「物語を引っ掻き回す馬鹿が気に入りました。」メガロポリス かもしださんの映画レビュー(感想・評価)
物語を引っ掻き回す馬鹿が気に入りました。
ニューヨークを架空のローマ帝国に見立てて、コッポラ自身の人生を投影し、彼の経験や知識、未来への希望などを詰め込んだ作品。
架空の世界とはいえローマ帝国を下地にしている為、どのキャラも大変魅力的に描かれておりました。
端役にすぎない馬鹿な孫娘たちでさえ画面の隅っこでポーズを取らせたり、車の上でアホ丸出しの踊りを踊らせたりと画面を効果的に使ってキャラを深掘りしていく事に余念がありませんでした。
個人的にはシャイア・ラブーフが演じたクローディオが大のお気に入りです。
物語を引っ掻き回す馬鹿として描かれており、彼の存在が架空都市ローマの雰囲気を醸し出す事に一役も二役もかっていたと思います。
天井桟敷のようなセットで市長とカエサルが演説し合い互いを罵るシーンなどはローマ帝国の評議会を思わせるし、銀行頭取の結婚式はローマのコロッセオそのものでした。
ですが、そこでも人物描写がものをいっておりました。
ヨボヨボになりながらも、喜んだり、叫んだりするジョン・ボイドに数々の映画で描かれてきた権威しか残っていないローマ皇帝の姿が被ってしまいました。
大スターたちが繰り広げるローマ帝国興亡史。
その実、監督の死生観を全面に出した作品となっているので監督の映画作品よりも監督自身に興味を抱くコアな人が楽しめる作品だと感じました。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。