ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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見事だが、120分にまとめなきゃ。
ついに観ました。アノーラ。
ストーリー、脚本はショーン・ベイカー監督の構想が見事。アカデミー賞監督賞も納得。
アメリカの性風俗業界のスタッフに光を当てるのは見事。作品全般は見事。
ただ、減点は時間と主演の2人。
主演のアノーラとイヴァン役の俳優の演技が軽い印象を受けた。
もう一点は時間。時間は長すぎる。120分にまとめられた作品。
マイナス材料は多いが、良かったのはラスト。アノーラの涙と用心棒役のユーリー・ポリゾフの優しさは素晴らしいラストだった。後は我々観客がどうラストを解釈するかだろう。この作品は用心棒役のユーリー・ポリゾフが素晴らしかったのでおまけの4点。
シンデレラストーリーの意味を考え直す
主人公と御曹司の生活の超絶格差を見せつつ結婚まで盛り上がり、そこからの落差とブラックなコメディ展開も面白かったですし、そこからのラストも胸を打ちます。
冷めた表情を垣間見せたり、主人公も愛がないことは分かっていたとは思いますので、結婚のラブラブぶりやロマンチックな演出も皮肉なのかと。
露骨に差別的な態度の金持ち家族も醜悪ですが、御曹司のクズっぷりも酷い……
エンタメ的には偉そうな金持ちを見返してスカッと、みたいなストーリーになりそうですが、この理不尽なラストが現実なのかと思うとやはりやるせないです。
主人公だけでなく、金持ちの命令に振り回されるお目付け役たちにも同情してしまうところが。
怪我をしたまま病院にも行けず、命が危ういのではという状況にハラハラさせられましたが、結局どうなったのか……
ラストの主人公の行動は、用心棒に対価を払おうとしたとか、用心棒もどうせ下心があるのだろうと疑っていたとか、そういう感じかと解釈しましたが。
しょせん人間性は無視され性的な欲望の対象としてしか見られない、これまでもそうだっただろうけれどそれを徹底的に突き付けられた、そのやるせなさなのかと。
しかし、やるせなさの中にも、用心棒との関係性に光も感じるラストだと思いました。
主演のマイキー・マディソンの演技も素晴らしいですし、御曹司のボンボンっぷりや用心棒の朴訥さもそれぞれの人物像が際立つ演技で良かったです。
ポスターなどでは「シンデレラストーリーのその先へ」というコピーがついていて、シンデレラストーリーとは何か違うような……とも思いましたが。
しかし、考えてみるとシンデレラも、蔑まれながら働かされている、舞踏会で地位と財産のある王子様に見初められて結婚する、という流れで。
舞踏会は財力を使って女性を集めて品定めをしているものと思われますし。
シンデレラは王様の息子という肩書以外は王子様のことは知らない、王子様も多くの女性の中から美しさでシンデレラを選んだ、お互い相手の人間性で選んだわけではなく地位や外見など表面的な部分で選んでいると思われますし。
シンデレラストーリーというのは、かなり合っているのかもとも。
とは言え、シンデレラのストーリーについては絵本の知識のみなので、厳密には分からないのですが。
ロードムービーとロシアと
最強バカップルと底辺層への人間讃歌
アカデミー作品賞を取った映画だからと身構えて観るとたかが外れる。風俗嬢と富豪のバカ息子のから騒ぎを描いたおバカコメディですから。
風俗嬢だけど実は過去に××〇があってとか、バカ息子に見えて小説家になりたい夢があるとか、そんなのは一切なし。
風俗嬢はよくある家庭環境の問題からなっただけで教養もしつけない女性。バカ息子はただ遊びたいだけの本物のバカ。だからこの映画のカップルは本当にバカップル。
お金とセックスのために生きてるだけ。
だけどだけど、これがこの映画の要で良いんですね。
彼らは偽りのない本音の生き方。
もしお金とセックスが不自由なく手に入れられたら、毎日朝から晩までベッドの上でセックスして疲れたら寝て、セックスに飽きたらテレビゲームする。
そんな裏のない生き様を長々と描くから、観る人によっては冗長と感じてしまうだろう。
でもそんな人生甘くないのが後半のテーマとなる。必死に抗うアローラの人間性が爆発しまくり、それが何とも言えないチャーミングさを感じさせてしまう。これが映画マジックだろう。
監督のショーン・ベイカーは60〜70年代の東映映画のエロ・グロ・ナンセンス映画が大好きらしいが、アノーラにはその影響が強く出てますね。それはかつて日本映画が得意としていた底辺層への人間讃歌でもあり、この映画が愛される理由だと思う。
世間からゴミ扱いされる人間だって一生懸命生きてるんだ!
日本の予告編が随分とミスリードに感じたThe Japanese trailer felt quite misleading
そういう世界を全く知らないので、
全編に亘って共感する部分は皆無だった。
予告編のキッチフレーズにもあった
「シンデレラストーリーのその後・・」
のつもりで見に行った身としては、
ずっと「?」だったので、
一体何を見せられているんだろう?
という疑問が頭から離れなかった。
映画としては、
面白かったのかもしれないけれど、
自分には全く合わなかった。
知り合いに、
主人公のような仕事をしている人がいれは
もう少し見方が変わったのかもしれない。
その意味では、
まだ知らない世界がかなりあるんだろうな
とも考えてしまった。
Since I have no knowledge of that kind of world, there was not a single part throughout the entire film that I could relate to.
I went to see it expecting “What happens after the Cinderella story…” as suggested by the trailer’s catchphrase, but I kept feeling puzzled the whole time. I couldn’t shake off the question, “What am I even watching?”
As a movie, it might have been interesting, but it just didn’t resonate with me at all.
If I had a friend who worked in a job similar to the protagonist’s, maybe my perspective would have been different.
In that sense, it made me realize that there are still so many worlds I know nothing about.
アルメニアに帰りたい
イヴァンの捜索中、疲れ果てたガーニックがつぶやく。故郷から遠く離れた悲哀は、作品全体を通底するテーマだと言える。
ヒロインのアノーラやイゴールも含めた皆が、祖父母世代の選択や社会の要請によってたどり着いた自由の国と故郷の巨大資本のわがままに振り回され、心と体を疲弊させていく様がゆっくりと、丁寧に描かれていく。
この作品の白眉たる点は、やはりそれらを悲惨に描きすぎることをせず、「みんなそれぞれ大変だよね。」くらいのメッセージに止まらせ得るコメディ性と、イヴァン君も世界に振り回される、満たされない1人の男の子だということを、キャラクターを通して描き切っていること。
アカデミー作品賞を取ったことで色眼鏡を通して鑑賞されるようになるでしょうが、アメリカ社会のあり方を丁寧に写した名作です。
マイキーマディソンさんの表情が豊か
昨日、新宿ピカデリーに観に行ったら、運良くショーンベイカー監督の舞台挨拶がある回にあたって、脚本と監督と編集を1人でこなすことで、ブラッシュアップの精度を限界まで上げていくべイカー監督の作業量はハンパなさそうなのに、それが楽しくて仕方がないということが伝わってくる舞台挨拶でした。本物のオスカー像まで見ることができました!
映画が終わって歌舞伎町に出たらザクザクと雪が降っていて、寒くて、ロシア系アメリカ人が主役の映画を観た後に表に出たら雪。
「プリティウーマンのその先の話」ということだったので、甘い期待をして観に行ったら見事に裏切られて、プリティウーマンとは全くテイストの違う作品で、というより真逆?!
セックスワーカーとして働くアニー(おそらく貧困層で、ロシアからの移民してきたアメリカ人3世)、たまたま店で相手をした超富裕層の若いバカ男と結婚……からのグチャグチャ。
プリティウーマンのヴィヴィアンやエドワードよりも若い二人。
親はロシアの超富裕層の有名人(おそらくオリガルヒとよばれる人たち)で、アメリカで放蕩三昧、遊び暮らすバカ息子イヴァン。アニーは苦労人だけど、イヴァンがあまりにもおバカ過ぎて、「やめとけこんな男」と言いたくなります。
といって暴力をふるうタイプでもないし、バカでパパとママのお金で遊び暮らしてるだけの男との「結婚」は地獄に降りてきた 蜘蛛の糸としては文句なし!だったんでしょうね。若い二人、イチャイチャしてれば至福の時が流れる、という思考停止も苦労続きの女の子なら仕方ないか…。
ショーンベイカー監督はセックスワーカーや貧困層の人々の生き方を作品に描くことで知られる監督さんなんだそうで、ベイカー監督の本領が発揮された作品で、シリアスで胸が痛む作品でした。
でも悲しいだけではなくて、この作品は「ロシア系アメリカ人」がたくさん出てきて、アメリカ国内で真面目に生きてるロシア系アメリカ人たちが、アニーとイヴァンの結婚に巻き込まれて、ドタバタと騒動が起きていきます。そこは本当に面白くて爆笑ものでした。でも、笑ってるうちに、(れっきとしたアメリカ人で善良な市民として暮らしていても、冷戦の敵国の出身者は、なにかと気苦労が続いているんじゃないかなあ)と、ふと感じたりしました。アメリカ移民のロシア人にとっては「真面目に生きる」ことが、アメリカ人として受け入れられるための基本姿勢になっていて、なにも考えてないおバカなイヴァンは「祖国の恥」でもありながら、「自由の象徴」だったりしたんじゃないかなあ。
ロシア系アメリカ人のイゴールを演じたユーリー・ボリソフさんが、いかにもロシア的なイケメンで、いい味を出していて、アニーも、彼女はこの先も、人生を勇敢にチャレンジして、強く生きていく!と信じさせてくれる女の子で、前向きに生きていく強い意志を感じる作品でした。
アカデミー賞5冠に期待しすぎたかな
体感として全体の
20%:セクシーシーン
20%:桁違い金持ちの勘違い放蕩息子とその仲間達のバカ騒ぎ
50%:優しすぎるお目付け役の大人達の振り回され珍道中
10%:主人公のアノーラの必死に自分の立場を守ろうとするプライド
って感じで、映画館で笑っちゃう演出が多々あるけど、アカデミー賞を5冠も獲る作品なのかな?予告も観てたけど、ちょっと期待しすぎたなー。
23歳。美人でスタイルもよくて稼ぎ頭のアノーラ。でも不安定で不特定多数の男の前で半裸でセクシーに踊って稼ぐなんて若いうちしかできないし、保険も年金もなにもないまま大人になる不安から、豪邸に住む21歳のかわいい男子に大金払うから専属になって、って言われて無邪気な目でプロポーズされたら「あれ?ほんとに、もしかして、玉の輿…?!いや、やってみせる、確実にモノにしてみせる、じっちゃんの名にかけて!!!」みたいな意気込みとプライドと気迫は、ラスト1分まで続く。
思い立ったが吉日でオモチャみたいにポップに結婚して、有頂天になってる2人が空虚すぎて見ててツラい。
そして放蕩息子の親がアメリカに来るって言った途端、アノーラを残して家出するってwお目付け役も優しすぎるしw ロシアのイメージがなんかよくなった。
息子の結婚をなかったことにしようと奮闘するお母さま、あるあるある。ほんと胸糞悪いわー。
唯一、お目付け役のロシア人イゴールは、最初から優しい目をしてたし行動もずっと優しかった。いい男。
離婚してからのアノーラのフォローも最高。
豪邸から結婚する前の家に帰ってきたアノーラ。
車で送ってくれたイゴールから奪われた結婚指輪を「内緒だよ」と渡されて、私のこと好きなんでしょ?これはお礼なんだから、と言わんばかりに無言で運転席のイゴールに跨って挿入する?も無反応のイゴールに「虚勢は見抜かれてる」と気づき、イゴールを叩くがその腕も掴まれて、
あれ?結局イゴールにだけは弱音を吐けるんじゃない??と判断してやっとアノーラは泣くことができた。
最後の最後でアノーラの硬く自分を守っていたプライドが崩れ、やっと1人の女の子に戻った時、最初のストリップ店や享楽の爆音とは真逆の無音のまましんしんと雪が降る中ワイパーの音でエンディングを迎える、というなんとも切ないラストだった。
あれ?
なんかいい作品だったのかも。
あ、ストリッパー役の女子達のスタイルはすごかった…ポールダンスもできてるから鍛え上げられてるんだけど、なに食べたらああなるんだろ。
アカデミー賞につられて
アニーよ銃?をとれ
ユダヤ人を主人公にした『ブルータリスト』や『名もなき者』、そして多様性を前面に押し出した『エミリア・ペレス』をさし置いて、本作『アノーラ』がアカデミー賞主要5部門を独占した。リベラルの巣窟といわれるアカデミー会員ならびにハリウッド内部も、トランプ大統領就任によってかなりの影響を受けたという証だろう。
共和党の🟥と民主党の🟦をモチーフに、ポリティカルなメッセージをストーリーに忍ばせた『リアル・ペイン』や『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』と同様に、本作にもその🟥と🟦の原色が印象的にちりばめられている。前作『レッド・ロケット(発情した犬のペニスのスラング)』を撮ったショーン・ベイカーが、新星マイキー・マディソンにセックス・ワーカーのヒロインを演じさせている。
ロシアン・マフィアのバカぼっちゃまイヴァンの資産に目が眩み、2つ返事で結婚のオファーにOKを出すアニーことアノーラ。ところが、イヴァンの両親がそれを認めるはずもなく、あわれイヴァンはロシアに連れ戻され、アニーは結婚無効のサインを強制されてしまう....おそれをなしてアニーを残して雲隠れしたイヴァン捜索のシークエンスが、実は本作のメインであったことを観客は知らされるのである。
どうも放蕩息子イヴァンは男色の気もあるバイセクシャリスト、この度トランプと公開大喧嘩したゼレンスキー🇺🇦と同じだ。プーチンにクリソツの用心棒イゴールにしても確信犯的キャスティングといえるだろう。隠れトランピストだと私は確信している監督ショーン・ベイカーが、(家父長制との対決を隠れ蓑に)🟥と🟦をモチーフにアメリカ🇺🇸とロシア🇷🇺の和解をストーリーに練り込んだ、ポリティカルラブコメディこそ本作の正体だと思うのである。
1万5千ドルという大金で1週間のエスコート嬢貸し切り“ディール”を取り交わすイヴァンとアニーは、劇中ズッコンバッコンやりっ放し。その度、イヴァンの萎え(🇺🇦の消耗)具合を横目でチラ見するアニーの冷たい視線にドキッとさせられる。つまり、イヴァン=ウクライナ🇺🇦もアニー=(バイデン時代の)アメリカ🇺🇸も金だけの関係で、おそらくそこに本当の愛はなかったのであろう。
あまりにも冷たいイヴァンを含むザハロフ家の仕打ちに対し、思わずイゴールが「アニーに謝るべきだ」と勇気ある提言をする。このあたりから、アニーの気持ちが徐々にイゴールへ傾斜していくのである。イヴァン捜索中、夕暮れ時寒さに震えるアニーへ手渡した赤いスカーフがとても印象的だ。そして、もしかしたら映画史に残るかもしれないラストの雪中カーSEXシーン...
バカじゃないの。これは◯◯を返してくれたお礼なの、あくまでもディールなのよ。ここであんたと◯◯したら、本気だってことがバレバレじゃない。あんたみたいに真っ直ぐな男、こっちから願い下げよ....唯一信じていた“金”に裏切られ、今まで否定し続けてきた“愛”に救われた時、胸の中で泣き崩れるアニーをひしと抱き締めるイゴール。無音のエンドロールから雪がしんしんと降りつもる音が聞こえてきそうな名シーンだ。🟦も🟥もない⬜だけの世界。2人は気づくのだ、不毛な争いの勝者などいなかったことに....
これが作品賞かぁ
面白くなくもなかったけど、結構予想通りでしたよね。
アニーは別に愛があったわけではなくて、乗りかけた玉の輿と、ミエ、プライドから引き返せないだけだと思います。ラストは本当にイヴァンと愛し合って幸せな人生を送れたら、、、という夢を見た自分への哀れさと、イゴールへの優しさに対してアニーが出来る代償の払い方だったと思います。ビジネスだけの関係と分かっていたはずなのに、、と。だってイヴァンの良いところって何も描写がなかったしね。
そこそこ面白かったし、役者も良かったのですが、ショーン•ベイカー作品ですから、個人的にもう一歩足りない感じでした。オスカー受賞というのもちょっと驚きです。もう少しアニーの内面や、生い立ちを描いてくれればもっと理解できたのかもしれないなぁ。
裏プリティウーマン
アカデミー賞作品としての評価は理解できなかった
私にも、そこそこ映画を見る力はついてきたと思いたかったが、本作をアカデミー賞級の作品として理解し評価することは私にはできなかった。
まだまだ、未熟者であると思いつつ、まだまだ映画を楽しむ伸びしろがあるのかと思うところ。まぁ、そう難しく構えて映画見るのも何ですが。
さて。
本作の画づくりは好きであり高評価ですが、音・役者などなど普通に感じました。主演女優賞というのも・・・。
作品賞も何故になのか分からなかった。言語をロシアに設定したことや金持ちをアルメニア人としたあたりに、強烈な風刺が効いているとかなのだろうか?分からない。
映像 ★★★★ なんか良い
音 ★★★ 悪くないが特に印象にも残らない
物語 ★★ うーん、ちょっと
役者 ★★★ 悪くはないが、これがアカデミー級なのって感じ?
編集 ★★★ 変な物語ながら飽きずに観れたのは編集の力か
粗さ ★★★ 粗々だと思うが何故か気にならないという不思議
総合 3.2
画は色彩も含め良く、見飽きず、全体としてつまらなかった訳でもない。
しかし、私的には2018年の「シェイプ・オブ・ウォター」をアカデミーが評価したのに続き、ちょっと分からない作品でした。
納まらない
貧富差からの幸せの結婚、だがリアルな権力は残酷
身体を売る娼婦のアノーラことアニーはアメリカ旅行のロシアの大富豪の長男との出会いで、たった数週間で旅行先のラスベガスでゴールイン。前半までは順風満帆、だがしかし現実はそう甘くは無かった。
結婚は当然ロシア側の親にも伝わり、その側近であるトロスはアメリカで教会勤めをしながら長男の結婚について破棄するよう親から告げられる。ガードマンの男2人を連れトロスは長男説得に向かうも長男逃亡、アニーは離婚させようとするトロスらに反抗するも逃亡した長男を探しに4人で夜中まで街へ捜索へ。個人的にここのパートが1番面白い。アニーの心情もさることながら、道中レッカーされたり仲間に嘔吐されたりのトロス、ガードマンの2人もアニーとの衝突でくたびれており、狭い車内はカオスで面白すぎる。その後長男を発見するも、ラスベガス婚のため合流した大富豪両親と共にラスベガスへ。向こうの母親は当然のことながらアニーを嫌悪し、最終的に敵対するアニー。
最後にはガードマンの1人イゴールさんの協力のもと、結婚前の日々に帰ってゆくのだった。
このイゴールさんもアニー側についてくれ、無償の愛情で慰めるのは当初お金目当てのアニーにとってどうしようもならない悔しさと虚しさで終わるラストでした。
カップル爆誕→爆散 映画NO1
アニーと呼ばれたいアノーラ、そこに本質があるのかな。
ロシア系大財閥のボンボンに見初められた娼婦・アノーラの、どん底人生一発大逆転の、でも鼻につく金満的シンデレラストーリーな前半と、高みに高まったところから急角度で一気に叩きつけられる後半の落差に、胸が躍ってしまった。アニーごめん。
まー前半のこれでもかの嫌味な描写は、この落差を楽しませるためだよなーと思いつつ、アノーラの強欲で傲慢な振る舞いもあって、そりゃーこちらとしては大財閥の両親の肩を持っちゃいますよ。
でもね。
ラストシーンの「これおばあちゃんのお下がりなんだ」からの流れで一変。この落差は、「単に上がった分だけ下がっての元の場所に収まった」のではなくて、数世代を重ねても「這い上がることができない冷酷な現実」を描いたものなんだな。
そう。あのボンボンの母親への取り入られようとする強引な態度も、厚顔無恥ではなく必死の表れだったわけだ。
不器用だけど心優しいロシア系チンピラの抜け出せていない境遇に、慰め合うが故にアニーの心が折れる様は、救いがなくことごとく切ない。
タイトルなし(ネタバレ)
これで今年のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたもの全部観ましたがこの映画のイゴール役のユーリ・ボリソフをはじめノミネートされた人全員素晴らしく、もし年度がばらけてたら各人受賞出来るのではと思うほど。
車のワイパー音だけが響くラストシーンからの無音のエンドロールだけで5億点の映画だった。
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