シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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ポスタービジュアルから受ける印象とは違って派手な作品ではなく、アク...
ポスタービジュアルから受ける印象とは違って派手な作品ではなく、アクション主体の戦争映画ではない。世界で起こっていることをアメリカに持ち込んで、そしてまたアメリカで起こっていそうことも描きながら、戦争をフォトグラファーの目で語るという意欲作。
過去のベトナム戦争をベースにした良作に通ずる素晴らしいヒューマンドラマ / 最初の投稿後の加筆あり
11/17加筆===========================
低評価が多いので私の勝手な高評価解釈を加筆しますね。
右と左の対立と対比をずーと意識させつつ、そこには少しの差しか無く、どちらに転ぶのか分からないという危うさがあるという描写・編集をしていたと思う。
勝手にこのことがメッセージだと解釈し、これをサブリミナル的に刷り込み編集した本作を高評価したもの。
特に以下のシーンにその雰囲気が伺えた
①ガソリンスタンドで吊るされて居た人について吊るした側は「同級生だよ」と言うところ → もとは仲間だったのに、きっと些細なことでこんな酷い状況に
②暗闇の空に、空虚に「左右」で撃ちあう閃光の画
③その後にジョエルとジェシーが車の後部ハッチで「左右に座り」話すシーン
④極めつけは、車で並走して「右から左へ次々と乗り移る」シーン → 軽い気持ちが結果として重大な事態へ
⑤赤いグラサンが差別的に人を殺す、その後のシーンではボランティアが無差別に救済を行う
⑥善として描く老ジャーナリストも自分たちが助かるために人殺し(車で轢き殺す)を実行することになること
⑦中盤までジャーナリスト=ジェシーやリーを中立的としながら、反大統領側の従軍ジャーナリストを登場させたこと。
⑧最初にジャーナリスト志望のジェシーはどちら側でもなかったが、結果的に反大統領側が望む写真をとることになること。
それから、戦闘に巻き込まれている人がいる一方で、それとは距離を置く人たちがいることなんかもそうかもしれない。スナイパー同士の打ち合いもしかり。
本作は誰が善とも悪とも描いていない。観る側が悪(善)としたものが悪(善)で、でも、それは薄氷の上にあるということではなかろうか。とにかく「対比」をとことん放り込んでくる映画だったと思う。その映画としての巧妙さが私の高評価となっている。
(※10人目までの「共感」は11/17の上記加筆を含まない時点のものです。)
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(↓以下が最初10/10のオリジナル投稿になります。)
素晴らしい映画でした。
とにかく映像と音の組み合わせが良かった。迫力の銃撃戦が良かったとか、残虐なシーンとかのリアルさが良いとかではなく、画の強弱の付け方や、静と動、夜と閃光などが、人の生と死や、静寂と狂気、冷静と熱血などとなんとなくリンクさせているように感じた。きっと敢えてカメラという止まった視点も意図的なのでしょう?
全てのシーンがサブリミナル効果を発するように緻密に組み合わせてるのではなかろうか。
結果何を伝えたかったのか意味不明ながら、善・悪・人間とは何かを問われているように感じた。そういう意味では表題の通り、過去のベトナム戦争をベースにした良作の「地獄の黙示録」や「フルメタルジャケット」を思い浮かべた。特に本作の画作りは「地獄の黙示録」に強く影響を受けているように感じた。
何のために戦っているのか意味不明とか、政治的意図があるとか、私的には気にならなった。主要登場人物の老人/若者/男/女を通して、色々な感情を、基本的に画として私たちに訴えてくる素晴らしい「映画」でした。
映像 ★★★★★ 良い!
音 ★★★★ 映像との組み合わせが絶妙
物語 ★★★★ 距離、時間(年齢)など上手く取り込んでいる
役者 ★★★★ 主要人物全て良し
編集 ★★★★★ 109分という短尺なのに、3時間の長編を観たような気が
する素晴らしい編集。
粗さ ★★★★ 全く気にならない
総合 4.5
満点に0.5足りないのは、終盤でリーが身を挺して撃たれ、ジェシーが次のステージへ移行していくシーンが、やけに軽く感じたところかな。
エンドロールの日本人らしい人探し。
SONOYA MIZUHOさん、従軍記者の役の人なんですね。既に結構な実績のあるハリウッド女優さんでした。私の好きな映画BEST2のLaLaLandにも出演されてたのですね・・・。
映像と音響が凄い
けど、それだけっちゃそれだけ
突拍子もないBGMは何の意味があるんだろ
ストーリー的にはそもそものなんで?が描かれてなく
体制vs反体制のどちらに感情移入すればいいのか分からず
主人公達を脅威に貶める兵士も無害な兵士もどちらの側なのか判然としない
反体制、反政府主義の方々向けの作品なのかもしれないね
ある意味奥の深い映画かも?
政治ミリタリー映画と思いや、報道戦場カメラマンの話。
構成は、地獄の黙示録を思いだす。
撮影のリアル感、何気ないシーンの撮影映像の美しさ。
ドルビーアトモスの音響効果の凄さ😆
音デカすぎ。
撮影賞、音響効果賞とりそうな👍
ラストの市街戦は見応えあり。
音楽、BGMの使い方も
ベトナム戦争映画のように、お気楽に。
やはり、ドアーズ的な反戦歌詞に。
緊迫シーンは、音楽BGMなし現場ノイズだけ。
凄い。
メディア報道の同業者なんで、
劇中ベテラン報道カメラマンのセリフに
「いろんな国の戦場を撮影して、自分の国はこんな事してはいけないと報道してきたけど、
まさか自分の国がこうなるとは...
今まで自分は、何を撮影し報道してきたのか...」
のに感無量🥲
ぜひとも映画観る価値ある映画。
描写はとってもリアルだけど
戦闘シーンや、それによって負傷する人の描き方は非常にリアルです。ただ、なぜ内戦が始まったのかとか、この映画のラストの後の世界がどうなるのか、ということについては詳細に描かれていません。始まった理由については、アメリカの現状を考えれば、なんとなく想像できなくもないですが、テキサスとカリフォルニアが共闘しているという、現実ではありえない組み合わせなので、そのあたりもボヤかしている感じですね。途中で遭遇する兵士・戦闘員がどっちの勢力なのかも、明確になっていないし。現実に、デマやフェイクニュースで右往左往していて、対立が起こっている中、明確にしていたら影響されてしまう人もいるのかも知れませんね。
登場人物同様、市街戦の真っただ中にいるような感覚になります。実際にいたことがないですが、私はフィクションの世界だけで十分です。内戦が繰り広げられているのに、関係ないと思っている人がいるっていうのも、リアルでいいですね。
事前にラジオで紹介されていたことからは、もっとフェイクドキュメンタリーっぽい映画かと思っていました。思ったよりもドラマでした。
以下は、本編と関係のない話ですが、リーが使うカメラは「α」のロゴだけで、メーカー名ソニーのロゴがありません。ジェシーが使うカメラはニコンのロゴがあり、FE2という型名までセリフに出てきます。映画会社的にソニーがまずいのなら、キヤノンのカメラでも良かったような。また、ジェシーのカメラはモータードライブもオートフォーカスもないフィルムカメラですが、かなりの連写をしていたり、フィルム交換が簡単にできないような環境なのに、大量にシャッターを切っていることについては、昔フィルムカメラを使っていた立場としては、ちょっと不自然でしたね。写そうとしてフィルムがない、なんていうシーンがあってもよかったかも。
この映画から何を学べば良いのか?
IMAX 字幕版で鑑賞
テキサスとカリフォルニアが独立して政府軍と内戦勃発、記者達がインタビューを取るためにワシントンD.C.に向かうらしい。
カメラマンはモノクロフィルムのカメラを使う。かと思ったらスマホを持っている。ごく近未来か?
西部軍だから西海岸から移動と思ったら距離が違う。後でポスター見たら自由の女神があった。そんなもの映画に出ていなかった。
軍人が誰と闘っているのか不明確なので、主人公達に思い入れができない。観客である私は、敵が悪だと思っているので、主人公側を味方だと思い感情移入が出来るが、それが無い。
PRESS であれば最前線でもなんでも有り?軍人に注意されていたよね、邪魔なんじゃない?
途中で画的に、草花や火の粉が舞う中を走る車など、スローモーションで美しい場面も。
この映画は何を観客に訴えたいのか?
現実の世界で起きている戦争に対してなのか?
アメリカで今ある分断に対してなのか?
戦場記者のありように対してなのか?
しかも新人ジェシーの暴走ぶりには目に余る。
途中で犠牲になった仲間。知人の車にジェシーが乗り込まなかったら…?
極め付けは自分の欲しい画の為に、敵前に飛び出し、結果仲間が撃たれる。
さらにその瞬間をカメラで撮り続ける。
制作意図がさっぱり分からないので、私には何も得る物はなかった。
戦場カメラマンという生き物
イヤーさすがA24、勘弁してほい映画でした。
これから観る方は、体調にご注意ください。
IMAXで鑑賞したので、銃声やヘリの爆音が心臓に響きました。
アメリカ内戦時、ジャーナリスト4人が戦火の中、大統領への単独インタビューを目論んでホワイトハウス向かう映画です。
キルステイン・ダンストと ケイリー・スピーニーが戦場カメラマンとして、行く先々で反吐が出る様な光景を写真に収めます。
決して他人におすすめできる映画ではありませんが、世界中の戦地ではこの様なことは起こっているのでしょう。
久しぶりに震える様な映画を見ました。
評価を4、5としたのは、モラルのカケラも無い物語でしたが、ぶれの無い良くできた映画でした。
A24恐るべし。
とにかく怖い!全部怖い!元凶の大統領だけが全然怖くない!
とにかく怖い映画だからライトなアクション映画と思って見に行くとションベンちびります。
ずっと鳴り響いている銃の射撃音が鈍くて重くて痛そうで怖い。
敵か味方か分からないのに平気で殺しあう戦争下の狂った世界が怖い。
法の及ばない無秩序な世界で銃を持つ赤メガネの偏った価値観が怖い。
諸悪の根源である大統領だけが全然怖くないのが怖い。
内戦という無秩序な極限状態で、日常だったらただの隣人が悪魔となって襲い掛かってくる。
エンタメ度も高く、見た後に思考の余韻も与えてくれる傑作。
現代版地獄の黙示録と言われるのも分かる。
陽気な音楽や美しい火の粉が憎い
戦争は身近にある、いつこうなってもおかしくない、というメッセージを伝えながら、どうにも戦争を劇中のドラマチックな出来事のように思わせようとする皮肉な演出をするせいで、気持ちがぐちゃぐちゃになりました。私はいざこの場に居合わせれば問答無用でぶち殺される"種類"の人間なんだよなあ、と思いながらIMAXで音や映像を堪能する時間もなんとも言えない。とはいえ、戦場カメラマンに着目して戦争を捉えたことはなかったので、最後はリーが乗り移ったかのような新人カメラマンジェシーの成長がみられたのも面白かった。ただやはり私は、戦争の残酷さ、一人一人の命の重みの感覚が麻痺していくことへの恐怖や、どうしても遠くの地で起こる他人事だと思ってしまう気持ちを捨てられないことへのやるせなさを強く感じました。観る人によって受け取るテーマが色々ありそう。
ラストの現像されていく写真 勝者の笑顔
タイトルにtheがつくと南北戦争になると聞いていたので、両軍のストーリーと思いきや、従軍するプレスの話でした。
想像以上の生々しさと恐怖。
カーチェイス
クリスマスのシーン
巻き込まれ避難する人・死んだ人々
無関心に徹する人
どれも現実に起こっていることで、自分は後者の方だと向き合わされた。
始まった戦争を終わらすのは、暴力でしかないのか?
タイトル負けしてるかな、現代の話としては違和感ある
戦争カメラマン視点が前時代的、フィルム現像してるから20〜30年前設定かと思ったらデジカメ出てきて現代かでビックリ😳内戦の端緒や実勢が描かれないから、各挿話も局地テロ制圧な感じで、処刑、戦闘シーンもねじ込み感が強過ぎて逆に戦争の凄惨、絶望、慟哭感があまり伝わらなかった。※日本の元カメラマンW氏がチラついて、感情移入出来なかったのは私の問題😔
ラストの突入は見応えあるが、大統領の顔出しが出川のような芸人感で山場で一気にゲンナリ→有名な方ならごめんなさい。ジャーナリストの闇が深く描かれないままのリーとジェシーのラストも想定通りで肩透かし。けっこうな数の途中退出がいたのも頷ける内容でしたが、過大な期待しなければ最後まで見れると思います。
恐怖
銃弾がびゅんびゅん飛んで超こわい。戦場カメラマンってあんなこわいの?一歩間違えたら即死。音の良いドルビーアトモスで鑑賞。
若い頃に見てたら、若いカメラマンに感情移入してたのかなあ。完全にキルスティン側。若いってまぶしいわ。ガンガン前いくね。もう行けない、ムリ。なんの意味があるのかもわかんないし。わかるとしたら、目の前のこの子を助けるのが正しいってこと。
私と同じみための東アジア系の人たちが遭遇する恐怖がおそろしかった。彼の何もかもは無効にされ、切り取られるのは見た目と出自だけ。この恐怖とむなしさ。白人男性である監督がこれを描き出すのはすごいと思った。
内戦の背景はあまり説明されないのでどちらがどうなのかわからないのもこわかった。シカトして普通に暮らしてる人もいるし。なんじゃこりゃ〜。
意味がわからず消される恐怖‼️❓
内戦は荒唐無稽。
従軍記者の姿がテーマ。
従軍記者は反乱軍のプロパガンダ。
カメラマン見習いの可愛い子が主役、自己中で、命の恩人が死ぬ姿や、ただ、死ぬ姿を近くで撮る、吐く、生き延びる。
他の記者も、無頼の輩のみ生き残り、手柄をたてる。
ドルビーアトモスの大画面で、大音量、局地線の、無意味な迫力。
どこのアメリカ人だ、赤サンの偏執的な兵士が問う、どこどの州です、これが正解、これがルーツ。
反乱なんて起きないことも、報道が偏向してることも、アメリカ人は承知でこの映画を楽しむのだろう。
そんなアメリカ人を他国民は、どのような目で見たら良いのだろう。
嫌だ、こんなものだ、とゆうのでは無く、アメリカを理解、報道を理解、するために、どうぞ。
はっきりとした戦争映画
タイトル通りの感想であり、これら以上でも以下でもない。
"CivilWar"という名の通り、現状のアメリカ合衆国では勿論起きてはいない「もしも」のお話。
これまで少なからず戦争映画を見てきた。その多くとして実際に起きた戦争にフィクションを載せた映画、もしくはスーパーヒーロー等の架空でSFからの善悪が分かった映画、こうしたものを観てきた。だからこそ、結果が分かっている中で戦争に表す意味とは何なのか様々考えていた。
ただ今回ばかりは異なり、もしかしたら将来起きるかもしれない。そして誰が正義で誰が悪なのかは決まっていない。本作ではフィクションの内容であったからこそ一応善と悪の側が立てられていた。
それでも改めて私が感じたのは
「誰もが正義であり、悪である」
だからこそ鑑賞途中から本作の戦闘シーンの多くから
「こんな事があったんだ」などと未来に起きるかもしれない
ドキュメンタリーとして俯瞰していた。
これ以上内容を深く語ることはないが、また観たいとは思わない「はっきりとした戦争映画」であった。
24-105
話題のA24作品を鑑賞。
臨場感と迫力、緊迫感を強く感じる。
戦争による倫理観の崩壊や命の軽さ、
歪められた正義。
分断されて争う理由はよくわからない。
何か些細なことがキッカケかもしれないが、
正義を歪めるほどの理由がわからないので、
まったく感情移入できなかった🤨
ずっとピントが合わない
期待し過ぎただけですが、個人的にバランスが悪い印象を受けました。IMAXで観ましたが、損したなというのが正直な感想です。
極限まで説明を省いた作風はいいと思います。劇中の世界に否応なく放り込まれるのは大歓迎。だがしかし、肝心のシーンで流れるノー天気な曲が緊張感をことごとく削いでくる。監督は意図があったと思うんです、だけど汲み取れなかった。端的に合わなかっただけなんですが、没入感を優先するならそこは変な選曲は要らなかった。
ジャーナリズムとは何なのか。それも汲み取れなかった。少女に関してはただ単に撮りたいものを撮ってるだけで、自分がトラブルの元になってること気付いてるのか?と問いただしたいレベル。
ジェシープレモンスのシーンは手放しで良かったです。登場は僅かながらも圧倒的な存在感。シチュエーションもあるのでしょうが、それを差し引いてもスクリーンを独占してました。⭐︎2つは全て彼に。
全ての人間が「的」になるのが戦争
連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー(公式サイトより)。
エンドロールが終わり、館内が明るくなってからもしばらく立ち上がることができなかった。IMAXシアターの底力はあったものの、それ以上に、ついさっきまで描かれていた「人間」に立ち竦んでしまった。
本作ではアメリカを舞台に「分断」が引き起こす絶望的な未来を経糸に、ジャーナリズムの本質、暴力がもたらす高揚感、市井の無関心、次世代への継承、アメリカ(アメリカばかりでもないように思うが)で猛威を振るう二元論などが緯糸として織り込まれている。
トレイラーにも採用されている「What kind of American are you ?」というセリフが登場するシーンは、この「分断」を極めて端的に、暴力的に、不気味に描いた白眉だ。ドラえもんの「どっちも正しいと思ってるよ。戦争なんてそんなもんだよ」という名言が頭をよぎる。リー役のキルステン・ダンストのリアル夫であるジェシー・プレモンスが、ほっぺたを掻くように人を殺す、めちゃくちゃおっかない兵士を演じている。チープな赤いサングラスはトラウマモノである。
こうした「正しさ」のぶつかり合いを戦地から報じてきた歴戦のカメラマン・リーは、見習い女性カメラマン・ジェシーに、「自問自答なんてキリがない。記録し続けることよ」と戦場ジャーナリズムの神髄を伝えながらも、その空疎さ、無力さから、次第に心が苛まれていく。
そんなリーとは対照的に、ジェシーは自らも命を落としかねない極めて危険な状況でさえ、時に兵士を追い越して、瞳孔を開いたままシャッターを切り続けたり、時に笑顔を見せたりするようなる。生死の境目にいることに高揚感や興奮を覚えてしまう、悲劇的な成長を遂げ、ラストへと向かっていく。
こうしたリアリティ溢れる演出や、大胆で繊細な俳優陣の演技も然ることながら、圧巻は音である。武器の号砲、人間が踏みつけられる音、ヘリや戦闘機の爆音、戦地に響き渡る怒号、そして場面に全く似つかわしくない穏やかなアメリカンミュージック。ぜひIMAXシアターで堪能したい作品である。
正義による煽動は二元論から生まれる。その瞬間、対立する人間は人間でなくなり、ただの弾丸の「的」になる。二元論を煽る人間、翻弄される人間、無関心を決め込む人間、葛藤する人間、暴力に高揚する人間、状況を報じる人間、その全ての人間が「的」になるのが戦争である。では反戦、非戦はどこが糸口になるのだろうか。現実のアメリカでは民主党支持であるカリフォルニア州と、共和党支持であるテキサス州が同盟を結ぶというフィクションに、アレックス・ガーランド監督からのヒントが仕込まれている。願わくば、ジェシーの年頃の他愛なさ、好奇心、無邪気さが死に直結するような世界にならんこと。
全500件中、221~240件目を表示