「デミ・ムーアさんに、アッパレ。」サブスタンス HGPomeraさんの映画レビュー(感想・評価)
デミ・ムーアさんに、アッパレ。
日本では泣かず飛ばすの状況が続いたと感じていましたが、本作品の演技は全身全霊を感じ、今後の俳優活動を期待させてくれました。
作品自体はホラーの枠組みかもしれませんが、デミ・ムーアさんの演技が素晴らしかった。
内容に関しては、感情や行為を極端に強調した、とある世にも奇妙な感じの作品として成立していると思う。
あのような筋書きや展開、見せ方は他の作品でもよくありますし。
こんな映画だとは思わなかったとか、後悔した等のご意見も拝見しましたが、一応ホラーとしては事前に告知していたと思っていた事と、そうでなかったとしてもキャッチコピーに「阿鼻叫喚」という大きな「おぞましさ」を歌っているので、裏切られたとは思わなかった。
若さ(スー)は見た目が美しいが、経験不足のせいか心が醜い。
年配者(エリザベス)は経験値により自意識が確立され、自分が正しいと思い込み盲目的に突き進む。
そんな二人が当たり前のように衝突する構図。 また、女性は美しさが損なわれたら終わっていくという表現は、あくまでも、特定意識のなかでの話であると個人的には思っています。
基本、誰でも様々なコンプレックスは有るし、それに対して非常に過敏に、多くの人は意識されていると思う。
それとどう向き合うかが、人生の大きな選択になるのかなと思える作品でした。
物語の起承転結の起句承句は物語の方向性が確定しており、裏切られたとか面白くないと感じた方は、其処からの終演を、いろんな意味での美しい展開を望んだ人だったのかな。
結句は、作品のオリジナリティを確定させる大事な10%部分という解釈もあり、個人的にも賛同をおぼえるので、後半のあの展開や見せ方も製作者の大きな意図が有るかなと思いを馳せます。
導入と終結を同じ象徴の上で終わらせたのは秀逸。
その時のエリザベスの表情に、美しさや醜さやスーへの想い、そして良いか悪いかは別として、有る意味納得して消滅していった、奇妙な安らぎを感じました。
とあるレビューで、マクベスの一節「綺麗は汚い、汚いは綺麗」を表現しているとの意見を拝見し、賛同を覚えましたが、同時に存在に苦悩している描写には、ハムレットの「生きるべきか死ぬべきか…」の名言も当てはまるかもなと、思いました。
半ばから後半のグロテスクな表現は、びくっりしましたがデミ・ムーアさんの演技に引き込まれたので嫌悪感等も無かった。
また、あのグロ表現に関しての色々な予想や考察を拝見しましたが、私は、世界的に有名なあの漫画家先生に影響受けた!?…何て事を、世代的な邪推で妄想してみました(笑)
ちなみにホラー作家ではありません。
とにもかくにもデミ・ムーアさんの演技には称賛を贈りたい。
ちなみに、デニス・クエイドさんのあの役柄は良いとして、わざわざあの役をデニス・クエイドさんが演じたことに(オファーをお受けした事に)少しだけびっくりしました。
役柄がなんとも、変な人で嫌な人で汚い人だっただけなので(笑)
グロい表現が多々あるので、美しい展開や映像を期待する方には確かにオススメ出来ませんが、作品としては観賞後の余韻と考察も楽しめる1品と感じたので、オススメしたいと思います。
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