劇場公開日 2024年9月6日

「「恋愛」を描いた「非恋愛映画」」ナミビアの砂漠 LittleTitanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「恋愛」を描いた「非恋愛映画」

2025年3月11日
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鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

 正直、本作を批評するほど理解できた自信はない。自分が男だからなのか、恋愛が不得手だからか分からないが、ヒロインの奔放さや行き場のない怒りを、面白がりも共感もできなかった。ただ、本作が仮に「(500)日のサマー」や「エターナル・サンシャイン」に対する女性監督からの返歌(answer song)だとしたら、諸々腑に落ちてしまう。
 「(500)日のサマー」は、自身が失恋した経験を元に男性監督が創った映画。あんなにラブラブな時期もあったのに、なんであのビッチは心変わりしちまったんだという、非モテ男子の断末魔コメディ。有名な台詞は "This is not a love story. It's a story about love." (恋愛を語る映画だが「恋愛映画」ではない)。本作の主人公(J. Gordon-Levitt)をホンダ(寛一郎)、ヒロインのSummer (Z. Deschanel)をカナ(河合優実)に置き換えると、ストーリー的にはまるまる当てはまる。
 「エターナル・サンシャイン」は、鬼才C. Kaufmanがアカデミー脚本賞を得たSF/ファンタジー。主人公(J. Carrey)は、彼女(K. Winslet)と喧嘩別れした彼女が、記憶除去処置で自分の記憶を消した事を知り絶望する。仕返しとして主人公も、彼女と同じ施術を受ける。ただ、元々惹かれ合って付き合った二人。嫌な思い出を消し去った二人が再度出会ったら、また恋が始まっても不思議はない...。ナミビアで描かれた、イライラして取っ組みあい続けても別れない、カナとハヤシ(金子大地)の関係に、「エターナル・サンシャイン」の二人を思い出した。
 実際には、山中瑶子監督は「(500)日のサマー」も「エターナル・サンシャイン」も参考にはしていないと思うが、恋愛の嫌な面に光を当てた「非恋愛映画」として、自分の胸には刻まれた。

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LittleTitan