「恐ろしかった」シビル・ウォー アメリカ最後の日 てらちとさんの映画レビュー(感想・評価)
恐ろしかった
IMAXで観たので、恐ろしさ何倍になったのか..大音量で爆撃音、銃撃音が腹に響き、大画面で人の血しぶきが飛び散るところを見て、始めは本当に早く帰りたいと後悔していた。
まるでその場にいるかのような臨場感。あの赤サングラスの兵士の場面では、自分も、緊張の余り、ハアハア言ってるかもしれないと錯覚するくらい、恐ろしかった。殺されるかもしれない臨場感って、もう、すごい。何も言えない。赤サングラスを小道具に使うのって、かなり効いてる。もうわけわからん、コミュニケーションとれん、どっかいっちゃってる人の感じ。
でも、こんな平和な日本でこの劇場に座って、こんな戦場の臨場感を感じられるのって
なかなかないのかも。平和ボケした自分がちょこんと座って、戦場のジャーナリスト達を見てる、なんて、なんか皮肉。
ストーリーは最小限、ほとんど説明ない。しかし戦争はアメリカだけでなく、今、世界のどこかでも起きているんだ。戦争を始める理由はあったのだろうが、もう理由はいらない。
目の前の暴力には暴力で立ち向かうだけしかない。暴力が暴力を呼び、相乗効果となり、やがて人の思考力や判断、神経もやられて、人の生死にも、自分の死にも、無反応になっていくのだろうか。
この映画を観て、心底、ああ、まだ安全な国に生まれてありがたいと、思った。
アメリカ人は自分達が開発したハイテク兵器で、同じ文化言語をもつ同国人を何のためらいもなく殺せるのだろうか?
分断というのは、この映画では州ごとになっているようだが、今のアメリカの分断は、富裕層とそうでない人々、または、白人とその他の人種、もしくは移民、では ないのか…?
州ごととはそんな事もあるのかな、今のアメリカ情勢を知っておこうかな、と思った。
今のアメリカの一番感性のとがった映画を作るスタジオなんだろうな。人のざわっとするようなところを突いてくるような、観終わった後に、幸福感はないけれど、すごいと思う。