劇場公開日 2024年10月4日

「過去のベトナム戦争をベースにした良作に通ずる素晴らしいヒューマンドラマ / 最初の投稿後の加筆あり」シビル・ウォー アメリカ最後の日 くりくりぼーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5過去のベトナム戦争をベースにした良作に通ずる素晴らしいヒューマンドラマ / 最初の投稿後の加筆あり

2024年10月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

11/17加筆===========================
低評価が多いので私の勝手な高評価解釈を加筆しますね。

右と左の対立と対比をずーと意識させつつ、そこには少しの差しか無く、どちらに転ぶのか分からないという危うさがあるという描写・編集をしていたと思う。
勝手にこのことがメッセージだと解釈し、これをサブリミナル的に刷り込み編集した本作を高評価したもの。

特に以下のシーンにその雰囲気が伺えた
①ガソリンスタンドで吊るされて居た人について吊るした側は「同級生だよ」と言うところ → もとは仲間だったのに、きっと些細なことでこんな酷い状況に
②暗闇の空に、空虚に「左右」で撃ちあう閃光の画
③その後にジョエルとジェシーが車の後部ハッチで「左右に座り」話すシーン
④極めつけは、車で並走して「右から左へ次々と乗り移る」シーン → 軽い気持ちが結果として重大な事態へ
⑤赤いグラサンが差別的に人を殺す、その後のシーンではボランティアが無差別に救済を行う
⑥善として描く老ジャーナリストも自分たちが助かるために人殺し(車で轢き殺す)を実行することになること
⑦中盤までジャーナリスト=ジェシーやリーを中立的としながら、反大統領側の従軍ジャーナリストを登場させたこと。
⑧最初にジャーナリスト志望のジェシーはどちら側でもなかったが、結果的に反大統領側が望む写真をとることになること。

それから、戦闘に巻き込まれている人がいる一方で、それとは距離を置く人たちがいることなんかもそうかもしれない。スナイパー同士の打ち合いもしかり。
本作は誰が善とも悪とも描いていない。観る側が悪(善)としたものが悪(善)で、でも、それは薄氷の上にあるということではなかろうか。とにかく「対比」をとことん放り込んでくる映画だったと思う。その映画としての巧妙さが私の高評価となっている。

(※10人目までの「共感」は11/17の上記加筆を含まない時点のものです。)
===============================
(↓以下が最初10/10のオリジナル投稿になります。)

素晴らしい映画でした。
とにかく映像と音の組み合わせが良かった。迫力の銃撃戦が良かったとか、残虐なシーンとかのリアルさが良いとかではなく、画の強弱の付け方や、静と動、夜と閃光などが、人の生と死や、静寂と狂気、冷静と熱血などとなんとなくリンクさせているように感じた。きっと敢えてカメラという止まった視点も意図的なのでしょう?
全てのシーンがサブリミナル効果を発するように緻密に組み合わせてるのではなかろうか。

結果何を伝えたかったのか意味不明ながら、善・悪・人間とは何かを問われているように感じた。そういう意味では表題の通り、過去のベトナム戦争をベースにした良作の「地獄の黙示録」や「フルメタルジャケット」を思い浮かべた。特に本作の画作りは「地獄の黙示録」に強く影響を受けているように感じた。

何のために戦っているのか意味不明とか、政治的意図があるとか、私的には気にならなった。主要登場人物の老人/若者/男/女を通して、色々な感情を、基本的に画として私たちに訴えてくる素晴らしい「映画」でした。

映像 ★★★★★ 良い!
音  ★★★★  映像との組み合わせが絶妙
物語 ★★★★  距離、時間(年齢)など上手く取り込んでいる
役者 ★★★★  主要人物全て良し
編集 ★★★★★ 109分という短尺なのに、3時間の長編を観たような気が
         する素晴らしい編集。
粗さ ★★★★  全く気にならない
総合 4.5

満点に0.5足りないのは、終盤でリーが身を挺して撃たれ、ジェシーが次のステージへ移行していくシーンが、やけに軽く感じたところかな。

エンドロールの日本人らしい人探し。
SONOYA MIZUHOさん、従軍記者の役の人なんですね。既に結構な実績のあるハリウッド女優さんでした。私の好きな映画BEST2のLaLaLandにも出演されてたのですね・・・。

くりくりぼー