「これからの世界」メガロポリス komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
これからの世界
コッポラ監督の映画表現に対する飽くなき探求心を感じる。そして、ラストシーンに、次世代に希望を託そうとする監督の気持ちを感じた。しかしその一方で、どうしても心に響いてこない、主人公に魅力を感じない。
次世代へ思いを託す作品としては、宮崎駿の『君たちはどう生きるか』と共通するものを感じる。あちらも取っつきにくいが、伝わる熱量と引き込む力は非常に大きかった。だが、メガロポリスにはそれを感じることができなかった。
何故なのか、思いつく理由は2つ。1つ目は、オープニングや宙に浮く鉄骨(?)のシーン等、印象に残るべく作られたシーンが空回りをしていること。撮影風景が目に浮かんでしまい、高所にいると感じられない上に少し滑稽にも思えてしまう。
もう一つは、私がこの映画の対象ではないと感じてしまったこと。シーザーが作り上げる街に自分が住むイメージが全く沸かない。この作品に出てくる庶民は、トランプに扇動されて議会を襲撃してしまうような者達だけだ。しかも彼等は最後には煽動者を吊るしてしまう程に愚かで野蛮。恐らくシーザーの新都市は、彼らを棲家から追い出して更地にした跡地に建設されるのだろう。大きな主語で理想を語りつつ、結局は彼のお友達であるお金持ちとその使用人だけの街が出来上がるのが目に浮かぶ。
監督がシーザーという英雄であり独裁者の名前を主人公に何故与えたのか。そしてこの主人公を肯定的な意味で作ったのか、シニカルな意味で作ったのかは分からない。ただ、この映画を観てアメリカの分断の根深さと、トランプが2期目に返り咲けた理由を感じることが出来た。
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