「老いに怯える中年クライシスのヒューマンドラマ、じゃないよ!」サブスタンス ユウコさんの映画レビュー(感想・評価)
老いに怯える中年クライシスのヒューマンドラマ、じゃないよ!
振り切ったゴア表現のスプラッタホラーでした。苦手な人は絶対見ちゃだめ。途中で出ていく人もいたくらいだから。
設定がユニーク。若返りとか生まれ変わりとかなら今までも色々あったけど、薬によって老いた自分の身体からピチピチギャルが出てくる。別れた自分の意識はどちらかにしかなく、片方が活動時はもう片方は意識を失って転がってる。自分の身体なのに、転がしっぱなしにするエリザベスもスーも相当自己チューですね。自己愛はない。
7日間用意された栄養剤を抜け殻のボディに注射して保持。それ以上は無理らしい。しかし7日を超える方法を編み出したスーは、もちろんしっぺ返しを食らうがダメージはエリザベスのボディの方なので、どんどんスーの時間を延ばしてしまう。
この別れたボディはそれぞれの記憶を保持し共有はしないもんだから、「どちらも自分」というルールをどんどん忘れてしまう。そりゃそうなるよな。どちらも自分なのに憎み合い始めるなんて、すごい展開なんだけど、抜け殻ボディに対する態度で、さもありなんという説得力を持つ。
そして、カタストロフィ。いやいやなんであんな見るからにおかしいのをスタジオに入れちゃうの?舞台にあげちゃうの?そりゃないわー。
普通だったらエリザベスを半殺しにしてスーの身体も保たなくなったところで話は終わるでしょう。その後が、往年の名作キャリーを10倍くらいパワーアップしたような惨劇やっちゃうの。監督凄いわー。
まあとんでもない設定の話だから色んなことが都合良く運ぶのは全然構わないのだけれど、素朴な疑問。普通の女優さん、自分で注射打てたり傷口を縫ったりできるものなの?マニュアル無しであの薬も使いこなせてたし。すごいなあ賢いなあと、つまらんところで驚いてたのでした。
人の善なる心とかと無関係のエリザベスが栄光のタイルの上で満足しきった笑顔で朽ち果てるラストはおぞましいようなおかしいような。デミ・ムーア、すごい。
見る人選ぶけど、傑作。いや怪作?
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