「主演女優賞、獲って欲しかった…」サブスタンス TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
主演女優賞、獲って欲しかった…
(今回はそれを読んだところで一切意味は解らないと思いますが、作品的な性質から判断して一応「ネタバレあり」としておきます。そもそも自分の表現が正しいのかも判断が難しいところですが、、、)
アカデミー賞授賞式から2か月以上が経ち、更に急遽「先行上映」が決まって明日から公開となる「某作品」に気を取られ、正直浮ついた心理状態で挑んだ本作。いやぁ、、ナメてましたね。。凄かった。「衝撃的」と言う表現が決して大袈裟ではないほど、観終わってしばらくは脳を支配されたような感覚に囚われます。ただし、身体の損壊や大量の血液など「ゴア表現」が苦手な方にはかなり負担になる描写が多く、ご覧になる際にはかなり注意が必要。その点は何卒ご留意ください。
それにしても、、カンヌで評価を受けるのは解りますが、本作がアカデミー賞「作品賞」候補に並ぶのもやはり、近年の「多様性重視」が考慮されつつあるレギュレーションの変更が大きく影響しているのでしょうか。ただそれなら、是非にもデミ・ムーアに「主演女優賞」獲らせてあげてよアカデミー会員の皆さん、、もう終わったことだけどさ。。勿論、『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンは素晴らしかった。だけど、本作のエリザベス(リジー)を演じるデミ・ムーアを見てしまうと、その他とは比べようのない「怪演」にもはや虜の私。更には「分身」であるスーを演じるマーガレット・クアリーとの相乗効果も相まって、どんどんと変わっていく容姿と、それでも抗えない欲望にもがき苦しむエリザベスを正に「体を張って」演じたデミ・ムーアは圧巻です。そして、阿鼻叫喚の最終形態から、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに納まり安らかな表情で「レガシー」となっていくエリザベス。勿論、受賞した「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」の効果・影響も大きかったとは思いますが、とは言え、こんなの「他に誰が演じられるだ!」と思える唯一無二なデミの存在感に、もうただただ圧倒された142分。本当に素晴らしかったです。
そして、一見C級ホラーのような展開も、独特なカメラワークと編集、そして重低音で煽ってくるBGMでトントン拍子に進むストーリーは、特に説明的なことがされなくても充分に解りやすく、それでいてしっかり「人間の真理」を大胆に皮肉っていて可笑しくも刺さります。また、エリザベスに対してだけでなく、彼女(達)を消費する側に対する「壮絶な見返り・報い」もまた公平性を感じます。あれを浴びてしまった皆さま、明日も健康でありますように。
その見た目だけなら「ゲテモノ」に分類され兼ねませんが、観て味わえば、普遍的なテーマに対してユニークなアプローチで見事に表現された傑作。作品賞ノミネートが頷ける納得の作品です。あゝ観る前の浮ついた私よ、気持ちは解るがしっかり心してかかりなさい。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。