ガール・ウィズ・ニードルのレビュー・感想・評価
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Life can be beautiful
本当に想定外のストーリーで驚いたが、
観れてよかった。
最後の最後、
「私は表彰されるべき」的な台詞が
本当によかった。
何があっても、
罪とされても暴言吐かれても、
自分を貫く姿が良かったです。
ただ、やっぱり後半の展開はもっと深く描き込みが必要だったと思う。
それによってラストシーンの感じ方もまた一層深くなりそうだし。
キャストはめっちゃくちゃ良かった……
あの子役よ…どこから見つけてきたん……
悪夢のような映画、ラストとキャッチコピーに異論アリ
女性の苦悩のひとつは、望まない妊娠だと思う
否、最大の苦悩と言ってもいい
妊娠は不可逆的なものだし
男性は一時の快楽で終わるものだが、女性は身籠れば十月十日不自由を強いられる
身体は醜くなり、髪は抜け、歯もボロボロになった挙句、出産という命懸けのイベントが待ち構える
その後、果てしない時間がかかる育児という災いを抱えるのである
望まない婚外での妊娠+貧困という、最大の災厄に遭遇したカロリーネ
間借りした最低の部屋の家賃を稼ぐためにも、身重の身体でキツイ肉体労働をせざるを得ない
そこに、WWIで顔面を酷く損傷した夫の帰還
(NHKの映像の世紀でも、負傷した兵士の顔貌のケアがこの時期から始まったと紹介されてましたが、正にそれに該当)
夫の不遇な存在を暗喩する、顔を覆うマスクから漏れる不快な呼吸音が彼の登場から鳴り響き、不幸の上塗り感を増す
(夫のまともな顔面は美男子にも見えるので、カロリーネが面食いならば、こんな夫は想定外なはず…)
陰鬱なスタイルの映像で、普通のシーンもホラーに見えるような独特の雰囲気に満ちた映画、終わらない悪夢のよう
とはいえどストーリー展開は早く、惹き込まれる
ラストもあの展開は納得できないというレビューもあるが、ダウマとシスターフッド的関係にもあったので、ダウマの心残り(イリーネ)を受け止めるカロリーネという筋でも良いとも思えるが、一方でこのラストはいかにも現代的な感覚の、観客に媚びた都合の良いオチとも思える自分もいる
(対面した二人が抱き合う姿が、お涙頂戴にも見える)
この当時の孤児院の環境の劣悪さは言うまでもないが、極貧状態の主人公がそんなお花畑的な発想をするのかという疑問も…
確かにラストに異論がありますね
また予告編は「その街では、よく人が消える」というフレーズで終えますが、これはストーリーから外れてませんか?(どなたかもレビューしてました)
実際の連続殺人事件をモチーフに、という解説だったのですが、確かに連続殺人ではあるけれど、少し違う気がします
女性の貧困というテーマは嫌いではないので、結果的には良しとしますが
幸せになれなそうな気配
残酷な生と儚い死の狭間
第一次世界大戦後デンマーク。縫製工場で働くカロリーネ。貧困にあえぐ彼女は、借家を追い出され、恋人に裏切られ、妊娠の中、絶望の淵にいた。そんな折、表向きは砂糖菓子店、裏は育児放棄された赤ん坊の養子縁組の仲介をしている女ダウマと出会う。カロリーネはダウマの仕事を手伝うにつれ、彼女の恐ろしい真実を知ってしまうのだった。
モノクロ画とディストーション音は、残酷な生と儚い死の狭間を観客に想起させる。現代の価値観で測られない残酷さがテーマで、救いがない。仏教でいうところの「無間地獄」だ。詳細は避けるが、当時の市井の人々の語られぬ真実とその語られぬ社会の綻びを誰が縫うのか、そして背負ってしまった「夜叉」を誰が救えるのか、観客に問いかける。
救いと言えるかわからないが、主人公カロリーネは善人ではない。おそらく当時の価値観でも結構な「ガタピシ」さんだと思う。おかげで感情移入が出来ず良かったかもしれない。
映画としての完成度は非常の高いと思いますが、テーマが重く、残念ながら鑑賞後のスッキリ感はありません。幕が下りた後の劇場からの「持ち帰り割引ポップコーン」のCMに救われる、そんな一本でした。
モノクロが美しかった
戦争で夫を失った女たちの正しい選択とは?
本題に入る前に本作を見て思い出した
「火垂るの墓」のあるシーンについて触れたい。
両親を亡くした清田と節子は親戚の家で
世話になるのだが、
二人はそこの家庭の子供と食事の内容が
まるで違うというあからさまな差別を受ける。
では、この食事を出した叔母は責められるべきか?
きっとこの叔母は戦前は優しい人物だった筈だ。
だが戦争が彼女を変えた。
十分な食料があればこんなことはせずに済んだ。
大人になってから本作を見返すと
清田と節子を追い詰めた彼女もまた
戦争の被害者であることが分かる。
銃弾が飛び交う戦場を描かずして
生み出された反戦映画の傑作。
「火垂るの墓」がそう賞賛される理由が
僅か数分の食事シーンからも垣間見える。
本作「ガールウィズニードル」は
モノクロによるグロテスクな作風で
残酷な描写ばかりが話題になりがちだが
その奥にはこのような高尚な演出により
人間そのものを描き出すアプローチが見えてくる。
続きはnoteにて
ほぼ100%スタジオセットでの撮影で、Poland映画風ではあるけ...
ほぼ100%スタジオセットでの撮影で、Poland映画風ではあるけれど、やはり北欧出身の監督はシンプルを志向している気はする、それはそれで分かりやすくていいのかもしれない。
個人的には、テーマのわりにはぬるい印象しか残らなかった。音入れも冒険なく、妙な雑音を入れたりして映像を含めて小技ばかりが鼻に付く映画に仕上がっていました。
全編不穏
映画はいろんなことを教えてくれる
しんどい…
ニードル、の時点でイヤな予感はしてた
縫い針の先を歩く
「ゴッドランド」以来のファンのヴィクトリア•カルメン•ゾンネ主演、作品もアカデミー賞国際長編映画賞ノミネートとくれば、これは見逃せないと思っていました。
もっとホラー寄りの作風かと考えていましたが、ことのほか真面目で見応えありました。
悲しみを抱えた人ばかり登場します。貧困に苦しむ主人公カロリーネ、戦争で顔に酷い傷を負った夫ペーター、望まれない新生児の養子縁組を世話するダウマ、その娘、縫製工場の社長、その母親、ダウマの元へ赤ちゃんを託しにくる若い母親たち。
なんとも陰鬱でやり切れない描写が続きます。光と陰、画角の様式美を意識した素晴らしい撮影が、このつらい雰囲気をさらに強調していきます。
長い長い不幸な時間が経過しますが、カロリーネには中毒症状から救ってくれる夫がおり、ラスト 母性に目覚めた彼女が意思を持って一歩踏み出す勇気に、希望の薄日が差してきます。
望まれない新生児と同様、昨今も物議のある人工妊娠中絶。ダウマの行為は論外なのですが、この問題と彼女の主張が重なるところもあります。中絶の権利を認めると同時に、男女問わず(いや特に男性側に)教育や予防を徹底して説いていく必要があると思います。
誰もが必死…
1918風潮と貧困と混沌
本当の悲劇とは
生活の糧として、他人や自分を傷つける道具として、
針を様々な暗示、象徴としつつ、
モノクロの画像や雑音の多い音響も相まって
全編にわたり、暗い雰囲気で物語が展開する。
本作のクライマックスは、
養子縁組を取り持つダウマの秘密を巡るパートだと思うが、
個人的には戦争がもたらす傷や貧困、
そのような状況において、あらゆる市民(とくに女性)が生き残っていくために、
羞恥心を捨てて、いかにあらゆる手段を選択せざるをえなかったかという現実と、
それによって徐々に人間としての感情そのものを失っていく(仮面になる)過程を
本当の悲劇として捉えているように思った。
映画館の近くの席で、事前に楽しそうにお喋りしていた女子学生三人組が
どんな感想をもったのか気になった。
画像から想像できる臭気
モノクロで描かれているので、より想像力が刺激されるのですが、モノクロ故に主人公のカロリーネの年齢層が分からず40代ぐらいと思って観てしまっていました。途中であれれ?ってなりました。
その時代のその場所の臭気を感じるような気がしました。後からじわじわと恐怖を感じる映画です。
興味深く観たけどハテナもだいぶ
やや暗い話題ではあるがおすすめ枠か。
今年137本目(合計1,678本目/今月(2025年5月度)22本目)。
※ 時間調整のために「プリンセス・プリンシパル」を見てからになりますが、憲法論的な解釈が存在しない映画は観てもレビュー対象外です(しかも60分ほどで、いわゆる「つなぎ」的なストーリーだったのでちょっとがっかり)。
こちらの作品です。
2025年に放映される映画で、しかも大手の映画館でオールモノクロというのはものすごく珍しい(大阪市でも好んでモノクロ映画を流す映画館はありますが(シネヌーヴォ等)、それはただ単にフィルムの問題に過ぎない)のですが、本映画は作品自体が復刻版ではないので、狙ってそうなのだろう、というところです。
第一次世界大戦の戦中戦後のデンマークがテーマですので、このあたりの知識に明るいと有利かな、といったところですが、なくても「何とか」なります。この時代のデンマークですので、男女同権思想は「この時代を考えれば」まだ(当時の年代基準を考えれば)先進国ではあったものの、いわゆる男女同権思想の話は全く出ないわけではないものの、それを全面に押さない点はある意味びっくり。
全般的に重苦しい、あるいは「みていて憂鬱になる」映画のタイプで、また明確に「誰が悪い」ということを「一概には」論じにくい(この点は当時の人権感覚等も考えたときのお話)点もまた、フランス映画っぽく「結論は自分で考えてね」みたいな論点があり、決してこう、爽快感がどうこうというような映画ではないですが、そのように問題提起型の映画、あるいは「考えるのが好き」という方にはおすすめといったところでしょうか。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアにしていますが、デンマークの戦中戦後の歴史があればベスト、第一次世界大戦の一連の流れを理解していればベター程度なので、ある程度の知識を仕入れてからの視聴をおススメします(パンフレットを買おうと思ったら、大阪市でも超絶賛放映中の「うたのプリンスさま」が放映しすぎて売店にすら入れなかった…)。
ペーターは必要だった?
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