劇場公開日 2024年9月6日

「若い女性監督らしい映画だが、それだけではない」ナミビアの砂漠 bluecinemaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0若い女性監督らしい映画だが、それだけではない

2025年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

山中瑶子監督は28歳、主人公のカナは21歳。監督はインタビューでタイトルの由来について、ナミビアの砂漠のライブ映像が実際にあり、映像に出てくる水飲み場が人工的に作られたもので動物達を集め、収益化をしている。その状況をいつでも手軽に安全圏から見ることができて、フレーム外で起きている事については分からない。そうした距離感のズレに社会の欺瞞のようなものを感じて、この作品とマッチしていると感じたんです。と話している。冒頭での喫茶店へ向かうカナの歩き方や喫茶店で友達の深刻な話を聞きつつも、周りのノイズや会話の音が大きくなっていく演出によって、カナのちゃんとしてない感じが表現されている。しかし、ただ社会性が無いだけではなく初めて会う人などに対しては普通だし出かける時には身なりもしっかりしている。21歳の女性のリアルを描きつつも異常者と感じられたり共感も得られたりする人間の多面性を完璧なまでに演じ分けている主演の河合優実あっての映画だった。まだ志半ばで今のところ幸せとは言い切れないのだが、それが21歳というものだし、こんな風に自分という人間をありのまま、曝け出して生きれたらという願望を持つ人も多いんじゃないかと思った。人生において関わる人間の数だけ、自分のパーソナリティもあるのかも知れない。

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