「タイトルなし」シビル・ウォー アメリカ最後の日 ソルトンさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
勝手にエイリアンの出てこない「インデペンデンス・デイ」みたいな痛快作品だと思い込んでいた。そして今日観たかったのは、そんな痛快な作品だったのに、蓋を開けてみれば感染者の出てこない「28日後…」みたいな、ずっと静かな緊張感が漂う全く違ったジャンルの作品だった。鑑賞中は、ずっと「28日後…」が頭の中に有ったんだけれど、後で調べてみれば監督が「28日後…」の製作総指揮と脚本やっていて納得。
派手さは無いが、やたらリアルで、どこに行っても危険な所っていう緊張感が常に有る。
なんでも有りみたいな情勢で知らない奴が出てくると一気に緊張感が高まる。ピンクのサングラスをした金髪軍人は大っ嫌い。車に吹っ飛ばされていたけれど、是非とも◯んでいて欲しい。きっと太々しく生きてるんだろうけど。
登場人物の方は構成的に最後まで生き抜き変化を見せる奴、途中で退場する奴、最後に退場する奴って感じで、チームが結成した辺りから話の展開はバレバレだった。
終盤、先輩カメラマンそっちのけで写真を撮りまくる若手カメラマンが凄まじく、倒れ行くキルスティン・ダンストにカメラを向ける姿には狂気を感じた。
戦争映画は沢山作られてきたが、ほとんどの作品が過去の戦争を描いたものに対して、この作品は完全なフィクションであるにも関わらず、そう遠くない未来に起こりえそうな恐ろしさが伝わってくる。この感想を書いている短い期間の中でも、アメリカの民主党議員が暗殺されたというニュースが入ってきているし、デモでアメリカ人が石を投げ合っている映像なんかも流れてくる。こういった作品は戦争抑止には少なからず効果を出していると思っているのだが、世の中が争いに向かっていくスピードを、ほんの少し緩める程度の力しか無いんだなという現実を突きつけられた気がした。