ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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単なるポルノ映画がパルムドール、オスカーを受賞する理由!!
2024年第77回カンヌ国際映画祭・パルムドール、第97回アカデミー賞・作品賞他5部門受賞!!
身分違いの恋を描く作品は「プリティー・ウーマン」を初め数多くあるが、この作品ー性描写ーが全編に渡り描かれ、一つ間違えればポルノ映画とも受け取られかねないであろう!?
でも世界の映画祭でグランプリを取り続けたのは、手段はどうあれ、自らの幸せを勝ち取ろうと全力で奮闘する等身大の生きざまに共感を覚えるファンが数多く存在するからであろう!!
特にラスト部分の感情が爆発するシーンは映画史にも残る名シーン!!
かつては「プリティー・ウーマン」のようにハッピー・エンドを望むラストが観終わった後の爽快感も加わり好まれていたような気がするが、「アノーラ」のようなラストもより現実に即した人間賛歌で、私は大好きです!!
【現代版プリティウーマンじゃない】
R18なんですよね、お陰で観客に子供いない
なんだよ、深遠なのかよ
2025アカデミー作品賞受賞
米国のセックス産業で働く主人公が、留学中のロシアの大金持ちの御曹司といい仲になり、同棲し結婚の約束をする。しかし怒った母親がロシアから来ると聞いた御曹司は家から逃げ出してしまい、主人公は、米国でのお目付役や用心棒と一緒に御曹司を探し回る、という話。
正式に結婚したと聞いて驚き「そんな結婚は無効にする!」と言うお目付け役やその部下たちに対しては、言いたい放題の御曹司なので、「あれ、これは主人公の思わぬシンデレラ展開になるわけ?!」と期待させるが、「明日、両親が来る」と聞いてひとり逃げ出して行方不明になる辺りから雲行きは怪しくなる。
(ロシアの大富豪が言う「明日行く」は、ホントに明日来るんですね、プライベートジェットだから。いや、どんだけ金持ちなんだ…)
小気味よいリズムで進むシンデレラストーリーは小気味よく、中盤のお目付役達と主人公の大活劇は必見、そして顛末は、やはり観てもらった方がいいと思う。
主人公は日本で言うファッションヘルス嬢兼ホテトル嬢なので、セックスシーンはこれでもかと流れ続ける。明るいよ。
--- 注意。以降はネタバレ含むので、まだ観てない方は観てから読んでね。---
顛末はよもやの、「これが映画じゃなくて現実だったら、こうなっちゃうんだろうな」と誰もが思う展開で終了!
この映画、アカデミー賞作品賞だし、この監督は前作「フロリダ・プロジェクト」もめちゃ評価高かった人。だけど、前作のレビュー読んでもなんだかよくわからないから、前作観てから観た方がよさそうだなと思っていたところ、キネカ大森で前作再公開。「わかってるねえ」と前作鑑賞しました。その結果、感じたこと。この監督の話は、ドラマチックな展開、とか心震わせる展開じゃないんだってこと。こんなシチュエーションだと、現実だったらこんな風になっちゃうんじゃないの? と俺たちが感じるような展開や結末が多いってこと。その中で、何かを感じてね、と言っているような監督。
御伽話的な展開とか、単純に想像したのとは異なる結末でなく、現実的な展開で何かを感じさせる方が難しいのにね。すごい。
俺なんかじゃ、観終わった瞬間には「え、終わったの? こんなオチなの?」と思っちゃう。若い頃の俺なら絶対に「なんだ、この映画? 金返せ」って怒ってたはず。
そんな前作観てから観た本作「アノーラ」。御伽話的な前半の展開を観ながら「現実だったら、こんなことになっちゃいそうだけどな/こんなのが関の山だろうけどな」とこちらが頭の隅で危惧するいくつかの選択肢の一つに、話は落ち込んでいき、そして終わる。
主人公は、やるべきことを全てやった。「本当に愛してるの?」と繰り返し聞いたし、不法な侵入には徹底的に抵抗した。いや、徹底すぎるほど。そして去られた後も探し続けた。だんだん不安になったかもしれないし、ならなかったかもしれない。起きた事実だけを見て、できうることをやった。その結果は「そら、見たことか」と言われるだろう悲惨な結果。それでも観終わった後、なんだか前向きな感じなのは、主人公が、やってきたこと、その結果起きた事実だけを信じて行動するからなのだろうか。不安になってやめたり諦めたりせずに、自分の目で確認するまでやり続けるからなのだろうか。
俺は自分のことでも映画でも、結果をみて、よかった、ダメだったと思うけど、もしかしたらそうじゃないのかもしれないなあ。そんなことは感じました。
以上、自分なりにいろいろ考察してみた。ただ、繰り返しになるけどが、一番の印象は? と聞かれたらやはり「やたら明るくセックスする映画だなあ」です。揺らがない。(笑)
生きていることこそが素晴らしい
吹替はおすすめしません
ふーん、これが受賞ねえ。もっと他にいい映画あったと思う。
笑える?笑えない。泣ける?泣けない。切ない?そうでもない。
と、全くはまらなかった私。
吹替でみたら主人公の声の人がひどくて、いままでもありましたよね、こういうパターン。
プロの声優さんで観たかったです。
これまでのショーン・ベイカー作品と比較して、話の筋としては分かりやすい映画だなー、と思ってたら、やっぱり意外なところに着地する、まぎれもなくベイカー監督の現時点での集大成的な一作
これまでのショーン・ベイカー監督の作品と同様、アノーラ(マイキー・マディソン)をはじめとする本作の主要な登場人物たちは、「お上品な」方々が眉を顰めるような仕事をしてるし、その上人間性も割とアレな場合が多いんだけど、でもやっぱり力のある者にいいようにされるがままでは終わらない、という意地と誇りを持っています。
もちろん様々な読み取り方のできる作品なのですが、そんな「人間としての尊厳」への確信が、確かに本作にはあります。
アノーラを中心として展開する物語は、『タンジェリン』(2015)や『フロリダ・プロジェクト』(2017)などの既存の作品と比べると、比較的物語の枠組みがつかみやすく、なんだったら少しくらいなら先を読んでしまえる話、でもあります。
で、まぁそうなっちゃうよね、という展開を経て結末近くに差し掛かったところで、語り手の視点は急速に、アノーラとある登場人物の関係に焦点を絞っていきます。
展開としてはやや予想外、ではあったのですが、ベイカー監督がこれまでの作品で繰り返し語ってきた人間観を考えると、この描写には強い必然性を感じました。
その意味で本作は、間違いなくベイカー監督の現時点での集大成的作品だし、パルムドールやアカデミー作品賞を獲得するにふさわしい、軽快だけど深みのある作品でした!
なお、『タンジェリン』でも登場した、口論していく中で、失言、言葉尻の取り合いでどんどん状況が悪化していくという、笑っちゃうんだけど地獄のような居心地の寸劇的場面が入るんだけど、作劇としては一層巧妙になっていて、やっぱり苦笑い!
相性が良かっただけの話
ショーン・ベイカーによる格差社会の描出
ロシアの超富裕層大金持ちの息子イヴァンと貧困層セックスワーカーのアニーとの関係性を描写した映画だ。
イヴァンとアニーは風俗店で知りあい、アニーはイヴァンを単なる金持ちの客としか思っていない。プライベートで指名され性行為をしても、なんら感情の変化もなく表情を崩さず、あくまでも金を得るための仕事という割り切った態度を一貫してたもっていた。
しかし高額な金額での一週間の専属契約をして豪華な洋服を買ってもらい、贅沢な食事、高価なお酒、ラスベガスまで行っての豪遊、連日のバカ騒ぎパーティー、まさに夢のような一週間を満面の笑みで過ごした。その間の肉体関係においてアニーに快楽の表情があらわれ、まるでイヴァンを愛しているように変化していく。
専属契約が終わろうとしたラスベガスでの最後の夜、イヴァンは突然アニーにプロポーズする。アニーはすぐ同意し結婚をする。アニーはイヴァンを愛していたし愛されていると思っていた。
二人の前にイヴァンの家族から結婚を認めないと断言され、イヴァンのお目付け役トロス、ガーニック、イゴールの3人が、イヴァンとアニーを監視しようとする。イヴァンはアニーを置いて一人逃げていく。アニーはイヴァンを追いかけようとするが、イゴールとガーニックに阻止される。暴れるアニーの手首を縛るイゴール。アニーはイゴールに悪態をつく。しかしイゴールは暴力を振るわないし、アニーに対する優しい眼差しを向け続ける。イゴールのアニーへの視線はアニーと自分に向けられている。同じ貧困層にしかわからい悲哀の視線で。
トロス、ガーニック、イゴールとアニーの四人は、イヴァンの行方をとにかく追跡する。イヴァンのスマートフォンに電話してもつながらず、彼が行きそうなところをしらみつぶしにあたっていく。イヴァンドタバタ追跡劇は、悲しい「コメディ映画」の様相に変化する。アニーは愛しているイヴァンが自分を置いて逃げたことに怒りを持って探している。トロス、ガーニックは、自分の保身のためイヴァンを確保するために探している。そしてイゴールはアニーをひたすら気遣う。追跡する目的がそれぞれ完全にバラバラにズレてるから悲しい喜劇にしかならない。
またアニーとイヴァンのズレも明快だ。アニーが知っているイヴァンは、金持ちの息子で一緒にいて楽しいだけで、それ以外のイヴァンの本性を知らない。確かなのはアニーは、自分だけ逃げようとしてアニーのことをつゆとも考えずイヴァンに放置されたことだ。ここにアニーとイヴァンの愛に対する完全なるズレが生じ、放置されたアニーの悲劇にしかならない。
ショーン・ベイカー監督はこの映画でどんなメッセージをなげかけたのか。それはまさに格差社会の実態の描出である。金さえ出せばなんでも許されてしまう超富裕層の大金持ちの社会と、セックスワーカーのような貧困層から這い上がることが難しい社会の対比をしている。このまったく異質な階層を同列に描写するとしたら、シンデレラストーリーしか手立てはなかったと感じる。
ショーン・ベイカー監督は、このシンデレラストーリーに三人の人物像を浮き彫りにした、イヴァンは、金持ちの単なる息子でしかない。彼は何も生み出していない。イヴァンを徹底的にバカ息子扱いすることによって、結婚すら金持ちの道楽にしてしまった。それはイヴァンが母親に「彼女は俺のエスコート嬢だ。ちょっと遊んで何が悪い」と言い放つシーンに集約されている。
一方アニーに対しては、夢見た女性像にしている。貧困のどん底から這い上がれる千載一遇のチャンスに賭けた。純粋にイヴァンを愛して。しかし男を見る目がなかった。貧困のどん底から天国へ駆け上がりまた貧困のどん族にまいもどってきた女性として描写している。
そしてイゴール。彼はアニーと同じ貧困層に生きる人間として、アニーの悲劇を優しいまなざしを向け続けるまさに庇護者として描写している。
セックスワーカーをヒロインにするために、ショーン・ベイカーは。思い切った性行為の描出を余儀なくされた。それを全身全霊で応えたマイキー・マディソンの演技は、素晴らしく輝いていた。彼女の演技なくしてこの映画は成立しなかった。性行為だけでなく、とことん気が強く、イヴァンの母親にぶつける強烈な皮肉は、彼女の勝気さとプライドの表出である。そして自分自身の行為の愚かさと、現実社会のぶ厚い壁に押しつぶされた限りない弱さを隠していた。
ショーン・ベイカー監督がもっともマイキー・マディソンに託したのは、この隠していた弱さの表出であり、アニーという殻から抜け出しアノーラからただよう切なさとともに、かぎりない美しさにあふれたラストシーンに結実していた。
セレブリティの酷薄さ
ショーン・ベイカー最高傑作
個人評価:4.4
最高に人間味あふれる、ちょっと変わった恋愛ロードムービー。
この監督はどうしてこんなにもキャラクターを描くのが上手いのだろう。
キャンディー屋の老人や、レッカー車の若者など、一瞬しか登場しないキャラクターでも、どんな人物像かが滲み出ており、そしてどこか愛くるしい。
登場人物が全員人間臭く、ドキュメンタリーのように物語を描けており、そこがこの監督の力量である。
またアノーラも素晴らしくキュートでファンキーに描いており、すぐにこのキャラクターの事を好きになっている事に気付かされる。
過去作にも見られるフワフワとした気持ちいい演出が本作にも施されており、まさにショーン・ベイカー最高傑作である。
キュートで凄みのあるマイキー・マディソン。時折、ワンハリ出演時の表情が垣間見え、個人的にはニンマリポイント。
オスカーにも輝き、とてもいい物語でした。
「2024年パルムドール」
ボルテージマックスでオープニングを迎えて興奮状態そのものの雰囲気か...
ボルテージマックスでオープニングを迎えて興奮状態そのものの雰囲気から、エンドロールでは全くの無音になって鎮静化された心地になる、全くすごい映画だなと思った。
乱痴気騒ぎの場面は時間もテンポもどんどんカットされて勢いよく進んでいくから、特に内容がないことがわかるように見せているのに対して、後半部分は、一般的な映画では切り取られるであろう細かいやりとりや手続きを省かないで撮り続けるから心の動きが少しずつ丁寧に伝わっていく。途中の口論のシーンの長さが多分その蝶番をしているのだと思う。だから、始めと終わりで全く違う温度になっているが、観ている方はシームレスに違和感がない。
こういうのが映画体験なんだろうなと思った。
前半のパリピシーンがとにかく長くて退屈だが、中程にスクリューボール...
喜怒哀楽の「発露」
面白かったです。
前半のシンデレラストーリーは全く輝かしいものであり、映像を通しても華やかでした。
特に、二人がイチャイチャするシーンでは本当にカメラを意識させない自然体なお芝居が印象的でした。
一転、後半はドタバタ劇として映画館で声を出して笑えてしまうほどの内容のものでありながら、物語は失踪した夫を探す新規軸がきちんと整備されており、彼がどこにいるのか、なぜ彼が失踪したのかというサスペンス性をも内包していた点が集中力を欠かせない大きな要因であったように思いました。
また、終盤の口論にしても物語の帰結にしても、アノーラという女性の強さと弱さの両面を激しさと静かさをもって映し出している点においても素晴らしく感激しました。
ラスト、あの表情のアップショットのカットバックは息を呑むほどの瞬間瞬間が刻まれていました。
機内上映で見ていい作品だった??
喜怒哀楽ジェットコースター成人映画
脚本演出撮影演技、高い芸術性
そして娯楽性が両立した類まれな作品
昔の映画からたくさん研究し、学んで見事にアップデート!
50年代のクラシック白黒ドラマ劇作、70年代ニューシネマのロケーション夜間撮影、いいとこどり!
裸のままシーツにでんぐりがえりして入る!
この粋な表現たら!
ところどころに洗練されたものが光る
しかし、実際存在するワーカーさんを傷つけないため、
今村昌平みたいに、綿密なリサーチに基づき作られたらしくかなりの社会派作品です
フロリダプロジェクトもそうでした
背景地理場所で起きてもおかしくないこと、リアリティ
ですが、映画の面白さ、虚構性を忘れてはいません!
そして、田中登の㊙️色情めす市場の芹明香のような
ヒロインのまぶしいばかりの魅力!
映画は、強烈なアクトレスがひとりいれば
あとはどうにかなるものですが
対する男たちもなんのその
味わい深く、おかしく、かなしい、愉快な奴ら!
ワンダとダイヤと優しい奴ら、
カサヴェテスなどなどありますねー
滲むのは、おおらかな父性
母性だけでは、女がつらいよ、悲しすぎて
ショーンベイカー監督は、女囚さそりだけでなく
日活ロマンポルノ、結構観てそうな感じがします
この映画にコメディは必要なかったのでは?
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