「想像とは違う」サブスタンス ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
想像とは違う
宣伝の印象では、加齢と共に美の衰えを感じ若さへの嫉妬から若返りの薬に手を出した愚かさが起こす悲劇。
という感じなのだがそれは前振りみたいなもので、このストーリーの悲劇はその薬の効き方で、別人格の若者が発生してしまうこと。2人は一体で7日間毎に交代しなければならないというルールがあるのだが、本人の若い頃というわけではなく全くの別人格なので、何とか自分の方が長く存在したいと、特に後から生まれた若く美しい方が野望を抱いてしまうことから起こるトラブル。主人公エリザベスの場合、若い方のスーがえらく暴力的で、シーンは徐々にホラーじみてくる。
(一番目立つ指の)右手人差し指がおばあさんになってしまった時に中止すれば良かったのに…と思うが、かつて美しくチヤホヤされた人気者だったキラキラ(スパークル)の日々が忘れられない主人公には、その結論は出せなかった。
野心が過ぎたスーがエリザベスの栄養を吸い上げ過ぎた結果、骨格すら変形してせむしのようになったエリザベスも目を覆う容姿だったがそれで終わらず、2度使ってはいけない液を注入したスーは顔、頭部、胸などの体の部位やかずがめちゃくちゃになって、それで盛大な大晦日のテレビショーにドレスで登場し、会場のセレブたちがキョトンとする。それでも終わらず、エリザベスっぽい顔の部分の周囲に蛸のようなものが付いた物体が、冒頭に設置工事をされていたエリザベスのウォーク・オブ・フェイムに辿り着き覆うのだった。
とにかくデミ・ムーアが自身の体を晒した体当たり演技なので、これでオスカー取れなかったのは何故だ?と思いつつ観ていたが、終わりになるにつれB級映画の臭いが強くなり、作品のせいかもね、と思いはじめた。年寄りの役だけどデミ・ムーア自身は60歳くらいと考えるとやっぱりきれいよなぁ。
しかし終始一貫して明確に言えるのは、プロデューサーにしろ向かいの部屋の男にしろスーが連れ込む男にしろ大晦日のショーの廊下ですれ違うオヤジどもにしろ、男どもがとにかく、バカ!ということ。女は怖い、ではなく。
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