「【“わしんなよー、かなさんどー。”今作は、沖縄の小さな島で暮らしていた熟年夫婦の愛と、或る出来事で父と疎遠になっていた娘が、知らなかった二人の深い愛を知り、家族の絆を取り戻す物語なのである。】」かなさんどー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“わしんなよー、かなさんどー。”今作は、沖縄の小さな島で暮らしていた熟年夫婦の愛と、或る出来事で父と疎遠になっていた娘が、知らなかった二人の深い愛を知り、家族の絆を取り戻す物語なのである。】
ー 沖縄の言葉は、分からない単語も多いが、優しい抑揚が好きであり、”喜納昌吉&チャンプルーズ”の”ハイサイおじさん”も収録された名盤「喜納昌吉とチャンプルーズ」は、夏に英国ロックを聴く合間に、車中で頻繁に流すほど好きである。
そのアルバムの中に”島小ソング”と言う歌があり、その歌は“わしんなよー、わしんなよー、わしんなよー、ヘイヘイ、わしんなよー”と言うフレーズで始まるのである。
”ハイサイおじさん”の歌詞は少しおっかなかったりするのだが、沖縄弁は良く分からないので問題はないのである。ー
■妻・マチコ(堀内敬子)を病で失った父・サトル(浅野忠信)は、年齢を重ねると共に認知症を患っていた。
二人の一粒種の娘の美花(松田るか)は、母が亡くなる間際に助けを求めてかけた電話を取らなかった父親を許せず、7年前に島を後にしたが、父が末期の状態という知らせが入り、仕方なく物調面で、島に戻るのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、昭和風のワンピースを着てお化粧をした美花が、病院の中を笑顔で歩いてくる。それを見たオバサン達は”財産目当てだねー。”と口にするのである。
上手いオープニングであるし、ラストとの連動も良いシーンである。
・物語は、、マチコが存命時に美花と話す、マチコとサトルの出会いとその後のデートの話と、マチコ亡き後に認知症が進み入院しているサトルの姿を冷たい目で見る美花の姿と入れ子構造で構成されている。
・サトルがバーで会ったマチコに一目ぼれして、会うたびにテッポウ百合の花束を持って来た話や、父から引き継いだ建設会社の社長のサトルが、毎晩飲み歩いても、マチコは愚痴をこぼさずにサトルの好きなてぃびちを煮る姿を見て、美花は”何で、怒らないの!”と言うが、マチコは”お父さんも大変だから。”と、気にしないし、いつも化粧をしている理由を美花が尋ねると、”お父さんの前では、綺麗で居たい。”と言うのである。
ー マチコを演じた堀内敬子さんは、もっと映画に出て、脚光を浴びるべき女優さんだと思っているが、今作での優しい笑顔はとても素敵である。-
・或る日、美花は生前に母が”絶対に見せない”と言っていた日記を見つける。そこには、若き二人がデートする様が記されているのである。
それを読み、初めて美花は、両親の深い愛を知り、自分の姿を見た認知症が進んだ父が”ミチコ・・。”と呟いた事を思い出し、母の若き時の青い水玉のワンピースを着て、父の見舞いに行くのである。
そして、父の部下を使い車椅子に乗った父に対し、且つてのデートの時と同じ経験をさせるのである。
■今作で、一番響くのは、美花が沖縄の衣装を着て、サトルが植えたテッポウ百合が一面に咲き誇る花畑で、沖縄の愛を謳った民謡を歌うシーンである。
その姿を、車いすに座った父は、優しい眼で見ているのである。
サトルを演じた浅野忠信さんは、誰もが認める名優であるが、このシーンでの慈愛に満ちた眼が素晴しいのである。
<今作は、沖縄の小さな島で暮らしていた熟年夫婦の愛と、或る出来事で父と疎遠になっていた娘が二人の愛を知り、家族の絆を取り戻す物語なのである。>
共感ありがとうございます!
VODで観られるようになったんですね。自分は映画館で2回観ましたが、人目も憚らず大泣きしてしまいました。舞台挨拶はゴリと松田るかの二人だけでしたが、製作秘話も聞くことが出来たし写真も撮らせてくれたので大感激しました。

