「何が言いたいのかわからん。」メガロポリス ちえべさんの映画レビュー(感想・評価)
何が言いたいのかわからん。
子ども頃に「地獄の黙示録」を見た時に「かっこいいけど、わけわからん」と思ったのと同じ体験をしました。
自分自身年相応に映画を観てきたつもりですし経験も積んできたつもりですが、さすがはコッポラ監督、はるか上をイッテいる感じです。
長年構想していたモノだけあってか、ローマ帝国をなぞる形も含めて、ちょっと古めかしい感じがしました。冒頭にある退廃的というか享楽的なシーンも時代感を感じてしまい、その後も直接的ではないにしろすべてが猥雑にも見え、そういうモノなのかと感情を伏せてしまいました。
いくつか疑問があります。
カエサルが持つ時間を止める能力も活かしているのかどうか。
カエサル自身に敵対する勢力があるのだから、時間を止める力は有効なはず。それがコントロールできなくなったような描写はありましたが、敵対する市長の娘ジュリアがその能力に目覚めます。それはカエサルがジュリアを愛したから? そういうキレイごとな感じですか。
その能力が覚醒したあとジュリアは、父の執務室に行きます。すると床に沈み込んだ執務机で書類を処理して父・キケロ市長。これはジュリアが見たイメージの描写の様なので、やはりジュリアにカエサルの何かしらの力がうつったことになるのでしょう。ただ、そういう描写も中途半端。
その辺りをカエサルが開発したメガロンという新素材が引き受けるのかなと思います。
ある日、カエサルは子どもに銃で顔面を打たれ瀕死の状態になります。そのカエサルの手術にメガロンが使われて、体の組織とメガロンが融合し摩訶不思議な形で復活します。
ですが、そのメガロンも正体が明かされないままの様でした。
街の建築素材であり、また透けてみえる衣服にもなります。そして、カエサルの手術にも使われたモノ。謎です。
ラストで、カエサルがジュリアに「時を止めて」と言いジュリアが頷くと、カエサルとジュリアの子ども(赤ちゃん)以外が動かなくなります。
これは、ジュリア以上の力を赤ちゃんが持ってしまい、カエサルの言葉に反応して時を止めたいう解釈でいいでしょう。
つまり、体内にメガロンを持つカエサルとジュリアの間に生まれた赤ちゃんは、メガロンを体内に持って生まれたということですよね。
そうするとますますメガロンって何?
時間の止まった世界で唯一動くことのできる赤ちゃんは?
そもそも止まった時間はどのタイミングで動きだすの?
まったく関係ないけれどジブリアニメ「かぐや姫の物語」(高畑勲監督)のラストに出てきた赤ちゃんを思い出し、「2001年 宇宙の旅」(キューブリック監督)のスターチャイルドかとも思いました。
でも、意味もなく コッポラの作品は観たぞ、っていう満足はあります。
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