「偏った人による偏った人のための偏った映画。」シビル・ウォー アメリカ最後の日 hashikun54さんの映画レビュー(感想・評価)
偏った人による偏った人のための偏った映画。
面白くなかった。
現実では平和な街が作中では戦場になっていて、って話だと漫画の『西武新宿戦線異状なし』を思い出しましたが、アメリカでも『レッド・ドーン』とかありますし、特に珍しいプロットでもない。
狂ったディストピア世界で自分たちだけ狂っていない主人公が生き延びるために奮闘する話、その程度のプロットなんだと思う。
何を争って内戦に発展したかとか、背景は何ひとつ語られてないし。
本来『その程度』であるはずの映画がアンチトランピズムの民主党支持者のいう、トランプがもたらした『アメリカの分断』っていうフレーズに嵌ったから、現実世界を投影して未来への警鐘だなんだと持ち上げられてただけなんだと思う。
予告編で有名な「私たちはアメリカ人だ」「どの種類のアメリカ人だ?」の台詞のあとには「中米か南米か?」と続く。全然、深い意味はない。
登場人物がみんなおかしい。
正規軍でさえ話が通じず無防備な民間人に平気で発砲する。
普通、戦争を終わらせたければ投降してもらうのが一番簡単で手っ取り早いわけで「大統領は見つけ次第殺害」なんて方針は阿呆でもやらない。
首都で攻防戦が始っても避難もせず大統領府に籠って執務を続ける大統領ってめちゃくちゃ気骨ある人じゃないか。
結局、ストーリーを考えた人は、ちゃんとしたキャラクターを立てて現実味のあるストーリーを作れるだけの能力がある人じゃないって事なんだろう。
大統領の気骨なんて考察しても無駄なのはわかるから一瞬以上考えない。
最前線の兵隊について行って銃弾に身を晒しての撮影取材は、最後主人公が撃たれて死にますが、雲仙普賢岳の噴火の時のようにああいう時って得てして無関係な第三者を巻き込んで死人を出すもので、私は本来やるべきだと思いません。
あと能天気な挿入歌がどれもこれもシーンにまるで合っておらず、しかも全然名曲とも思えず非常に気色悪かった。