劇場公開日 2025年5月16日

「サブスタンスは2025年のベスト級!」サブスタンス くまねこさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5サブスタンスは2025年のベスト級!

2025年5月24日
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鑑賞方法:映画館

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「サブスタンス」を遂に観た!これは期待通り2025年のベスト級作品が確定した!(ネタバレなし)

★コラリー・ファルジャ監督の映画は一本の大きな筋が通っている。短編「リアリティ・プラス/リアリティ+」、デビュー作「REVENGE リベンジ」の延長かつ集大成ながらも批評的な視点を軸に、最小限のセリフとアートのような構図と映像美、過激で印象的な映像表現で現代のルッキズム、エイジズム、セクシズム、若さへの執着思想等を痛烈に批評している。また、うす汚い男性たちへのミサンドリー描写をリアルに描いておりこれも素晴らしかった。

前半はSF風味、中盤はボディホラー、ニューロティックホラー、終盤はスプラッターホラー、全体的にはブラックコメディに着地する映画的冒険を仕掛けたのは本当に見事だった。

あの赤と白で統一されたテレビ局のスタジオのトイレは、スタンリー・キューブリックの「シャイニング」のようでもあった。
(コラリー・ファルジャ監督は好きなはず)

最後にキレて血塗れでぶち撒ける強さがある。映像作家として才能と勇気がある稀有な監督だと思う。

デヴィッド・クローネンバーグ監督をオマージュしたボディホラーと思ったら、終盤は「遊星からの物体X」を更に気持ち悪くしたモンスターの出現(モンストロ・エリザスー)、血塗れのスプラッターホラー描写への急激な着地には本当に圧倒された。
あの血飛沫は観客である”私たち”にぶちまけられていたのは間違いない!

華やかな女優人生を賭けてまで怪演したデミ・ムーにはアカデミー賞主演女優賞を獲得して欲しかった!「ANORA/アノーラ」のマイキー・マディソンよりもデミのほうに鬼気迫る女優魂と狂気を感じる。若き美しい女優、スーとして生まれ変わったマーガレット・クワリーも大胆な裸体を晒すなど本当に素晴らしい演技だった。

忘れられないのは大物TVプロデューサー、ハーヴェイ(デニス・クエイド)の汚いシュリンプの食べ方、臭いタバコ描写等、男性への嫌悪や蔑視をリアルに描いていたのも印象的。(コラリー・ファルジャ監督はミサンドリー描写が多いのも特徴的) ハーヴェイという名は、逮捕され収監中のハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインを想起させる。

終盤、ハーヴェイが株主の爺さん8人を引き連れて、スーに会いに来たカットも気持ち悪かった!まるでお台場のテレビ局の経営陣のような醜悪な描写だった。

(備忘録)
冒頭、目玉焼きが増えるサブスタンス注入描写はドラえもんのバイバインのお話(栗まんじゅうが倍に増える話)を想起させる(懐かしいよね…)

直後、元トップ女優の栄枯盛衰をハリウッドのウォーク・オブ・フェィムの星形プレートの作成工程でサラッと見せる描写はとても冴えており感心した。またラストのモンスターが星型にしがみついて安堵する表情、そして道路清掃カーに拭き取られていく哀しさを映像だけで魅せる力量に賛辞を贈りたい。

くまねこさん
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