「皆、指摘しているように、この映画のアジア感というのは決して褒められ...」グランドツアー えーが宅さんの映画レビュー(感想・評価)
皆、指摘しているように、この映画のアジア感というのは決して褒められ...
皆、指摘しているように、この映画のアジア感というのは決して褒められたものではない。まあ、ある意味では「グランドツアー」というタイトルを正確に表現しているとも言えるのだが。
しかし恐らくそのせいで、舞台設定の妙を生かしきれていない。「生きた街」がフィルムに収まっていない。このような断片的な映画は、タルコフスキーも言う映画の性質である「部分によって全体を表す」ことがどれだけ成功しているか、世界の広がりをフィルムの中だけでいかに表現できるか、という問題に立ち向かうべきだ。本作は成功していないどころか、その意思すら感じられない感がある。
所々に良いショットはあったし、ナレーションと映像が一致しない形式も驚きがあってよかった。特に男女お互いのラスト、森の中で横たわるシーンは、空間的に一致をみなくても「場所」を介して2人が出会えるということの示唆があり、気に入った。
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