「コッポラ監督最高の「自身」作」メガロポリス HGPomeraさんの映画レビュー(感想・評価)
コッポラ監督最高の「自身」作
本作において前提としてお伝えしたいのは、フランシス・フォード・コッポラ監督が、莫大な私財を投じて創り上げた至極の作品である事が重要であると感じる。
そのため、通り一遍等な評価は正直難しいです。
大いなる実績と、それだけではなく自身の財産だけで創り上げた、まさに「自身の大いなる遺産と表現」を完成させた唯一無二の作品であるから。
同じことを成し遂げた監督は、他に知らないので。
それはまず伝えたいし、監督に敬意を表した上で、個人的な意見を記したい。
まずいきなり批判的な事で申し訳ないのだが、不覚にも物語の序章、開演後若干意識を失ってしまった(ウトウトしてしまった)。
壮大な世界観と、物語の大まかな雰囲気や流れは予測内だったので、主要人物の馴れ初めに少々ダレてしまった。
本作は大叙事詩。
当然、アクション性やエンターテイメント性は強くないので、「ダレて」しまう瞬間は少なくはない。
だが、非常に興味深く様々な考察が出来た作品でした。
個人的な作品に対する率直な思いは、
①戯曲的(シェイクスピア的)
②シャガール的
③社会風刺的
④現アメリカ政府に対する思いの表現
⑤未来に託す希望
……以上を感じた。
勢力争いから始まり、傲慢と欲望、喪失と希望、愛と転落、裏切りと逆転、再生と和解。
それら構図が、私の経験上は、多く朗読させていただいたシェイクスピアの戯曲が頭に思い浮かびました。
また、その中にシャガール的な映像表現なども感じてしまった。
なんと伝えれば良いのか難しいので割愛するが、あくまでも個人的な捉えとして、私の知るシャガールの人生と作風に重なった。
その中で、度々映像内にも載せられていたと思うが、大恐慌やリーマン・ショックなどの歴史的事件を感じさせる建物などが出現し、フィクションであるが現実の出来事を重ねている印象もありました。
また、リベラルな立場のカエサル、強硬姿勢的なフランクリン、虚像の権力に堕ちたハミルトン、ユダ的な立場のクローディオ、すべてを意のままに動かそうと悪女に堕ちたワオ。それらの思惑が複雑に絡み合い、正直、一回は破滅の勝利(カエサルの暗殺)に終わったが、そこから奇跡の復活により第二の物語、不義の失墜と対立権力の和解と未来への希望で終演。
その流れが戯曲的で、そして現アメリカ大統領に対するメッセージ性と、希望の復活の願いも込められているのではと、非常に勝手な妄想を膨らませてもらいました。
途中「クスリ」による幻想と怠惰的な表現は、少々よくある混沌表現なので少々ダレました。
また、結局のところ「メガロン」の存在が建築にはどの様に活かされたかが理解しきれなかった(メガロンの偉大さはカエサルの奇跡の復活に感じ、また、カエサルの描いた未来構図の現実としての稼働は、メガロンが無いとなし得なかったとまでは響かなかった。あのエスカレーターはメガロンの力かなと思いました。)。
ですが、最後は決別や破綻では無く、和解と希望で締めくくっての終演でしたので、最終的には様々な考察と監督の世界観を心地よく体感し、観終われた作品でした。
あと、タリア・シャイアさんが出演していたことが、非常に感慨深かった。
もしかしたら、コッポラ監督は、叶うなら他のキャスティングを思い描いてたのかもしれない……。
本作は、普通の作品とは「土俵」自体が異なると思うため、エンタメ性(万人受けする映画)としては星3.5ですが、フランシス・フォード・コッポラ監督の全てを込めた作品としては、文句無く星5です。
映画館で観れた事は、非常に意味があり良かったと思います。
ユッキー ウッキーさん。
コメントありがとうございます。
監督の正直な気持ちが、ほぼ修正されず表現できたと思うので、本物の「唯一無二」だと思いました。
そのためか、画家のキャンパスに描く絵画作品と同じ様な雰囲気を、本作は醸し出しているのかもしれません…なんて(^-^)
①戯曲的(シェイクスピア的)
②シャガール的
③社会風刺的
④現アメリカ政府に対する思いの表現
⑤未来に託す希望
……以上を感じた。
↑
なるほど、なるほど。
たしかに、シャガール(美しい踊るような浮かぶような絵画)的にも想えてきます。
全体的に濃厚なカラーリング、
シャガールが筆で塗り重ねていく
ダンスしているかのようなタッチ、
浮遊感あるふわふわのイメージ。
それに不安・不安定な空中で
ある出来事が起こっているかのような
まさにサーカス的なイメージ。
そっかぁ、なるほどシャガールかぁ ^_^
そのため、通り一遍等な評価は正直難しいです。
大いなる実績と、それだけではなく自身の財産だけで創り上げた、まさに「自身の大いなる遺産と表現」を完成させた唯一無二の作品であるから。
↑
共感しました。
作品そのものと、その背景・バックストーリーや周辺の諸々、またレキシ的なこともまるっとひっくるめて、捉えると味が変わってくると思いました。^_^
まさに「自身の大いなる遺産と表現」
だなぁとかんじました。
ノーキッキングさん。コメントありがとうございます。
お答えする前にお伝えしておきたいのですが、あくまでも個人的な感性と捉え方による1意見なので、専門家の方にはご不満も有る事と思いますが、ご容赦ください。
以下の映像に感じました。
①鉄骨の上でのカエサルとジュリア
②サーカスのシーン
③理想都市メガロポリスの全容
主に以上のシーンで、マルク・シャガールが青の作品で描いている妻ベラとの交わり深い美しさや、サーカスの絵画が、色は違えど重なって美しく見え、そしてメガロポリスの流線的な構図にも同じ様なシャガールの愛の構図と色の魔術を感じ、もしかしたら監督は、意識して……なんて勝手な妄想で盛り上がった次第です(;^_^A