劇場公開日 2024年9月6日

「超難解さに腹が立つ」ナミビアの砂漠 R41さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5超難解さに腹が立つ

2025年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

正直に超難解な作品
純文学と考えざるを得ない。
何が問題なのかがまったくわからず、40分過ぎたころにようやく表れたタイトル。
つまりアバンタイトルの長さが際立っている。
このアバンタイトルに描かれているのが、不動産会社に勤務する彼との生活から別れまでだ。
しかしながら、このアバンタイトルの中にこの作品のポイントが全て積み込まれているのかもしれない。
そして4:3比率の画面 昭和時代かと思わせるような街の色 丸井もそれを感じさせているようだ。
しかし登場したカナはスマホを持っている。
カフェ 友人イチカとの待ち合わせ クラスメートの謎の自殺の話
背景の「音」はすべてカナが拾っているのだろう。
カフェの雑音 誰かの話声 そのひとつがイチカの話であり、カナにとってはすべてがどうでもいいことのようだ。
帰りたくないと駄々をこねるイチカと行くホストクラブだが、途中で帰る。
そして男と待ち合わせ 公園で飲む酒 吐くまで飲んだ。
自宅に帰ると、そこにいたのが同棲している彼。
新しい彼が求めた「別れてほしい」こと。
そしてフーゾクのことを口実にした。
意味深な二股に別れる岐路 袋小路 これが彼女の立ち位置を表現しているようだ。
ここでようやくタイトルが表示される。
さて、
この作品がカナの精神や心の状態を描いているのが後半になってからようやくわかってくるが、そもそもそれはいったい何だろうか?
21歳という年齢とは、それほど中途半端な状態なのだろうか?
母が中国人 その事はカナにとっては逆風だったに違いない。
父との確執の内容は不明だが、逆風の立場をうまく処理できなかったようにも思える。
つまり、カナにとってい父とは、役立たずの存在なのかもしれない。
両親の離婚 日本に住む決心 中国へ帰った母 これらはすべて彼女の心情に影響しているのは間違いないだろう。
カウンセラーはカナに、OOすべき、OOであるべきという強迫観念の思考癖を指摘した。
自分でもどうしようもなくなった思考と心境
あのピンク色の場所と喧嘩の様子の映像を見ながらのランニングマシーンは、カナの堂々巡りの思考をようやく俯瞰できるようになった象徴だろうか。
となりに住む女性とキャンプ 焚火を飛び越える二人 これもまた幻想だろうか?
カナは無意味なことで彼と喧嘩を始める。
どうにもならなくなってしまう思考の癖
ようやく力尽きたときに見た幻想
元カレが作った冷凍ハンバーグ
それを食べる二人
中国の母からの電話
わからない言葉を彼が尋ねた。
「わかんない」
「わかんない」と言って笑う二人
下唇をかみしめるカナは、わからないことをわかったのだろうか?
わからないことに納得したのだろうか?
それともわからなくてもいいと思ったのだろうか?
さて、、
カナにとってどうしても受け入れられないことがあるようだ。
もしかしたらそれは「責任逃避」かもしれない。
妊娠中絶はその最たるもの。
父による責任放棄があったのかもしれない。
母もまた中途半端なのかもしれない。
誰も責任を負おうとはしないことがカナが持つトラウマの様なものだろうか?
そしてカナは嘘をつく。
元カレにもしていた浮気 彼女にとってそれは悪いことではないのだろう。
元カレのフーゾクの告白を口実した別れも、冷酷さがある。
自分の気持ちを言わないという特徴もあるし、自分の私生活を知られることに対する怒りの様な強いシャットアウト感もある。
それを理由に出勤しないで帰り、彼氏にはクビになったと嘘をつく。
自分のしていることはすべて棚に上げて、相手に対しては徹底的に暴力的になる。
他人が自分の行動に責任を持たないことを理由にして、自分は嘘をつくことで対抗しているつもりなのだろうか?
中国へ行かなかったのは、言葉がわからないからだろう。
「英語を勉強すれば?」というセリフがそれを示している。
いつも誰かの所為にして、自分では他人や物事と関わることに一線を引いている。
そのくせ、あることに対しては敵対心をあらわにする。
そしてようやく「わかんない」ことに気づいた。
何もかもが「わかんない」自分を、カナは見つけたのだろう。
このわからないことを発見する物語がこの作品なのかもしれない。
そしてタイトルの謎
カナは動画でナミビア砂漠に作られた水飲み場のライヴ映像を見ている。
これはエンドロールの最後に表示されていることでわかる。
水を求めに来る動物たち
カナはその映像に「生きる意味」を探していたのかもしれない。
大都会の中での彼女の生活はせせこましく、でも砂漠に生きる動物たちは飲む水にも困窮する。
対比であり同一でもあるとカナは感じていたのかもしれない。
元カレの作ったハンバーグ
彼が焼いたハンバーグを食べながら、カナは人の想いをほんの少しだけ感じられたのかもしれない。
むずっ。

R41
Yumさんのコメント
2025年3月9日

本当に、むずっでした(꒪⌓︎꒪)

Yum