ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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大好きなショーン・ベイカー作品は、体調が良くて家族がいないとき(!...
受賞歴で期待が膨らみ過ぎる
感想メモ
ストリップクラブで働くアノーラ、客として来店したロシア人の御曹司イヴァンといい感じになり、契約彼女として1週間過ごした後、ラスベガスで勢いのまま結婚!
結婚した直後、広場?商店街?みたいなところではしゃいでいるシーンは凄くキラキラしていて好き
屋根に花火が映し出されている、偽物の花火が今後の2人を暗示していたようにも思う
そして始まる後半のストーリー
娼婦と結婚なんて認めない!という両親の部下が家に来て結婚を無効化させようとする、イヴァンはあえなく逃亡、アノーラは部下たちと共にイヴァンを探す旅に
あっさりと置いて行かれたアノーラが可哀想なのは勿論のこと、金持ちの家庭問題に振り回される部下たちも可哀想、車の中の4人は権力や金に振り回される人たちとして一種の諦観、虚しさを共有していたように思う
ラストシーン、結婚を無効にして自分の家に帰るアノーラをイゴールが送る
イゴールは権力に唾を吐くアノーラの事を尊敬しているように見える、また一連の騒動に巻き込まれた彼女に同情しているようにも見える
上司に内緒で結婚指輪をくすねてきてアノーラに渡すイゴール
アノーラは無償の優しさを知らない?信じていない?彼の行いに身体でお礼をしようとするが、イゴールのキスを振り払った時、彼女は自身に付き纏っていた買う買われるといった一種のヒエラルキーを脱し、真実の涙を流すのだった
アニーよりアノーラ
「シンデレラ・ストーリーって苦手だけど、この作品には、最後の最後までマイった!」
ショーン・ベイカー監督の作品は、だいたい観たけど、「スカーレット」と「アノーラ」は突出していると思った。(あっ!本物ベイカー・ファンの方、ごめんなさい!)
「アノーラ」に関しては、前半ファンタジー、後半リアルという展開が、すごくよかった!あの二人の演技力は相当なもんだよ。若手なのに、どうしてあんなにうまいんだろう、考えてみれば、相当難しい役だよね、監督の演出力かな?
一方は、エスコートサービスからのシンデレラと思ったら、次はそこから……?もう一方は、女の子受け絶大なハンサムな大金持ちの御曹司から、次は……?
同時期に某国のちょっとヒネった恋愛映画観たんだけど、お国柄というか、意気込みというか、プロジェクト自体の時間枠と予算枠というかーーーすべてが全然違っていたような気がした。「アノーラ」を前にすると、女の子も男の子も、ただの「笑顔」とただの「泣く」しかなかったような???
主人公役二人のリアリティ?感情表現の幅?なりきり具合?すべてが想像を超えていた。ヒロインのアカデミー賞は納得。男の子のほうは、オスカーもらえなかったけど、うまかった!
ダメ男役って、実は難しい気がするーーーおれ軽いアピールで、いかにもの演技になったり、逆に、渾身すぎるとか深刻過ぎるとかーーーけど、さり気に究極のバカ息子を演じきっていたような気がした。あの逃げ具合は最高だ!天性のものかもしれないけど、才能あるよね。
脇役も、いい味出していた。ロシア人・ロシア系のこと、ちょっと馬鹿にしている?という感じもあったけど、新鮮だった。
「アノーラ」、ストーリーはシンプルだけど、もう一回観たくなる傑作だよね!!!
⭐︎3.6 / 5.0
そんなにいいかなー
その力強さは煌びやかな店と同様に虚構的で軽く脆い
NYでストリップダンサーをしながら暮らす“アニー”ことアノーラは、職場のクラブでロシア人の御曹司、イヴァンと出会う。彼がロシアに帰るまでの7日間、1万5千ドルで“契約彼女”になったアニー。パーティーにショッピング、贅沢三昧の日々を過ごした二人は休暇の締めくくりにラスベガスの教会で衝動的に結婚!幸せ絶頂の二人だったが、息子が娼婦と結婚したと噂を聞いたロシアの両親は猛反対。結婚を阻止すべく、屈強な男たちを息子の邸宅へと送り込む。ほどなくして、イヴァンの両親がロシアから到着。空から舞い降りてきた厳しい現実を前に、アニーの物語の第二章が幕を開ける(公式サイトより)。
この作品の最大の魅力はアノーラの揺らぎにある。
ハリウッド映画ではおなじみコンビニエントなラスベガス婚が大富豪の親にバレ、バカ息子が単独で逃亡した後、アノーラはイヴァンとの対話を求める。そこに客とセックスワーカーという関係性を超えた恋愛感情が芽生えたかというとそうでもなさそうだし、かといって、金銭的な利得の最大化のための行動、例えば、彼女自身も隙を見て逃亡し、別れてやる代わりに10憶用意しろさもなければマスコミに、といった方向に走るわけでもない。彼女を監視する大富豪の取り巻きたちが、それを許さないくらい、屈強で冷徹かというと、そんなこともない(というか、割と無能である)。
エスコート嬢として働くアノーラはフロアでは愛想を振りまき、男性客に媚と疑似恋愛を売る一方で、楽屋では客を腐し、本番を提供しない、あるいはその主導権は自分にあるという一線を保つことで、自分の人生をかなり力強く生きている。が、その力強さは煌びやかな店と同様に虚構的で軽く脆い。
そうした軽い力強さの背景にあるであろう、彼女が片言のロシア語が分かることや、アノーラという名は「明るい」という意味で、その愛称は本人が好んで使うアメリカ的な「アニー」ではなく、ロシア語のおける象徴的な女性名である「アーニャ」であることなどは、意図的に描かれておらず、それゆえ、彼女の行動原理の揺らぎに説得力を持たせている。
イヴァンの口から「アノーラと生涯を共にする」と言わせることは、贅沢三昧の一生よりも彼女にとって価値のある、軽い強さではない、確固たる強さのアイデンティティとなることに漠然と気づいたからこそ、イヴァンとの対話に強硬にこだわった。
だが、聖書にある「量った秤で量られる」ということばさながら、彼女自身が無自覚に採用してきた「軽さ」「虚構」「享楽」という生存戦略を逆に振りかざされ、アノーラ自身が追い込まれていく。ワンショットで撮られたラストでアノーラは、不器用ながら、愛に目覚めたものの、行為としては裏切られたイヴァンや下衆な男性客に提供して、対価を得てきた性サービスと同じであることに気づき、絶句する。エロティシズムと脆さが共存する、もの悲しい名場面である。
シンデレラストーリーではない
リアル「プリティ・ウーマン」現実はそれほど甘くない!
アカデミー作品賞にノミネートされたって事で注目していた本作品。まぁ9割がたエロ目当てなんだけど・・・
残念ながら公開中は予定が合わず、大画面で観ることができなかったので、今回WOWOWを録画して鑑賞したんですが、う〜んどうでしょう。何で、これがノミネートされたんだろう?
娼婦が富豪と恋仲になるっていうと「プリティ・ウーマン」が真っ先に頭に浮かぶんですが、世の中そんなに甘くない?シンデレラストーリーがファンタジーな夢物語だってのをマジマジと実感させてもらった感じです。
【ネタバレ】
最近の映画で、これほど女性のセクシーカットが拝めるってことで、スケベオヤジは大満足です。
冒頭からヤリ放題。若いっていいな〜の連続です。主役の女性、ヌードが綺麗でしたよね。
さて、ストーリーですが、この御曹司が娼婦相手にのめり込んていくところは、結構好きでした。金の使い方が半端ないな〜とは思いながらも、アノーラに対する優しさみたいなものも感じられて、ホンっと「プリティ・ウーマン」のシンデレラストーリーみたいでワクワクしちゃいました。
バックに流れる音楽も良かったです。
ところが、勢いで結婚したあたりから、ほんとに大丈夫か?って不安が押し寄せてきました。そもそも結婚に至った理由が不純でしたよね。
極めつけは、富豪の親から命令された息子のお目付役が出てきたところでガラッと雰囲気が変わります。
逃げた息子を探すところからは、まさにコメディですね。登場人物みんなが普通じゃない。話し方から何から、常軌を逸している。
富豪の息子の印象も一気に変わった気がします。やっぱりただのぼんくら息子だったのかと。
泥酔した息子が見つかって、両親が現れたところで、また何か変わったような・・・
娼婦が富豪と結婚するなんて、夢物語だというリアルを突きつけられます。ハッキリ言って腹立たしさしかなかったです。
両親の見下した態度といい、息子の無責任な言動といい、何だこいつら!って感じ。アノーラが可哀想で、可哀想で・・・
最後まで、何かしっくりきませんでしたね。夢物語なんてありえないってことを突き付けられたようで。
色んな意味で若い2人
ラストシーンが深い
すごく切ない映画でした。前半、アニーとイヴァンが享楽的な日々を送るシーンの連続には、「いったい何の映画を見せられてるんだろう?」と辟易し始めた頃、突然映画は別方向に走り出します。その切り替えが小気味よく、ここでまず「してやられた」と、思ってしまいます。
やはり秀逸なのはラストシーンでしょう。ズシンときます。あの長ったらしいピンク映画もどきの描写も、ここに持ってくるためのもので、絶対必用なものだったと気づかされます。本当にこのショーン・ベイカーという監督はただ者ではありません。
印象的なのは、ラストシーンに行く前、アニーとイゴールがイヴァンの家で一夜を過ごすところです。アニーに手を焼きながら、だんだん彼女に対して同情的になり、惹かれていくイゴールの無骨な心情がよく描かれています。しかしアニーは、そうしたイゴールの好意を徹底的に拒否します。頑として寄せ付けない、強い意志を感じさせます。この二人のやりとりは、すれ違う人間心理を見事に表現しています。この描写がラストへと繋がっていくのですね。
心に鎧を被ったままのアニーに対し、イゴールは去り際に奪い返した結婚指輪を差し出します。面白いですね、たとえ他人の指輪であっても、男が女に指輪を渡す行為は求愛に他なりません。それに対してアニーの取った行動が泣かせます。彼女は指輪の対価を、かつて男たちにサービスとして行った行為、売り物としてのセックスで支払おうとします。戸惑いながらもアニーのペースに身を委ねてしまうイゴール。当然愛おしさが込み上げてきたイゴールはアニーにキスしようとします。そんなイゴールを拳で撲って拒絶するアニー。ここで観客はアニーが何に対して頑なに拒絶していたのかに、気づかされます。
もしここで彼女がイゴールに心を許せば彼女の半生を、彼女の生き様を、彼女の描く未来さえも、全て否定することになると彼女は恐れたのだと思います。イゴールと繋がりながら、号泣する彼女の心は最後まで孤独でした。
あれほど賑やかだった画面が静寂に包まれ、唐突にエンドロールが流れます。アニーとイゴールがこのあとどうなったか、それは観客一人一人の想像に任されます。絶妙なエンディングです。しばらく立てないほど、余韻の残る映画でした。
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