劇場公開日 2025年2月28日

ANORA アノーラのレビュー・感想・評価

全338件中、121~140件目を表示

3.5酒池肉林

2025年3月6日
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雇われの立場や中間管理職の立場なと、面白く表現されている。

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かぜ

5.0おもろうて、やがて、悲しき

2025年3月6日
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泣ける

笑える

アンチ シンデレラ物語。ビターで刺激的。おもろうて、やがて、悲しき。アノーラの圧倒的パワーが、鮮やかで、イキイキと輝いている。

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DnaH

3.5何故に?作品賞?なのか?賛否分かれるのは納得。

2025年3月6日
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第97回アカデミー賞作品賞を受賞?そんなに評価が高いのかな?と半信半疑にて鑑賞。
予告編ではなんとなくコミカル的な作品かな?と思っていたけど?
ほぼほぼ結末が見えている感じの結婚なので、意外性も無く、驚く様な事も無く、何か感情が生れる訳でも無く、多少、刺激的なのは前半の性描写だけ。ラストの結末もやはりな!と言った感じ。

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デコ山

3.5脇役こそが私たちの主人公

2025年3月6日
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たまたま富豪の息子と出逢って意気投合し、結婚して幸せになる絵に描いたようなシンデレラストーリーなんて現実にはなく、そうなりそうになってもすぐに転げ落ちていくリアリズムを描いた映画。

金持ちドラ息子の気まぐれを本気にしてしまったが為にすべてを失うアニー。
富豪夫婦の手先の末端として仕えるイゴール。
映画やドラマでは脇役として描かれがちなこの2人こそが現実にはたくさんいて、それを真正面から映し出すショーン・ベイカー監督らしい作品。

抗いようのない圧倒的な力を前に屈するしかないアニー。たとえ娼婦だと誤解されるような仕事に就いていたとしても、同じように幸せを求める権利があって、自分の尊厳は誰にも奪えないのよと叫ぶ。

こういったメインストリームではない人にフォーカスした映画は好き。
でもちょっと物足りないかも。それぞれが自分の主張をするだけの応酬などは観ていてすこし辟易したかな。

絶賛されるほどかしら?という想いはあるわね。
まあ、良い映画ではあったけれども。90〜100分くらいに収めてくれていれば尚良かったかも。

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ヨーク

4.0アメリカにアメリカンドリームなど、もはやない。

2025年3月6日
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アメリカ映画だし、アカデミー賞作品賞なので「プリティー・ウーマン」のような素敵なシンデレラストーリーの筈で、辛い出来事があってもどんでん返しのハッピーエンドが待っているものかと真面目に思っていた。しかし、。コメディタッチのドタバタはあるものの、映画はあくまで冷徹に今の世の中の当たり前の現実を突きつけてこの物語に決着をつけた。
持ってる人間は裕福で、持たざる人間は貧乏で、這い上がることなど出来ない。アメリカにアメリカンドリームなどもはやない。トランプ側について環境を破壊し、性差別をする方が生きていける。ロシアもプーチン側につき武器商人にでもなった方が富を得る。ロシアの富豪のバカ息子が勢いで結婚したのはアメリカの市民権(トランプは世界の金持ちに市民権を売ると言うほど価値あり)をとってみたかっただけ。愛などは微塵もない。観てて、しんどい映画でした。
マイキー・マディソンの体当たりの演技のアカデミー主演女優賞は納得。
だが作品賞は「名もなき者」にとってもらいたかったなぁ、。

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アベちゃん

4.0夢は見えるが掴めない

2025年3月6日
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ふぇる

2.5口喧嘩を楽しむ映画!?

2025年3月6日
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アカデミー賞前の予告編を見る限りではそんなに興味を引くような内容ではなかったのですが、アカデミー賞作品賞受賞ということで見てきました。

うーん、ストーリー的には平凡かな。つまらなくもないけど面白くもないというのが正直なところです。
後半はずっと口喧嘩ばかりしてfuckin'の単語しか頭に残らなかったです。

エンドロールに至っては音楽も無しでかなり地味でした。

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canghuixing

4.0とてもよかった

2025年3月6日
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楽しい

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吉泉知彦

4.0いいぞいいぞ、行け行けアノーラ!!

2025年3月6日
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これまで見た中でダントツ一番に色々桁違いのバカ坊ちゃん。

アノーラとの関係は、お互いに欲しいものを与え合った気もするけど、何しろ相手は頭スカスカ馬鹿坊ちゃん。
キラッキラなパッケージに皆寄ってくけど、中身は不良品かもしれない坊ちゃん。
でもこのレベルの大金持ちなら中身は入ってなくても、気前よく支払いしてくれたら皆気にしないから、本人も気にする必要なかったんだろな。。
この子の最後の良心は一緒に逃げようとした所までだったな。笑

いいぞいいぞ、やれやれアノーラ!!
自分がいかように傷つこうとも、相手に必ずダメージを与えるやり方、嫌いじゃない。
なんでも持ってるからって何やっても良いってわけじゃ無いんだ。
自分の権利は主張すべきだし、自分が信じたものを自分の目で確認する彼女の勇気はすごくカッコよかった。
好き!!

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icco

4.0ダメ男

2025年3月6日
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レッド・ロケットは究極ダメ男映画だったが、さらに上を行くダメ男映画であった。タチが悪いことに、この男がお金持ちという設定。フロリダ・プロジェクトも大好き。素晴らしい監督である。

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hanataro2

4.0ノーマル版タランティーノ

2025年3月6日
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泣ける

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楽しい

今年のアカデミー賞で最多5部門(監督・脚本・編集のショーン・ベイカーは一人で4冠)を受賞した。カンヌは「バービー」のグレタ・ガーウィグ監督が審査員長なればこそのパルムドールだと思っていたがハリウッドでもこの「性労働者」を真正面から捉えた独立系映画が選ばれたことが今の時代を象徴していて快挙だろう。主演女優賞を獲ったマイキー・マディソンは監督賞のオスカー像を手渡したタランティーノが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に起用していたのがきっかけだそうでそういえば本作も放蕩バカ息子の親から雇われたチンピラ3人組が登場する後半は俄然タランティーノ風味が強くなる。しかしあくまで危険領域を踏み外すことのないノーマルおバカでトホホな感じが愛おしく腕力担当のイゴールもちょっと良い男過ぎて大雪が降る車内での感動エンディングシーンへと分かりやすく導いてくれて切なくも小さなハッピーエンディングに泣ける。

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たあちゃん

4.5ショーン・ベイカーのシンデレラストーリー

2025年3月6日
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鑑賞方法:映画館

アメリカ社会の底辺の人々を、独特の感性で描きだすお気に入りの監督、ション・ベイカーの作品。しかもアカデミー賞で、作品、監督、主演女優、脚本、編集の5冠に輝いている。
ストリップ・ポール・ダンサーが、ロシアの大富豪のバカ息子と結婚するというシンデレラストーリー。
ショーン・ベイカーならではの鮮やかな色彩感覚、猥雑でエネルギッシュだがどこかもの悲しいストーリー。ラストシーンが切ない。
個人的には、寒々としたコニーアイランドのシーンがとても良かった。
主演の新人マイキー・マディソンは、賞も順当な体当たりの熱演。

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ファランドル

2.5上映開始三分の一でラストシーンが解った

2025年3月6日
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単純

寝られる

アカデミー作品賞受賞ということで、早速見参。
のっけからエロシーンと濡れ場の連続で辟易。助演の用心棒役の言動でタイトルの感想となりました。あんなにエロシーンばかり長々と写す必要はあるのかね。中盤の破壊的映像も騒がわしいだけ。金持ちの放蕩息子と庶民?のラブストーリー的な展開も手垢にまみれています。もっと作品賞にふさわしい作品もあったのでは。最近のアカデミー作品賞はわからん。主演女優さんは日本風に言えば「体当たり演技」です。これからが楽しみな人だが、もっと普通の脱がない映画にこれからは出て欲しい。
口直しに同様の展開だが、本作に比べればほのぼのとした「ミスター・アーサー」(ダドリー・ムーアとライザ・ミネリが出演した版)を再見したくなりました。

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コーヒービート

5.0刺激とリアリズムが交錯する衝撃作――『アノーラ』が映し出す欲望と哀しみ

2025年3月6日
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興奮

アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞の5部門を受賞した話題作『アノーラ』。事前にあらすじを調べずに映画館へ行き、先入観なしで楽しもうと思ったのですが…さすがR18指定、衝撃的な内容が盛りだくさん!

主人公は23歳のトップストリップダンサー・アノーラ。彼女と21歳のロシア人御曹司イヴァン、そして30歳の堅実なボディガード・イゴールという3人の関係が物語を大きく動かします。アメリカとロシア、お金のある人とない人、享楽と堅実さといった対比がうまく描かれていて、それぞれの立場の違いが物語に深みを与えていました。

また、風俗業界のリアルな側面も描かれており、美しく若い女性がトップに立つ一方で、そこに愛は生まれず、真の愛を求める人はその世界に足を踏み入れない——そんな冷酷な現実が浮かび上がります。欲望に満ちた世界の裏にある寂しさや哀しみが、じわじわと心に響く作品でした。

本作は単なる過激なエンタメではなく、現代の若者が直面する問題にも切り込んでいます。TikTokなどの短い動画文化に影響されやすい世代が、ギャンブルや麻薬、お金、セックスといった危険な誘惑にどう引き寄せられてしまうのか。そのリアルな描写には警鐘を鳴らすような力強さがありました。刺激的なストーリーを楽しみつつも、どこか他人事ではないような、生々しいリアリティを感じさせる映画です。

『アノーラ』は、ショーン・ベイカー監督の持ち味が存分に発揮された力作。衝撃的な内容を扱いつつも、ただの刺激的な映画に終わらず、人間の本質や社会の歪みを浮き彫りにする作品でした。刺激を求める人には十分楽しめる映画ですが、その奥にあるメッセージに気づくことができるかどうかで、見え方が変わってくるかもしれません。

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ガジュマル

4.0アカデミー

2025年3月6日
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鑑賞方法:映画館

水曜の映画デー
ロシアのシャメラか本物のシャメラを見るか悩みましたが
名もなき物はIMAXで見ようとこちらを鑑賞

エマニュエル以来の、映画館で連チャンのエロエロとなりました。

最近の受賞作品は、
オッペンハイマーとかエブエブとか、難解で
ついていけなかったので
今回も期待はしてませんでしたが面白かったです。

なぜ今年大賞を受賞したのかは
説明できません笑

年度
受賞作品
2025年
アノラ
2024年
オッペンハイマー
2023年
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
2022年
コーダ あいのうた
2021年
ノマドランド
2020年
パラサイト 半地下の家族

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たもつ

4.5It can be said, a modern version of Pretty Woman.

2025年3月6日
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悲しい

楽しい

But ⅰt's not a Cinderella story. More realistic, charming, and but really sad. Anyway, I like it!

 現代版プリティウーマン、またはマイフェアレディと言えなくもない。しかしリチャード・ギアもジュリア・ロバーツも、ましてやオードリーヘップバーンも出てこないし、終始現代的、現実的なストーリーにおとぎ話要素ほぼゼロ。しかし、観客はとにかく頑張るアノーラを応援したくなる。
 アカデミー主演女優賞は確かにわかる。しかし作品賞に相応しいのか?(ちょっと心配) そういう風に持ち上げて美化(?)してしまうには、この映画が描く(主人公の)現実世界はダークすぎるかも

 前半はシンデレラストーリー、中盤はドタバタコメディ、そして終盤は...。139分と短くはない映画ですが、テンポよく進むストーリーと個性的な、そして憎めない登場人物達に引き込まれ、一気にエンディングまで退屈せずに観られます。
 中盤から暴力シーンが少なからずあるものの、コメディの域を出ないドタバタに留めて"バイオレンス"にはならない絶妙な仕上がり。この映画全体の印象を軽やかにして、"ロマンティックコメディ"(中身は全然そうじゃないけど)を上手く成立させています

 「ロシア人大富豪の放蕩息子が勢いでNYのストリップダンサーと結婚」という設定が"現実的"かどうかはさておき、登場人物のキャラクターやプロットがしっかり作り込まれていて、シチュエーションごとの言動や出来事にリアリティが感じられます。まさに、よくできた映画という感じ。

 ラストシーンは好き嫌いが別れるかもしれませんが、私は気に入りました。主人公の境遇や人格、人生を否定も肯定もせず、ありのままに描いているように見える。それが悲しくも美しい(と言えなくもないような...)。

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K2

4.0心を抱くということが、どれだけ難しいのかを感じさせる物語だった

2025年3月6日
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悲しい

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Dr.Hawk

3.5R18作品です

2025年3月6日
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楽しい

単純

アカデミー賞最優秀作品賞5部門獲得
カンヌ映画祭グランプリ受賞
確かに面白かったがアカデミー賞は、
作品の品位、品格を求めないのか

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あきちゃん

3.5親の財で生き

2025年3月6日
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興奮

知的

親の目の届く範囲でしか生きられない若者と
曲がりなりにも自らの力で生きる範囲を広げ成長する
少女の始まりと終わりを見せる映画

キャッチコピー的には
現代版シンデレラストーリーとその破滅的物語だそう
だが

僕にとっては、陰陽リアリティドラマを
観たような気がした。

ついでに言うと、恋愛のジャッジポイントの
男女比もw

と言いつつ裏にあるテーマは
米露実態レポートだな。であった。

米国のシリコンバレーの隆盛は露に一部根元があり
ロシア抜きにはGAFAMも成り立たない。と言うことだ◎

そこ見誤っちゃ〜これからの世界見誤るよね。と

ポルノ要素で画期的とも言える映画は色んなものを発射

したね〜w

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tomokuni0714

4.0現実を見据えたシビアさ

2025年3月6日
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悲しい

 ストリップダンサーがロシア人の御曹司と恋に落ちるシンデレラ・ストーリーと思いきや、さにあらず。相手の男イヴァンは裕福な両親に甘やかされた放蕩息子で、この交際は破綻の危機を迎えていく。

 アノーラとイヴァンが親密になっていく序盤から小気味いいリズムで進み飽きさせない。ただ、世間知らずなお坊ちゃんイヴァンが余りにも軽薄過ぎて、この交際が上手くいかないことは火を見るよりも明らか。アノーラの想いとは裏腹に、厳しい現実が彼女の前に立ちふさがることになる。

 身分の差によって引き裂かれるメロドラマというお馴染みのストーリーだが、本作はヒロイン=ストリップダンサーという設定にしたところがミソだと思う。そこには、昨今のアメリカ映画の潮流とも言える、女性に対する性的搾取という問題が垣間見える。

 例えば、昨年観た「哀れなるものたち」は、エマ・ストーンが娼婦に身を落とし、そこから自らの人生を見出していく物語だった。あるいは、「プロミシング・ヤング・ウーマン」はキャリー・マリガンが下衆なナンパ男に報復していくという物語だった。実話の映画化「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」や「スキャンダル」という作品もあった。

 これらに共通するのは、性的に虐げられてきた女性が男根主義社会に反撃をくらわすというジェンダー平等の提言である。
 本作のアノーラもセックスワーカーであり、男性客に性的な奉仕をして生活をしている。そういう意味では、一連の作品に共通するヒロイン像と言える。ただ、本作がこれまでの作品と違うのはその描き方である。

 これまでなら自分を虐げてきた周囲を見返すような反撃が描かれていただろう。しかし、本作は極めて現実主義的でシビアな展開に終始するのだ。
 確かにアノーラはイヴァンの両親が差し向けたお目付け役に反抗して見せるが、所詮は非力な女性である。腕力では男たちに到底かなわず、彼等の前では屈するしかない。特に中盤、彼等に軟禁されるシーンは印象に残る。彼女は大声で「レイプ!」と連呼する。しかし、その声は屈強な男たちによってかき消されてしまう。
 本作を観ると、先の作品が全てファンタジーのように思えてしまう。

 昔に比べたら確かに女性の地位は向上したと言えるだろう。しかし、現実にはまだアノーラのように身体的、社会的に力の弱い女性がいるということを、この映画は語っているような気がする。昨今の潮流を考えると、こうした厳しい現実を提示して見せた所は本作の大きなトピックではないだろうか。

 製作、監督、脚本、編集はインディーズ界の雄ショーン・ベイカー。一貫して社会の下層に生きる人々を描いてきた俊英である。
 持ち前の軽妙な演出は前半のラスベガスの豪遊シーンや、中盤のドタバタ騒動劇で発揮されている。シリアスとコメディが入り混じるバランス感覚も絶妙で、とりわけラストシーンは秀逸だと思った。

 キャストでは、何と言ってもアノーラを演じたマイキー・マディソンの圧倒的なパフォーマンスに痺れた。フィルモグラフィーを見ると「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にチョイ役で出演していたらしいが、まったく覚えておらず。今回改めその魅力を確認した次第である。
 劇中では非常にパワフルで快活なのだが、時折見せる憂いに満ちた眼差しが印象に残る。セックスとゲームしか頭にないイヴァンを見る目に彼女の不安が透けて見える。彼女自身、この関係が長く続かないと、心のどこかで予感していたのではないだろうか。

 また、イヴァンのお目付け役の一人イゴールを演じたユーリー・ボリソフは、本作で最も好感を持てた俳優である。彼は「コンパートメントNo.6」でも似たようなキャラを演じており、そちらでも好印象だった。

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ありの