「優れたボディホラー。エイジズムやフェミニズムがテーマだと思い込むと肩すかしかも」サブスタンス エリセさんの映画レビュー(感想・評価)
優れたボディホラー。エイジズムやフェミニズムがテーマだと思い込むと肩すかしかも
前作「リベンジ」もそうだっだが、台詞に頼らずしっかりと絵で見せてくれる映画になっており、素晴らしい演出力。ジャンル映画としてはかなりの秀作であることは間違いなく、ホラーやグロや暴力シーンが苦手な人以外の万人にお勧めできる。
ただ、エイジズムやフェミニズムがテーマの映画として観に行くと肩すかしを食らうかもしれない。もちろん、それらの要素も含んだ映画ではあるが、あくまでもショッキングな映像と虚仮威しを楽しむジャンル映画であることに注意しよう。
SNSでは男性嫌悪の人たちがこの映画を神格化して「笑いながら観るなんてとんでもない」みたいなことを言っているが、ブラックジョークまみれの映画ですよ。
女性の監督だからとエイジズムやフェミニズムが主題だと思い込むのは、彼女たちの活躍の場を狭めることにつながりかねないと思うのですが、いかがなもんでしょうかね。
クローズアップや超クローズアップを多用して余計なものがまったく映らないようにし、説明台詞を一切排除しているのは前作と同じ。情緒や広がりや深みはまったくなくなるが、ジャンル映画としてはとても簡潔で効果的。こちらも前作に続き、壁の高い回廊のある家のセットが印象的。
今作は名画からの引用が多い。しかしバッチリとハマっているものはあまりなく、引き出しの少なさから苦し紛れにコピーにしているようにしか見えずもったいない。おそらくは監督自身が楽しみながらやったのだろうが、この映画の欠点になっているかもしれない。
ラストの会場のありきたりな中途半端さもこの映画の欠点。ネタバレなしなので詳しくは書けないが、スケール感がなくこじんまりしてしまった。特に美術・特殊メイクが作り物くさすぎて残念だった。その分笑えたけど。
あと、薬品の用法用量など台詞で一切説明していないのに絵でしっかり分かるのが素晴らしいと思った(細かいところは電話で聞いたりはするが)。薬品のパッケージデザインが良いですね。
デミ・ムーアとマーガレット・クアリーは素晴らしかった。特にクアリーは、ダンス(元バレリーナ)に暴力アクション、濡れ場、変顔と多芸っぷりがすごい。
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