「メガロン VS モノリス」メガロポリス ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)
メガロン VS モノリス
怪獣対決ではない。映画人がこぞって描く未来絵図。その象徴がメガロン。主人公の妻が亡くなったことが契機で生み出された万能素材なのだが形も色もなく、イメージしにくい。一方、キューブリックのモノリス(2001年宇宙の旅)。これに触れたことで人類の進化が起こったという説明は受け入れやすく、“謎の黒石板“は半世紀以上前のチープな映像ながら多くの信望者を生み出した。改めてキューブリックのセンスに敬服する。
そしてコッポラの不運というか誤算なのは現政権下、アメリカ国民の25%がキリスト教福音派だということ。彼らは、冗談抜きで教育現場、図書館から“進化論“を排除している。人類の祖は猿に非ずである。従って本作は上映当初から既に多くの指示を失っていることになる。興収面で、もし迎合するならば(あり得ないと思うが)主人公がユートピアを語るくだりの“人類の進化“部分を割愛する必要があるだろう。
都市がニュー“ローマ“、主人公が“カエサル“、そして“キケロ“……のっけからハムレットの台詞。おいおいだいじょぶか〜と学芸会に出てる子供の保護者のような気分。
塩野七生あたりから、ユリウス・カエサルに表記が変わっちゃったけど、英語読みに親しんだ世代としてはやっぱりシーザーだよね。出し物のソビエトCCCPの人工衛星も良いし、シトロエンも実にカッコいい!
ふんだんな予算をジャブジャブ使えてるのは、よーく分かるけど、中盤、退屈です。はい!
後半は、かなわぬ恋の行く末と銀行乗っ取りに収斂するので、ありきたりながらも見易くなりましたー。
シーザーの演説に仮託しているコッポラ。毎回、メインディッシュをタップリ盛り付けてる料理みたいで、辟易させられる。私財をなげうった個人映画なので、タガがはずれてしまうと暴走を招く。やはり配給会社側の規制とか、保険会社のダメ出しはあったほうが……
そして、あの大団円。古い!臭い!なんという凡庸さ! でも、これがやりたかったんだよねー カンヌの初公開時、10分間のスタンディングオベーション! だってぇ、あんびりーばぼー……
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