前半の壊れる前のカナのシーンは、なんだか自分も落ちうる地獄を観ているようなしんどさがあったが
一度壊れてしまった方が、映画の世界にぐんぐん入っていけてある種の心地よさと、笑ってしまう感じでこの映画のことが愛おしくってしかたない。ってなりカナとどこまでも落ちていけるような気持ちになった。
映画はカナとゆうどこにでもいる女の子が緩やかな放物線を描きながら落ちる、そして緩やかな回復の間口に立ったところで終わる回復の映画だと思った。
タイトルにあるナミビアの砂漠の様に(映画のタイトルで私もずっと観てたあのライブ配信チャンネルじゃんって思っていたけど、そのものずばりだった。このチョイスもなんだがすごく現代的だなと思った)傷つき、動けなくなった人も、砂漠の水溜りに集まって休んで癒される野生動物の様に逞しさをもって生きていけるよ。と背中を押してくれる作品だ。
カナは暴力も振るうし、口も悪いし、無気力だし、優しい彼氏も大事にできないし、ほんとうに褒められた人間じゃないけど
だからこそめちゃくちゃに共感してしまった。
河合優実ちゃんは主演3本目かなと思うけど、彼女の歩き方、ものの食べ方まで作りこむようなその人にしか見えない演技力の高さが遺憾無く発揮されてるのもファンとしては嬉しい。
ハヤシの何喋ってもムカつく感じとかも、なんかいそう〜こんなやつ〜〜〜って思ってすごかった。
他人から見ると絶対優しくて大事にしてくれて、浮気もしない(?)ホンダの方が絶対に良いんだけど
自分を大事にできていない人間は、自分を大事にしてくれる人とは付き合えなくって、だからこそハヤシに対しては感情をぶつけられるし、喧嘩ができるのも分かる気がした。
ホンダの風俗行っちゃったくだりも、子供を降ろした嘘(ここもほんと酷い)のとこもホンダの純粋さゆえのおかしみがあって好きなシーン。
カナのキャッチに罵られてキレるのも、会ったこともない女性が降ろしたかもしれない子供について怒りを爆発させるのも、私としてはめちゃくちゃわかる〜
知らない女だとしても、自分もなりうる最悪なことを目の前の男が原因の一旦を担ってて、忘れてたわとか言ってたらね、最悪じゃんね。
ぶん殴りたいよ分かる。何がクリエイティブだよ?悪影響振り撒くなよな。
その怒りもカナ自体が破綻してるから、説教くさくない純粋な怒りとして映画に存在するのがいい。
濱口監督組の俳優がいっぱい出ていたけど
どの役者さんも、最高の働きをしていてめちゃくちゃ良かったなぁ
特にクズ界の新生だと思ってる(もちろん役として)中島歩のとこは声出して笑いそうだった…何?あのエジプト背景。
カウンセリングのシーンも良かったし、唐田さんの理解してくれる他者としての存在感とかよかったなぁ…
焚き火のシーンは邦画界に残る名シーンだと思った。
ハヤシと取っ組み合いしても、普通に買い物言ったり、でもそのあとボコボコに殴ったり
そんで脳内世界に飛んで、あーなんか疲れたな〜ってなんなの、この映画はすごい最高だった。
エンディングも良い。
夜明けのすべて
「サマーフィルムにのって」で認識して「愛なのに」で虜になった河合優実サマ。いまやドラマでもバリバリご活躍されて嬉しいやら少し寂しいやら苦笑
「あんのこと」に続いて難しい役どころ。というか「そろそろ少し纏めて休んでは如何?」と思う位に際際なキャラクターを演じる事が多いですよね。そこが素敵とも言えるのですが、ガス抜きもしっかりして頂きたいと思う次第でございます(何様?笑)
映画本筋の物語よりも「脱毛」に関するアレコレがずっと頭の片隅から離れない作品。なんならずっとその会話メインで展開してくれてたらめっちゃ好きだったかも笑 それじゃあ何も纏まらないでしょうけども。ファンタジーな男子が二人出てきますが、後々思ったのが「この作品の視点てずっとカナの心象風景なのかな?」という点。そうするとなんだか奇妙な人物像や展開の繋がりなんかも彼女の"脳内"と捉えられなくもないわけで。そんな感じで、観た時の感想と日々思い出して出てくる感想が変わっていく"自分の脳内映画"として楽しめる側面もあるのかもしれません。わかりませんけども笑笑笑 インディーズ映画調なので取っ付き難さはありますが、触れて、考えてみるのも一興だと思える作品でした。
タイトルなし
河合優実が素晴らしい俳優という事。cmで歌も歌っていますが下手でホッとする。投手休んでる大谷翔平ぐらい「良かった。この人も人間なんだ。無理な事あるんだ」って感じる。
最近ずっと共感できて理解しやすい恋愛もの、青春ものの邦画しか存在しないようなので、
なんだか理解しきれないけどわかるような気がする、器の大きい、規格外の表現、つまりTVではなく「芸術」、「映画」らしい映画
がまだ完成できた事を幸運に思うべきかも。濱口竜介と三宅唱に並べていい程度には才能がある監督だと思うし、こういう作品が海外の賞に関係なくホイホイ形になるような邦画界であってほしい。
じゃないと地味に「日本で、映画が映画じゃなくなってる」
映画じゃないなら作らなくていい。
邦画が死にかけてるからなあ。
まあよくわからなかったけど。
女の子の日常って、本人が思ってるほど面白くないんだよなあ。生き物って大変。
ナミビアに行ってほしい。
ナミビアの砂漠って映画なのでナミビアって何処?と調べると、アフリカ南西部にある国であり大西洋の海岸線沿いに広がるナミブ砂漠が有名。さまざまな野生動物が生息しており、中でもチーターの数が多いことの事。河合優実が鼻ピアスしてるし、きっと彼女は何らかの理由で「ナミビア」に行くんだろうなぁ〜と思ったが、全くそんな話ではなく、全編を河合優実にフォーカスしたドキュメンタリー風の群像劇だった。
映画を見た頃は「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の再放送を観てたので、私の中では河合優実はちょっとドジだけどどんな困難も明るく真っ直ぐな気持ちで克服する七実ちゃんだし、その前の「あんのこと」では、とんでもない境遇から必死に抜け出そうともがき苦しむ杏ちゃんだった。しかし今回のナミビアの砂漠は真逆のキャラクター。
カナは心優しいホンダの気持ちを振り切りちょいカッコいいクリエイターのハヤシの元に走るものの、カナに対し特段悪いこともしてないハヤシが癇に障り大喧嘩をして階段落ちの大怪我をしたにも関わらず、更に喧嘩を仕掛け、遂には少し精神も病んでしまう。
こんな女嫌だ〜の典型なのに、何故か憎めない。
多分、地頭は良いのだろうから、ホンダも振り切り、ナミビアに行ってチーター並みの俊敏さでビジネスでも始めたら成功するんじゃない?とかも思う、。
監督・脚本の山中瑶子さん、カンヌで賞も取った若手。本格的長編映画の第1作。面白い映画ありがとうございます。次回作も期待してますよ!
わかる人にはわかる系
揶揄するわけではなくて、印象としてはそんな感じ。脚本も演者も良かったと思う。カメラワークだけが自分の好みではなかった。かまってちゃんというよりは、境界性パーソナリティ障害の話ではあると思うけど、隣人や自分に心当たりがあると心がえぐられるような感覚だった。今も昔も実は身近にある話なのではないかなと思った。
若さ
40代も半ばを過ぎた私からすると、何で寛一郎と別れるの、もったいないって思うんだけど、よくよく思い出したら、私にもあのような事があったような。
終盤の不安定さも、あそこまでじゃないにしてもあったような。
河合優実と金子大地は似合いすぎなの。素敵💕って思っちゃうもんね。
付き合い始めが盛り上がったカップルこそ、ああなりがち。
父親に対する気持ちがあるからこそ、何かあの写真の事許せなくて辛くなってしまったのか。
それにしても、ボーっとしていらん事言ってしまった内容が真意で笑えた。
トイレのシーンはおばちゃんには全く理解不能や。
冒頭のシーンは何か分かるな。あるよ、ああいう時。
トップレスのシーンはいらんかった。そういうの求めてないの。
現在地。
何故このタイトル?というのは謎だったが、主人公が見ていたあるモノからとったものだった。
自分から遠くにあるモノ、彼岸にあるモノは客観視できるし、他人事だけど。近くにある、此岸にあるモノは自分事となり、突き放して考えられない。
主人公のカナは刹那的に今を生きる若者だ。出自が一般的な日本人と異なることもあってか、自身の内に秘める物事が多いのか。そして、内と外の解離があるためか、感情のコントロールが不良であり、それが言語的・身体的表現となって、身近な他者である交際相手、パートナーに向かってしまう。彼女にとっては日常なのかもしれないが、パートナーだったらと思うと堪らないし、私なら耐えられない。しかし、本作のパートナー(達)は、そんな彼女の振る舞いを受け入れ、日々を過ごしている。
どんな人にも相応しい人がいるものだ、と言われればそれまでだが、本当にそうなのか。一人になる不安から、色んな言葉を飲みこんでいるだけなのか。若くルックスも魅力的な異性の魅力に抗えないだけなのか。
若さや外見はいずれ劣化する。そのとき、彼ら・彼女らは何を思い、どのような選択をするのだろうか。どこにも辿り着かない、日本の現在地を切り取った物語だった。
河合優実ありき
ナミビアの砂漠の意味。
俳優の魅力だけでは良い映画にはならない… 主人公のカナの精神状態が...
クソ男
ハリウッドの今年の顔はグレン・パウエルだが、日本は河合優実
世間に関心が無く、もちろん選挙など行ったこともない(だろう)主人公
最初の彼氏(寛一郎)は優しくて料理もする、一見問題ない男
しかし、ある告白をするのだが、男から見ると、しなくていい告白で、ある意味、バカな男の稚拙な計算が見え隠れして、個人的には不快(未熟)な男
対する、金子大地演じる第二の男は、寛一郎より不快だったので、河合優実にボコられ暴言を吐かれているシーンは個人的には拍手喝采だった ヤッチマイナ~!!(゚∀゚)!!
寛一郎はただのバカ男だが、金子大地は学歴もあり家柄も悪くない、見た目も爽やか風(服の趣味はキライだけど…)、それなりにモテてきた人生なんだろうが、致命的に中身がない!
そんなところを主人公は見えているので、あんな行動を…
演出が独特で、物語も特に動かないのだが、最後までみせる監督の力量は素晴らしかったのではないでしょうか!? オワリ!
映画観てなんになる!←今年1番のお前が言うな
2024年映画館鑑賞90作品目
9月23日(月)フォーラム盛岡
会員デイ1200円
監督と脚本は『21世紀の女の子「回転てん子とどりーむ母ちゃん」』の山中瑶子
メンヘラ女が優しいだけの男じゃ飽き足らず気の強い男に乗り換える話
主人公に共感できないと楽しめない
主人公になったつもりで観る
こういう人はこの作品の鑑賞にあまり向いていない
脚本が完全に破綻している
脚本を1番に重要視している日本映画の父がこれを観たらショックで卒倒するかもしれない
とはいえ主人公がメンヘラなんだから自ずと脚本もそうなる
脚本は酷いが決して飽きることはなかった
見応え充分
河合優実の表現力が素晴らしい
それを引き出した山中監督の演出力も凄いのか
河合優実のその時々の様々な表情が良い
映画ではなく彼女の写真集を観たと思えば良いのか
鼻ピアスを入れたり
階段から転げ落ちて車椅子生活になったり
ちょくちょくハヤシと取っ組み合いの喧嘩をしたり
やりたい放題
弁当いらんかねーなんてアレみうらじゅんが「これ絶対に入ってるよね」って言いそうなやつ
オッパイも披露するなど世の男性に朗報も
趣里や伊藤沙莉と違い必然性はあったしベッドだから自然である
上半身裸パンツ一丁で寝たいものである
「クリエイターなんだから自分で考えろ」ってやつも好き
結局ラストは突然にやってくる
これもまた映画的
これをコメディーとして捉えると胸にストンと落ちる
チャップリンを言っている
「人生はクローズアップで見れば悲劇だが ロングショットで見れば喜劇だ」と
配役
脱毛エステのスタッフのカナに河合優実
カナの浮気相手でクリエイターのハヤシに金子大地
カナの彼氏で不動産屋のホンダに寛一郎
カナの友人のイチカに新谷ゆづみ
カナの隣人の遠山ひかりに唐田えりか
精神科医の東高明に中島歩
心理カウンセラーの葉山依に渋谷采郁
カナの職場の先輩に吉田茜に澁谷麻美
カナの職場の新入りこ瀬尾若菜に倉田萌衣
ハヤシの大学時代の友人で官僚の三重野に伊島空
ハヤシの父の林恒一郎に堀部圭亮
ハヤシの母の林茉莉に渡辺真起子
ハヤシの知り合いの妊婦に高田静流
ハヤシの知り合いのカナコに空美
彫師に豊満亮
たぶん名作だ
怖い、ウザイ、キモい、めんどくさい、かわいい。
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