ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
全338件中、81~100件目を表示
女性のための女性の作品
[60代男です]
前半は、若い二人がひたすらセックスしては贅沢な暮らしを満喫しているのを見せられるだけ。そのセックスも、愛し合う恋人同士のものではなく、娼婦がお金をもらったお返しとして男を喜ばせるためにやるセックスだ。
この前半は退屈。
中盤、バカ息子が勝手に結婚したことを知った親が激怒し、別れさせようと手先を送り込んでくる。その手先3人が現れたとたん、なんと男は妻を放り出して一人で逃げる。
そこから主人公が手先3人と一緒に、ひたすら男を探しまわるだけなのが後半。
この後半も退屈。
そして終盤、男を見つけ出し、男の両親もやってきてから急に引き込まれて観れた。ここから結末までは面白かった。
この終盤がなければ、正直、僕にはまったく楽しめなかった。
観終わって、一番に感じたのは、これは一貫して女性にストレスを感じさせないという姿勢で作られた作品だということ。
それは女性のための女性の作品だからだ。
気性の荒い主人公の感情だけを追って物語が進み、それに対する敵対者の正体も女性だ。
結婚相手の男すら後半になると姿を消し、その男も、一族の手先たちも、主人公の周囲で主人公を振り回す脇役たちみんな、結局は最後に出てくる母親の意志で動かされている駒にすぎない。
自分の感情で、自分の意思で、自分のために主体性を持って行動しているのは、主人公とこの母親。あとは主人公をイビる同僚もだが、なんにしても全員女性だ。
劇中では男の一族が主人公をこばんでいるかのような印象を与えているが、もし母親が主人公に好意的であったなら、普通にハッピーエンドになる話なのだ。
父親のほうは主人公の言動に気持ち良ささえ感じているふうなシーンさえあった。
そして幼稚な精神で主人公を苦しめるバカ息子も、この母親が生み出した存在なのだ。
つまり本作は、主人公の女性が、別の女性が支配する世界の中で翻弄され、あがき、対決する物語なのだ。
男たちはみな、その敵対している女性が支配する世界の一部でしかない。
考えてみれば、前半でしつこいほど繰り返される二人のセックスも、通常の男主導のラブシーンとは違い、受け取ったお金の対価として受け身の男を喜ばせるために能動的に行う、女性が支配するセックスだった。
うんざりするほど具体的なセックス描写をするのに、レイプはもちろん、女性がいやいや行うセックスは出てこない。
お金のための場合でも、不快さを耐えたりするような演出はカケラもなく、女性たちは楽しんでやっている。
暴力的なお客どころか、女性に屈辱的なこと、不快なことを強要する男も出てこない。
日本で風俗店を舞台にした映画を作ればそういう描写が中心になるのとは正反対だ。
僕は男なので断言はできないが、現実世界だと、いくら男女平等と言っても腕力で勝てない女性は、二人きりの空間で目の前に迫られたりすれば確実に心理的なストレスがあると思う。
本作はそういうものが一切、排除されている。
男の女性への暴力が出てこない。
それが一番表れているのが、中盤の、押しかけてきた手先たちを相手に繰り広げる主人公の乱闘シーンだ。主人公は殴る蹴る噛みつくとやり放題に暴れるが、男の側は押さえつけようとするだけ。ひたすら痛い目をみるのは男のほうだけだ。
いくら傷つけるなと言われていたからと言っても、顔面を足の裏で蹴られて鼻の骨を折られたなら、男はカッとなって相手の顔面を殴り返すだろう。しかし本作では、痛がって情けない顔をするだけだ。
この現実とは違う描写も、女性にはストレスなく映画を楽しめ、現実では味わえない解放感すら感じる部分ではないだろうか。あくまで男の僕の想像だけどね。
主人公は常に、まったく我慢などすることはなく、言いたいことを言い、やりたいことをやり、自由に思うままに行動する。これほど伸び伸びとした女性主人公の作品ってちょっとないかもしれない。
ここがアカデミー会員たちの心に響いたのではないかと思う。
一族の3人の手先の中の一人が主人公を見るまなざしに、観客の目を誘導していく終盤が良かった。
離婚が成立し、主人公が相手親子と最後の別れのとき、その手先の一人が脇から初めて雇い主に意見する。息子は謝るべきじゃないかと。ここが一番の見せ場。僕にとってはね。女性から見れば違うのだろうが。
それに対して息子が反応する前に、母親が絶対に謝らせないと宣言する。バカ息子は母親の所有物にすぎない幼児なのだ。とても一人の男として、自分の選んだ女性と結婚できるような人間ではないという、主人公にとって絶望的な現実を再確認させる。
ラスト、主人公が、自分に好意をよせてくれる男を相手にしない態度だったのもリアルで良かった。たった1日で気分を切り替えられるほど裏切られた主人公の心の傷は小さくないのだ。
二人の間にこの先、進展があるのかどうかは分からない。安易にくっつけて終わらせていたら、主人公の感情にリアルさがなくなっていたところだった。
本作の主人公は、作者の都合で気持ちが操作されているような作り物っぽさがない。
感情がリアルで、本当に生きている生身の人間に見えるのがいい。
役者が演技しているということが意識から消えて本当のことを見ているかのように楽しめた。
追記)
ラストシーンの意味が分からない方のために解説
主人公は心の中はまだ愛した男のことでいっぱいで、他の男など相手にする気持ちになれないが、目の前の男から、金銭的にも重大な恩をもらったので、それまでやってきたように、対価を体で返しはじめる。
行為の最中に男からキスをされそうになる。
結婚前までなら当然、キスなどお金を払ってくれる相手とならいくらでもしていたが、結婚したときから相手は愛する男ひとりだけという気持ちになって過ごしていたため、キスはしたくなかった。
キスを拒んでいるうちに、自分が唯一、愛情を込めたキスをする相手、その愛する男はもういないこと、その男の方には愛などなかったことが頭の中によみがえってきて、たまらずに泣き出した。
おしまい。
ラストシーンの主人公の心情が複雑すぎる
アノーラはとても頭のいい女の子。離婚と婚姻無効の違いも分かるし、法的問題では弁護士を要求する権利があることも知っている。
クズ男のために勝てない争いをする必要もない。1万ドルもらって、自分を好きになってるおじさんを頼った方が効率がいいに決まってる。
こんなことは全部分かった上で、手に入れかけた夢のような金持ちの生活をあきらめきれない、子供でも大人でもない23歳のアノーラが見事に描かれている。
このジャンルの映画を普段観ないので、過去作との比較はできないけど、主人公の心理がシーンごとに移り変わっていく様子が見事に表現されていて、間違いなく名作といえる映画。
ここまで丁寧に描いておいて、ラストシーンは主人公の心情を観客にゆだねているのが印象的で新しい。
ざっと挙げてみると、
①真の愛に出会えた安藤(たぶん違う)
②手に入れかけた夢の生活への未練
③現場の生活に戻ることの苦悩
④新たな相手をつなぎとめる為に、結局セックスに頼るしかない不甲斐なさ
いろいろ考えられるけど、自分の人生経験では最後の主人公の心理が分からないので、星四つ。
もらい泣き・・
最初、この映画のサブタイトルかと思った「BITTERS END」は配給会社でした♪・・・。
シリアスでもあり・・ドタバタコメディーの要素もありの・・R-18のオスカー作品賞映画♪
成金のボンボンは、どこの国でも似たようなボンクラなのでしょう・・。
イゴール役ユーリーボリソフさん、助演男優賞ノミネートに相応しい、素晴らしい表情の演技♪
表情の一挙手一投足に、イゴールさんの真の心の内が滲み出ているようで・
アニーがプライベートジェットに搭乗拒否した時の繊細な表情など・・♪
ラスト・・やはりそういう人でした♪
もう「プリティウーマン」や「シンデレラ」は、おとぎの国の話なのかもね・・・。
本当に悔しくて悲しくて・・そんな時は・・あのように号泣するのでしょう・オスカーの主演女優賞も納得のシーン
・・心中思い計って、思わずもらい泣き・・
パリ五輪の、阿部詩さんを思い出しました。
でも・・涙を受け止めてくれる人がいて良かった・・。
ハリウッドも色々と問題もあるでしょうけど・・アメリカのショービジネスの懐の深さを感じ取れる映画でした♪
タイトルなし
ひとつの映画にふたつの物語があるみたいだった
アニーことアノーラの仕事、出会い、享楽にふけるだけの日々、結婚…
ここまででひとつの夢物語
そこに当然現れる現実
その現実を連れてくる人々
ここからもうひとつ
その日々の元資金はどこから?と考えるまでもなく、そこ抜きではその先はない、という現実がやってくる
とはいえ、予想よりコメディだった二幕目の役者が出揃い始めてのしばしドタバタ劇
予想を裏切ることのない御曹司の御曹司っぷり
分かってたけど、どうしようもないわ、こいつ(笑)
ただ、アニーがたくましいし、賢い
若さ故の現実見えてない部分はあっても、あの状況で、あのたくましさ、弁が立つ抵抗っぷり
そして、エンディングへ向かう心の動き
ダイヤモンドの嫉妬がうっとおしいくらいだけど、アニーも見えてなかったわけではないんだろうな
だから、余計に腹立ったんだろうな
そんなことも分からないバカな小娘ではない
でも、しばし、夢を見たんだろう
両親出て来てからのアニーの様子は見ていて切なくなるし、腹立たしいし、、
けれど、ちょいちょい啖呵切ってくれるとこがよい
しようもない親、しようもない息子
イゴールが、なにげにこの人、悪い人じゃないよな感があったけど、いいキャラだったな
ラストのラスト、そう終わったかー
ワイパーの音かー
オープニングとは真逆な静かで色のないエンディング
なんだ、これ?
めちゃくちゃ面白いじゃないか!!!
前半エロ後半コメディの傑作
2025年劇場鑑賞74本目。
エンドロール後映像無し。
アカデミー賞獲ったというので、堅苦しい陰鬱としたストリッパーの映画かと思いきや、まぁ前半はエロエロで、いや脱いでダンスで満足できるなんて皆さん紳士だね、と思ってたらやっぱり裏オプションがある子もいますよね。主演の子がとにかくエロかわいくて、ベッドシーンも何回も出てきます。シーン自体は短いのですが、もうなんかおつまみ感覚で随所に提供されます。ぼかしが入るような野暮な撮り方はしていなくて、なんかこううまく見えない感じでパンパンパンという流れです。
このまま肉欲に溺れた感じでいくのかな、と思う頃にロシアから送られたずっこけトリオの登場で一気にコメディになります。みんなハゲ頭のイゴール君に頑張れ!くじけるな!と声援を送っていたのではないでしょうか。
シンデレラ
シンデレラが一番好きと話すアノーラ。
派手な結婚を祝うドレスと笑顔。
その後ろには華やかな花火が短い瞬間にも見える。
毛皮を本物かどうかも分からない。
最後に残ったのは心の傷と顔の傷。そして涙。
切ないシンデレラになった。
滅茶苦茶な行動に出るが彼女の前に出てくる
キャラクターは全員、愛おしい。
監督が愛を込めてるのだろう。
Fの言葉が半端無く多かった。
まさかの479回もあるとは笑。
あの赤いスカーフ。
口に巻かれた後は、お洒落なマフラーに。
アノーラがイゴールにかけた毛布も赤。
まるで彼女の生きざまと生きる象徴の赤色。
似てると思ったら、イゴールはコンパートメントNO,6のの方だったのかぁ。
ユーリー・ボリソフ覚えておきます。
タフでクールで破天荒なアノーラ。
彼女の負った傷を寄り添うイゴール。
彼の愚直な男のさりげない優しさは素敵。
降りしきる雪の冷たさと優しさが
入り交じって、やっと泣けて良かったね。
また沈黙のエンドロールが涙をそそる。
なぜこんなに評価が高いのかわからなかった
長い
見る気ないけど、どんな話か知りたい方の為に、令和版プリティウーマンのバッドエンドverです。
正味45分もあれば完結する話なんだが、無駄にセックス描写が多くて、散々擦り倒されてきた話だし。
パパ活女子の金銭感覚バグらせるために豪遊させるおっさんの話思い出した。
道楽のために人の人生を振り回して何とも思わない人間なんてざらにいるしなぁってなっちゃって、、全く良さが見出せなかった。
うんうんほんで?って話だと思う。
40分くらいであの話描いて残りの60分でその後のアノーラを描かないと令和の時代ではあのままで別にいいとか何も変わらない現実とかも描かないときちんと理解できる人少ないのでは?という気がしてならない。
良い意味で期待外れ
「期待外れ」と言う言葉が適確かどうかは分かりませんが、正直なところ、鑑賞前の想像を大きく越えてきました。ありていな言い方をすれば「最高に面白い」でした。
予告編、チラシデザイン、宣伝文句から想像していたのは、1人の女の子の華やかなサクセスストーリーを描く「プリティ・ウーマン」ぽい内容かな、と。ただし「シンデレラストーリーのその先の〜」というのが、私自身の貧困な想像力ではとても思い描けませんでした。
実際鑑賞を始めてみると、これは思った通り、普通でない(?)女の子がでてきて、金持ちのアホボンボンと恋仲になり、ボンボンの友達も巻き込んだ「パリピ」な様子が映し出れていきます。
私にはその「パリピ」なシーンがやや冗長に感じられ、途中から少し飽きてきていました。まさか、このままパリピなシーンが延々と続くはずがないよね?何かが起こるよね?何が起こるのか分からないけど…と思っていたら、アホボンが逃げ出した辺りから急にアクセルを全開したかのように、俄然目が離せなくなりました。
怪しげなお目付け役の牧師と、一見コワモテのその2人の部下が絡んでくると更に面白さのスピードが加速します。なぜかと言うと3人のキャラクターが見た目と違いとても魅力的だからです。
牧師なのにマフィアみたいな雰囲気で、言葉の悪さと脅し文句も筋金入り。部下もいかにも何のためらいもなく暴力を振るいそうで、特に若い方(イゴール)が何をしでかすか分からないような不気味な雰囲気を醸し出していました。
わ〜、これは女の子がボコボコにされる陰惨な場面が出てくるのかな?嫌だな、と思いながら観ていたのですが、ボコボコにされるどころか暴れ放題、叫び放題の女の子に3人ともタジタジで、むしろ3人のほうが可哀想に思えてくるぐらい。鼻を折られたり、サイコ呼ばわりされたりそれはもうめちゃくちゃ。それでも、キレることなく女の子に暴力を振るったらだめ、という彼らの出で立ちにしては謎(?)の信念があるようでじっと耐えてる姿、特にイゴール君がとても印象的で気になりました。
実際、女の子ともうひとりの男が言い合ってるシーンでも、なぜかイゴール君にフォーカスが当たっていたりと、何かを匂わすようなシーンはありました。
すると本当にイゴール君がキャラ立ちし始め、おとなしいのかと思っていたら、聞き込みをしたお店を容赦なくバットでぶち壊したり、女の子を常に気遣うような素振りも見せ、本当に途中から彼から目が離せなくなりました。とにかく、彼のアノーラに対する眼差しがとても優しい。
またおばあちゃんの話しを時々したり、もうひとりの仲間のために薬を持ってきたりと、何かしら行動や言動に生真面目さがにじみ出ている。
とにかくいいキャラだなあ、と思ってたら、案の定最後においしいところをもっていってしまいましたね。
彼を絶讃していますが、牧師ももうひとりの仲間も憎めない愛らしいキャラで、アホボン探しの夜間珍道中は笑いっぱなしでした。
アノーラもなかなか強烈で憎めなかったですが、それに勝るとも劣らず、他の人たちもとても魅力的で良かったです。
変な例えですが、ボケとツッコミがバランスよく描かれた何か壮大な「吉本新喜劇」みたいな作品でした。
今回は数少ない女性のフォロワーに見捨てられてしまう男の本音を語るぞ❤️
監督のアカデミー賞の、映画館で映画を見る体験は必要だ!という発言に感銘を受けて、片道二時間半遠征して鑑賞したのすけ。
監督が色んな人に感謝していたけど、セックスワーカーにも感謝をしていて、
公の場で珍しい事言うなぁ?確か、主人公はストリップダンサーなんだから、いわゆるシモの世話はしないだろ?
と、思っていたのだが、あっちのストリップって、間近で見た踊り子を選んで、チョメチョメできるんだぁ?
日本みたいに、パネマジ( 分からない人、ググれ!) で、写真のおにゃのことは、全く別人が出てきて、店員に抗議するも、返金は出来ないと突っぱねられて、何度、枕を濡らした事か。
更に俺が体験したパネマジは、出てきたおにゃのこが、何と小人で( あまりにも、恐ろしい思い出なので割愛)
さて、ストリップダンサーのアノーラだが、客のロシア人のゲスい金持ちの若造に専属契約を持ちかけられて、値段を吊り上げたりする。
金持ちからしたら、一発ごとに料金が掛からなくて( まぁ、お下品!) サブスク感覚、料金定額で、やり放題だか( 酷すぎるので省略)
ここから、しばらくパリピ共の乱痴気騒ぎが展開されて、ウンザリしてくる。
また、こいつらが発情期のハムスターや、ウサギの如く、ヤリまくる。20分くらいヤリまくる。もう、ウンザリしすぎてぐったりしてくる。
おい!監督!あの感動的なスピーチは何だったんだ?
まだ、この時は、只の太客だったのだが、何やかんやあって、その場のノリでラスベガスで結婚をする。
さー、問題はこれからだ。プリティー・ウーマンのリチャード・ギアは自分のチカラで稼いでる金持ちだたが、このロシア人のガキは豪邸に住んではいるものの、名義は父親で、高級車も本人の持ち物ではない。つまり、こいつには何も無い。
そんな、ヒロシに騙されたアノーラは、当然、ロシアの両親に結婚を大反対される。そして、アノーラのなかった事にする為に、父親の手下の番頭さんと、屈強な二人の殺し屋にしか見えない男がやってくるのだが...。
極真空手の故・大山倍達総裁の名言、
アメリカには、バレエダンサーとは、喧嘩はするな!という、ことわざがある!
との発言の通り、自分を取り押さえに来た屈強な男二人と番頭さんをアノーラがジェイソン・ボーンのようになぶり殺しにするのだw
もうね?アノーラが強いったら、もう!圧倒!
ようやく、はげちゃびんの男がアノーラを後ろ手を縛るも怯む事無く、FUCK、FUCK、と言いながら、もう一人のヒゲのオールバックの男の顔面を両足でドロップキックをかます。
おい!監督!面白いじゃないか!?
オールバックの男は、
鼻が折れちゃったー!冷やすモノが無いよー!
と、喚きまくる。あまりにも、痛かったので、冷蔵庫から冷やすモノを探して、冷やして、ようやく落ち着く。
この乱闘シーンは10分くらい続き、全員が、FUCK、FUCKとタランティーノの映画よりも叫びまくる、この乱闘シーンが面白いんだよ?場内のお客さんも大笑いしてました。
ちなみに、ロシア人彼氏は、アノーラを守りもせずに逃走しています。
さてさて、逃げたロシア人彼氏を、番頭さんと、二人組がアノーラを人質にして追うのだが、ここでも喧嘩は終わるわけもなく、ずっとFUCK混じりの口喧嘩が続く。
追跡途中で、オールバックが絶妙なタイミングでゲロを吐く。お子さんがはしゃぎすぎてゲロを吐くみたいに。ここでも、お客さん、大爆笑。突然、ゲロを吐く登場人物は監督のお約束のようだ。
番頭さんは、
ふざけんな?!この車は明日、女房が使うんだ!どうしてくれるんだ!?
と、キレるw この珍道中、とにかく、いつも誰かがキレている。ここでも、客席、大爆笑。何だ?このモンティ・パイソンは?
そして、ようやく彼氏を見つけるのだが、その場所がアノーラが踊っていたあの店という事が分かるのだ。おい、どこまで肉欲まみれなんだ?おまいは?
彼氏を相手したのは、アノーラが結婚したとはしゃいでいた時に、
もって、二週間だね?
と、素敵な予言をした踊り子のダイヤモンド姉さん( 何て、源氏名だ) が、彼氏を見つけるや、速攻でパックンチョしちゃう❤️
激怒プンプン丸のアノーラは、ダイヤモンド姉さんを一発で仕留める。覚悟、完了!!
そして、一向はロシア人両親が待つ空港に辿り着く。待ち構えるは、最大の難関、悪意しかない義理の母。
当然、嫌われまくっているので、暴言のナイフで傷つけられるアノーラ。彼氏は、何も喋らず味方をしてくれない。
結婚したから、財産を半分貰う!
とアノーラは言うが、鼻で笑われる。でも、ここまで人間の尊厳を蔑ろにされたアノーラは反撃に出る。
お母さん、彼が、貴女が嫌いなタイプの女の子ばかり選ぶのは貴女が大嫌いだから、貴女の嫌がる事をするんじゃないですか?
と、人として言っちゃいけない事を言うと、母親は激怒するが、隣にいる旦那はそれを聞いて大爆笑するのだ。何て、恐ろしい光景なんだ...。
はげちゃびんも黙ってはいない。お金持ちの息子に向かって、
貴方は、アノーラに謝るべきだ!
と、その一言でクビになるかもしれないのに、息子に問いかけるのだが、それでも息子は何も言わないのだ...。
お前にとっては、只の風俗嬢だったかもしれないが、まず人間なんだぜ?職業差別すんなよ?っと、思った。
全てを失ったアノーラを自宅まで送るはげちゃびん。車内でアノーラを慰めようとするもとんからりん空回りするのだがー?
ここから、今までの前半ド下ネタ、中盤お笑い喧嘩道場からは想像できない。心暖まる二人の会話が始まるのだ。うん、これはアカデミー賞を取るべき映画だ!
散々、はげちゃびんに迷惑かけたのに、優しい言葉をくれるので感謝の気持ちを込めて、アノーラは自分の身体を差し出す。アノーラは、生い立ちが不幸だったから、他にお礼の仕方を知らないのだ。
その時、はげちゃびんのとった行動は?
その後は、劇場でお楽しみください!ありがとう!浜村淳でした!!
前半がアレなので、普通のカップルにはお勧めしかねます。乱行ばかりやっているカップルwにだけお勧め。
あと、エマニュエルの映画に絶望した人な?シネフィルは絶対に見るべき!面白いぞぉー?!
映画版ノンフィクション
ジョーンベイカー監督の作品はタンジェリン、フロリダプロジェクト、レッドロケットと鑑賞済。自分の中ではアメリカの映画版ノンフィクションと勝手に思っている。容赦なく現実を突きつけてくるので好きな監督である。
しょっぱなからエロ全開でテンポよくノリノリで話が進み、快楽に溺れる夢のような展開で観ているこちら側も夢心地にさせられる。
が、後半は悪夢の一夜が一時間くらいかけてほぼ会話劇で展開され、一気に現実に引き戻される。鑑賞中はナゲーな。。と思っていたが、いま振り返ると、夢のような幸福な日々は一瞬で過ぎ去り、辛く重い現実は永遠に思えるほど長く感じる、その対比を出すためだったのかなと。予想通りの展開ではありましたが、余韻の残る終わり方はとても好物。アノーラ役のマイキーマディソンもエロくて可愛過ぎて100点。
イヴァン役のロシアのティミーと言われるマークエイデルシュテインも富豪の放蕩息子っぷりが外見と動きに滲み出てて素晴らしかった。イゴール役のユーリーボリソフは単純に好きなタイプ以上。
パルムドール作品大好きマンなので、パルムドール受賞は納得なんだけれども、アカデミー作品賞となると、個人的にはなんか、ちょっと違うかなと思ってしまいました。
物足りない
いやーさすがのショーンベイカー監督作品って感じ。フロリダプロジェク...
ばーちゃんのクルマ
助演男優賞にノミネートされていたイゴールが良かった。イゴールにとってばーちゃんのクルマは大切なものであり、アノーラのハプニング的なお礼だったとしても神妙な気持ちだったのではないか。
最初っからお尻!18禁ってこんなん? ストリップダンサーって言うか...
煌びやかでセクシュアリティーなガワの裏にある、確かな寓話性。
【イントロダクション】
ストリップダンサーとして働く1人の女性、“アノーラ(アニー)”が、客として訪れたロシア人の御曹司に見初められた事をキッカケに、豪華で煌びやかな世界へ足を踏み入れるシンデレラ・ストーリー…の先にある“現実”を描いたR-18指定作品。主人公アノーラを演じたマギー・マディソンの体当たり演技が炸裂する。監督・脚本に『フロリダ・プロジェクト/真夏の魔法』(2017)のショーン・ベイカー。
第77回カンヌ国際映画祭〈最高賞〉パルムドール受賞。第97回アカデミー賞、作品賞、脚本賞、主演女優賞、監督賞、編集賞の5部門受賞。
【ストーリー】
ニューヨークのストリップ劇場でダンサーとして働くアノーラ。ある日、店を訪れたロシア人男性客のイヴァンは、アノーラの事を気に入り、プライベートで自宅に招く。召使いやエレベーター付きの豪華な邸宅に住むイヴァンは、財閥の御曹司だった。彼との契約で、1万5,000ドルで1週間をイヴァンや彼の仲間達と共に過ごす。突然の思い付きで訪れたベガスで、イヴァンはアノーラに求婚。彼女もそれに応え、2人はベガスの簡易結婚式場で夫婦となる。
ストリップ劇場を辞め、豪華な邸宅での煌びやかな生活を手にし、順風満帆かに見えたその矢先、結婚に猛反対したイヴァンの両親が、部下のトロス、ガルニク、イゴールを遣わせ、自分達もニューヨークに向かってくる。
両親の来訪に慄いたイヴァンは、アノーラを残して何処かに姿を消してしまう。残されたアノーラとトロス達は、消えたイヴァンの行方を追って捜索を開始する。
【感想】
破天荒なアノーラと、典型的なドラ息子のイヴァン。それに振り回されるトロス達とのやり取りの面白さ。しかし、バカバカしく騒々しい物語の裏には、確かな寓話性が満ちている。日本のキャッチコピーにある、《おとぎ話?ううん、現実(リアル)》という言葉が指し示す本当の意味が、鑑賞後には何とも皮肉めいて突き刺さる。
マイキー・マディソンの体当たり演技は圧巻。冒頭からとにかく脱ぐし、濡れ場も果敢に挑み演じ切る。オスカー受賞も文句なしだ。
しかし、本作の陰の功労者ユーリー・ボリゾフに、私は堪らなく魅了されてしまった。この先の彼の活躍を願わずにはいられない。
また、イヴァン役のマーク・エイデルシュテインのドラ息子演技も忘れてはならないだろう。特に、セックスの際の痩せ細ったガリガリの身体にトランクスとハイソックス姿というスタイルには、抜群の嫌悪感を抱く(笑)彼もまた、主演のマイキー・マディソンに負けず劣らずの体当たり演技なのだ。
意外だったのは、豪華で煌びやかな見た目に反して、製作費は僅か600万ドルというから驚きだ。但し、思い返せば豪華な印象を与えつつ、予算を掛けないで画作り出来るように工夫されているのが分かる。ショーン・ベイカー監督がアカデミー賞のスピーチで語った「お金の無さ」という部分に、本作のアノーラの姿まで重なって見えてくる。しかし、少ない予算で効果的な物語を構築してみせたからこそ、パルムドールやオスカーに輝いたとも言えるのだ。「予算があれば素晴らしい作品が撮れる?」という問いと、それに対する「NO」という答えは、そのまま本作の示す「お金があれば幸せ?」という問い対する「NO」という答えにも重なるのだ。
煌びやかなストリップシーンやベガス旅行を彩るダンスミュージックの数々も個人的にヒット。また、イヴァンがアノーラの元居たストリップ劇場を訪れた際に掛かっていたT.A.T.u.の『All The Things She Said』には、思わず懐かしさを感じた。この曲のイントロ、本当に素晴らしいな。
【考察】
タイトルであり、主人公の名前でもある〈Anora〉という単語には、“ザクロ”、“光”や“明るい”といった意味があるのだそう。しかし、当のアノーラ自身は、本名で呼ばれる事を嫌い、周囲にもトロス達にも「アニー」という愛称で呼ぶよう促す。それは、彼女が自らの人生や現状に不満や負い目を感じているからではないだろうか。セックスワーカーとして、日々心と身体を切り売りしている彼女にとって、“光”や“明るさ”を示すこの名前は苦痛でしかないのだ。
思うに、アノーラは根は真面目で他人に気遣いの出来る性分なのではないだろうか。店の人気嬢として君臨出来ていたのは、単に彼女が性的魅力に溢れていたからだけではなく、お客に対するサービスを徹底していたからだろう。
イヴァンの自宅に呼ばれた際にも、目の前には幾らでも大金を引き出せる金持ちの御曹司が居るのにも拘らず、「お正月は仕事だから。割増賃金なの」と仕事に向かおうとする。
イヴァンを捜索する際の破天荒な振る舞いは、彼女にとって「ようやく手に入れた幸せ(と彼女は思っている)」を手放さない為の、孤独な戦いなのだ。
しかし、そんな彼女とは正反対に、イヴァンはどこまでもドラ息子でクズのままだ。やり方もロクに知らないであろう、女性を気遣えない身勝手なセックス。ひたすら腰を打ち付けるだけの高速のピストン運動姿はあまりにも滑稽だ。堪らずアノーラは、自らの腰を動かしてスローセックスでイヴァンを満たしてみせる。だが、別日には再び彼は高速ピストンでアノーラと交わっている。彼は、女性を満足させるセックスをするにはどうすれば良いのかという事を学習していないのだ。
そして、セックスが終わればピロートークも無しにFPSゲームに夢中になる。逃亡の仕舞いには、泥酔してアノーラの元居たストリップ劇場を訪れ、彼女のライバルだったクリスタルからサービスを受ける始末だ。
どうせなら、クライマックスでイヴァンの両親の前で彼を糾弾するのなら、「アンタとのセックス、ちっとも気持ち良くなかったわよクソ野郎!」くらい言ってほしかったような気もする。
しかし、そんな間違った相手をアノーラは愛してしまったのだ。正確には、あれが愛だとは思わないが、彼女は本気だったのだ。何故なら、彼女にとってイヴァンとの結婚は、またとない“地獄からの脱出”のチャンス、まさに“蜘蛛の糸”だったのだから。
安アパートで姉(とその彼氏)との共同生活。外で風に吹かれては、タバコを吸いスマートフォンを弄る典型的、現代的な孤独。雇い主に「労災も年金も出ない」と語るも、相手はヘラヘラとして相手にしない。あの店で働いている限り、アノーラはどこまで行っても搾取される側なのだ。だからこそ、彼女はイヴァンとの結婚に誤った「幸せ」を見出し、縋ってしまった。「ここから抜け出せる」と、玉の輿に乗れた彼女は、浮かれ気分で店を辞める。同僚のクリスタルの嫉妬も何のそのだ。
ここで忘れてはならないのは、クリスタルの嫉妬心。昨日まで同じ立場に居たはずの人間が、運良く遥か高みに登り詰めてしまった事に対する強烈な嫉妬心は最もだ。だからこそ、私は彼女を悪者だとは思っていない。その「弱さ」は、実に人間的で共感出来るから。
【観る者の心を抉るラスト10分】
イヴァンとの婚姻関係を破棄したアノーラは、せめてもの情けと言わんばかりに、トロスから「今夜まではあの家に居ていい」と言われ、イゴールと共に過ごす。
互いにタバコを吸いながら、何気なくニュースを観ている。交わされる会話の内容は、互いの名前の話題から性分まで、実に他愛ない。
しかし、「アンタ、クレイジーね」「お互い様さ」と言い合えるようなこの関係性にこそ、本当の安らぎや信頼があるはずなのだ。しかし、アノーラは失ったものの大きさから、それに気付けない、又は目を背けようとしている。イゴールに「他の連中が居なけりゃ、アンタあの時間違いなく私をレイプしてたね」と語るが、イゴールは「そんな事しない」と否定する。この台詞に込められたアノーラの過去に思いを巡らせると、胸が痛む。
翌朝、粉雪が降る中、アノーラはイゴールの車で自宅にまで送られる。結婚指輪をこっそり持ち出していたイゴールは、「トロスには内緒だぞ」と、自分達と同じようにイヴァン一家に振り回され、傷付いたアノーラに、せめて手切れ金の足しにしろと言わんばかりに手渡す。それを静かに受け取り、助手席に座ったままのアノーラ。
「君があの一族の一員にならなくて良かった」と、イゴールは彼女を励ます。傲慢で他人の迷惑も顧みない、“金だけしか持っていない”人間達のコミュニティに属さずに済んだ事を心から良く思っているのだろう。
トランクから荷物を運び出し、車に戻ってきたイゴールは、「どうだこの車?」と問う。すかさずアノーラは、「アンタらしい車ね」と皮肉で返すが、彼は「ばあちゃんの車だ」と語る。聞いた話によると、車の扱い方は女性の扱い方に似ているという。祖母の車を大事に乗るイゴールは、その台詞一つで祖母から愛されていた事も、彼もまた祖母を大事に思っている事も理解出来る。
そんなイゴールに対して、アノーラは彼に跨り、性的なサービスをする。彼女はこれまで、対価と引き換えに自身の身体と心を切り売りして生活してきた。だからこそ、ラストでイゴールの損得を超えた純粋な“優しさ”に対しても、返せるものが性的なサービスしかないのだ。
しかし、イゴールは決して恍惚とした表情は浮かべない。イヴァンならば間違いなく「あぁ…良い…。最高だよ…!」と返したであろうアノーラのサービスも、彼はアノーラが無理をしている事を見抜いており、やるせない表情を浮かべている。
堪らずイゴールはアノーラにキスをしようとするが、彼女はこれを猛烈に拒否する。このアノーラの拒絶は、イゴールを異性として見れないだとか、そういう類のものではないように思う。愛の意味を履き違えて、間違った相手や地位を守ろうと奔走したアノーラにとって、イゴールという存在はあまりにも眩しかったのではないだろうか。彼ならば間違いなく、自分が求めていた「本当の愛」を与えてくれるだろうし、その証があの瞬間のキスだったのではないだろうか?だからこそ、彼女はそれを受け取る事は出来なかったのだ。自分の本名に対して負い目を感じているように。
しかし、それまで気丈に振る舞っていた彼女の心のダムは遂に欠壊し、イゴールの腕の中で泣き崩れる。粉雪が静かにウィンドウに降り積もって白さを増し、ワイパーの音と外の風音が静かに響くエンディングが切ない。
この涙には、どれほどの悔しさが滲んでいた事だろうか。言葉だけの見せかけの愛に縋った馬鹿な自分に対してだろうか?「ここから抜け出せる」という淡い夢に縋った事に対してだろうか?あるいは、イゴールの損得や男女間の性的な関係を超えた本当の「優しさ」に対して返せるものがない事に対してだろうか?
この涙の意味については、観る人それぞれが様々な解釈をする事だろう。私は恐らく、そのどれもこれもが正解なのではないかと思う。
【総括】
現代的な搾取構造やそこに身を置く、置かざるを得ない人々の姿を描いてみせた本作は、最初こそ煌びやか(というか下品)な描写やイヴァン達の馬鹿らしさに「本当にこれがカンヌでパルムドール?アカデミー賞で作品賞や脚本賞?」となったが、ラスト10分で強烈に胸を抉られ、鑑賞後には本編では描かれていない登場人物の背景に思いを巡らせずにはいられなかった。数々の賞に輝くのも納得の一作。
惜しむらくは、アノーラとトロス達の格闘シーンや、中盤の捜索パートが少々冗長に感じられた事。特に、ガルニクのトロスの車中での嘔吐や、レストランのウェイトレスやストリップ嬢を口説く姿は、それ自体はコメディとして面白いが、必要性はあまり感じられなかった。無駄を省き、120分の上映時間に収めてくれていれば、更に評価出来たのに残念だ。
願わくば、アノーラとイゴールが、あの先の未来で笑っていられますように。
ラストシーンが最高
監督の強いメッセージ性をこれでもかも感じられるエンタメ作品。
ロシアの富豪の息子イヴァンは、主体性のない幼児的な人物として描かれ続けます。
幼い頃から面倒を見てくれる側近、ベガスの支配人…一見すると多くの人を従えているようですが、住まいやプライベートジェット同様に彼らの目線の先にあるのは両親です。
ストリッパーのアニーはイヴァンのお気に入りになり、彼女になり、妻になる。
セックスをしている時以外、不安げな顔でイヴァンの機嫌を伺うのは、特別を失うのが怖いからでしょうか。
名もない自分が何者かになるには、男に選ばれるのが手っ取り早い。彼女の場合それが分かりやすい職業ですが、現代日本でも同じですよね。自分で稼ぐ能力のない女性が、経済力のある男性の妻(や、その子を産んだ母)というこおをアイデンティティにする…というのはよくあります。
イヴァンの周りに集まる友人は、こぞって低収入の大衆でした。彼らもまた、裕福な友人を持つことで自分が特別な何者かになれると思っていたのでしょう。
でも、他人の力では何者にもなれない。
それはイヴァンも同じことです。
親が裕福で全てを与えられていても、彼は自分の意思すら持てていない愚か者でした。
アニーの家族は裕福ではなさそうでしたし、マイアミで新しい彼氏と暮らす母…というセリフからいい感情を抱いていないことが分かります。
この対比がまた、メッセージをより強固にしています。
生まれが裕福でも貧しくても、特別な誰かになれるかということには、本質的に影響はない。
自分の人生をいき、自分で切り拓くことでしか、人は社会で何者にもなれない。ジャンプアップで突然変異するなんて有り得ないのです。
これでもかというくらい『現実』で叩きのめされ最高でした。
ラスト数分がものすごい傑作!!
見終わった後、ものすごい余韻がありました。簡単に言えば、バカ息子と勘違い女の物語ですが、ラスト数分にこめられたやり取りが大変素晴らしかったです。
最後、雪がポイントです。イゴール(だったかな?)がアノーラを車で送った際に「トロスには内緒だよ」と、取り上げた指輪をアノーラにあげた時に、もしかしたら娼婦であるアノーラは、初めて人間の愛や温もりを感じたのかもしれません。
アノーラは、御礼にイゴールの膝に乗り抱きつきます。しかし、イゴールは「あなたとはそういった行為はできませんよ」と言わんばかりに拒みます。同時に身分の違いによる冷たさをアノーラは味わうことになり、泣き崩れます。
雪の冷たさと身分の違いによる冷たさがリンクしているのだなあと感じました。
物語のほとんどは、下品な言葉が飛び交う内容ですが、意外と退屈しませんでした。
追記 個人的な感想です。
全338件中、81~100件目を表示