「寓話感が足りなかったかな」メガロポリス 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
寓話感が足りなかったかな
映画史に残る古典、「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」で知られる名匠フランシス・フォード・コッポラ監督の最新作でした。今年で御年86歳。クリント・イーストウッドと並ぶ、まさに“生ける伝説”による作品ということで、大きな期待を抱いて鑑賞に臨みました。
しかしながら、そのストーリーはあまりに独創的で、凡人の私には到底理解が及びませんでした。
物語の舞台は、未来のニューヨーク――もとい「ニューローマ」。カエサル、キケロ、クラッススといった古代ローマの政治家たちの名を冠した登場人物たちが、まるで古代ローマを彷彿とさせる“政争”を繰り広げます。極端な貧富の格差、富裕層による卑俗な権力闘争といった現代社会の病理を描いた、いわば「FABLE(寓話)」という体裁の作品でした。
テーマとしては非常に興味深く、個人的にも好みのジャンルでしたが、物語や演出が直截的過ぎる印象で、“寓話”としての含蓄や奥行きを感じられなかった点が惜しまれました。
また、舞台となった「ニューローマ」の都市映像も、どこか平板でチープな印象を受け、未来都市としての説得力に乏しく、IMAXで鑑賞した意義を見出せない出来映えでした。俳優陣の演技についてはさすがと言えるものでしたが、最後はハッピーエンドでまとめられており、鑑賞後に心に残る余韻や象徴性も薄く、寓話としての力強さにも欠けていたように思われました。
そんな訳で、本作の評価は★3.2とします。
コメントする