劇場公開日 2024年10月4日

「メッセージ性が乏しく、立ち位置が曖昧な映画」シビル・ウォー アメリカ最後の日 チャキオさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5メッセージ性が乏しく、立ち位置が曖昧な映画

2024年10月12日
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鑑賞方法:映画館

結論を先に述べると、鑑賞した後の充実感・満足感がほとんどない映画だった。
私は、沢山の映画を見るようなハードウォッチャーではないが、今まで鑑賞した映画に比しても、かなり下位に位置する。
 そして、自分なりに何故そのように感じたのか色々と模索してみた。
 まず、感情移入や没入感がほとんど得られない点があげられる。
映像は、無駄な効果音や音楽などはほとんどなく、響くのは、銃声、大砲の音、叫び声だったりして、戦争をリアルに表現している。だけど、ただそれだけ。
 一番大事な、戦争を行うに値するだけの大義というか理由が、必要最低限しか説明されていないため、なんとも、感情移入がしづらく没入感が得られにくいのだ。内戦なので、おおよそ政治的な問題であることは想像できるが、この点をもう少し深く掘り下げて丁寧に表現すれば良かったのではないだろうか。
 正直、腕のいいプロゲーマーが遊んでいる、出来の良い戦闘ゲーム真っ最中の画面を見せられているようで、とても無機質に感じた。
 次に、映画内容が、タイトルの「シビル・ウォー(内戦)」にそぐわない。もしくは、その逆で、「シビル・ウォー」というタイトルが、内容と合致していないように思う。
 この映画は、大統領へ取材をするために、ホワイトハウスへ向かう道中、内戦に巻き込まれる師弟関係の報道カメラマン二人の体験が主体となっている。この二人の報道カメラマンが、内戦を通して、徐々にお互いの関係性や距離を縮めていき、一人前の報道カメラマンへ成長していく描写やストーリーとなっている。
 私は映画への集中が途切れるので好きではなかったが、戦闘シーンのところどころで、カメラマンの撮影写真がスクリーン上に、スナップショットのように白黒で写し出される場面あった。これも報道カメラマンが映画主体であることを物語る要素でもあると思われる。
 なので、私のように、何の予備知識もなく、タイトルから内容を想像して鑑賞すると、「ちょっと違う」「梯子をはずされた」ような感覚が芽生えてしまうように感じた。
「タイトル」・「内容」・「テーマ」の三つが上手に機能せずにバラバラで曖昧のような感じを強く受けた。
 私自身は、カメラマンの「成長物語」だと感じたが、人によっては、タイトルどおり「戦争映画」だと思うだろう。
ミステリーやサスペンス映画、ホラー映画とは違うジャンルなので、受け手側、鑑賞側が色々考察・推理するというよりも、もう少しわかりやすいメッセージを込めた作りになっていればと感じた。

チャキオ
チャキオさんのコメント
2024年10月13日

コメントありがとうございます。自分としては、当初、鑑賞するつもりは、なかったのですが、友人に誘われて……。鑑賞後、二人の感想は「…………???」ってな感じにになり、一体何を伝えたかったのかよくわからないという結論に。
同じ「シビル・ウォー」でも、マーベルの「キャプテン・アメリカ」の方が10倍は楽しいと思いました。それから、私が表現した「成長」ですが、今、冷静に思い返すと、確かにMさんのおっしゃるとおり、彼女の行動は、「成長」したというよりも、ただ、単に、内線がもたらした、無謀で狂気的な行動をするようになった、という表現がより適切かなと思いますね。

チャキオ
Mさんのコメント
2024年10月12日

個人的に、なかなか表現できなかったこと(題名との違和感、感情移入がしにくい理由など)も含めて、わかりやすいレビューでした。
あれを「成長」と言っていいのか?というのは正直あり、逆に、普通の感覚の人が、だんだん狂気にかられていくような話に感じましたが、自分が没入できなかった理由が整理されたようにおもいます。
丁寧な考察、ありがとうございました。

M