「欲望の膨張を描いた映像表現の極点」サブスタンス HKさんの映画レビュー(感想・評価)
欲望の膨張を描いた映像表現の極点
極端なドアップで登場人物達を切り取り、
人間の欲、業、浅ましさを徹底的に皮肉たっぷりに強調してみせる。
グロい映像は、観るのが少々しんどい部分も多いけれど
特殊メイクなど技術の結晶による、劣化、破損、変性する肉体のリアリティはすごい。
全体はセリフを極力抑えて映像や音響で説明することに徹底していて、
サブリミナル的に文字を画面いっぱいに入れたり様々な手法が駆使されて、
主人公の学生時代の同級生からの誘いに逡巡したり、
老化という現実から逃れたい、若いままでいたいと激しく揺れ動く心情が、
鏡の前のシーンなどで執拗に描かれる。
後半は細胞の膨張が戯画的なレベルまでに到達し、
気持ち悪さを突き抜けて、ある意味爽快な喜劇の世界へと飲み込まれていく。
老化への抵抗という人間の欲望の膨張を徹底的にあぶり出し、
誇張してみせた映像表現の極点ともいうべき傑作映画。
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