ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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舞台挨拶見ました♪
昨日、新宿ピカデリーに観に行ったら、運良くショーンベイカー監督の舞台挨拶がある回にあたって、脚本と監督と編集を1人でこなすことで、ブラッシュアップの精度を限界まで上げていくべイカー監督の作業量はハンパなさそうなのに、それが楽しくて仕方がないということが伝わってくる舞台挨拶でした。本物のオスカー像まで見ることができました!
映画が終わって歌舞伎町に出たらザクザクと雪が降っていて、寒くて、ロシア系アメリカ人が主役の映画を観た後に表に出たら雪。
「プリティウーマンのその先の話」ということだったので、甘い期待をして観に行ったら見事に裏切られて、プリティウーマンとは全くテイストの違う作品で、というより真逆?!
セックスワーカーとして働くアニー(おそらく貧困層で、ロシアからの移民してきたアメリカ人3世)、たまたま店で相手をした超富裕層の若いバカ男と結婚……からのグチャグチャ。
プリティウーマンのヴィヴィアンやエドワードよりも若い二人。
親はロシアの超富裕層の有名人(おそらくオリガルヒとよばれる人たち)で、アメリカで放蕩三昧、遊び暮らすバカ息子イヴァン。アニーは苦労人だけど、イヴァンがあまりにもおバカ過ぎて、「やめとけこんな男」と言いたくなります。
といって暴力をふるうタイプでもないし、バカでパパとママのお金で遊び暮らしてるだけの男との「結婚」は地獄に降りてきた 蜘蛛の糸としては文句なし!だったんでしょうね。若い二人、イチャイチャしてれば至福の時が流れる、という思考停止も苦労続きの女の子なら仕方ないか…。
ショーンベイカー監督はセックスワーカーや貧困層の人々の生き方を作品に描くことで知られる監督さんなんだそうで、ベイカー監督の本領が発揮された作品で、シリアスで胸が痛む作品でした。
でも悲しいだけではなくて、この作品は「ロシア系アメリカ人」がたくさん出てきて、アメリカ国内で真面目に生きてるロシア系アメリカ人たちが、アニーとイヴァンの結婚に巻き込まれて、ドタバタと騒動が起きていきます。そこは本当に面白くて爆笑ものでした。でも、笑ってるうちに、(れっきとしたアメリカ人で善良な市民として暮らしていても、冷戦の敵国の出身者は、なにかと気苦労が続いているんじゃないかなあ)と、ふと感じたりしました。アメリカ移民のロシア人にとっては「真面目に生きる」ことが、アメリカ人として受け入れられるための基本姿勢になっていて、なにも考えてないおバカなイヴァンは「祖国の恥」でもありながら、「自由の象徴」だったりしたんじゃないかなあ。
ロシア系アメリカ人のイゴールを演じたユーリー・ボリソフさんが、いかにもロシア的なイケメンで、いい味を出していて、アニーも、彼女はこの先も、人生を勇敢にチャレンジして、強く生きていく!と信じさせてくれる女の子で、前向きに生きていく強い意志を感じる作品でした。
アカデミー賞5冠に期待しすぎたかな
体感として全体の
20%:セクシーシーン
20%:桁違い金持ちの勘違い放蕩息子とその仲間達のバカ騒ぎ
50%:優しすぎるお目付け役の大人達の振り回され珍道中
10%:主人公のアノーラの必死に自分の立場を守ろうとするプライド
って感じで、映画館で笑っちゃう演出が多々あるけど、アカデミー賞を5冠も獲る作品なのかな?予告も観てたけど、ちょっと期待しすぎたなー。
23歳。美人でスタイルもよくて稼ぎ頭のアノーラ。でも不安定で不特定多数の男の前で半裸でセクシーに踊って稼ぐなんて若いうちしかできないし、保険も年金もなにもないまま大人になる不安から、豪邸に住む21歳のかわいい男子に大金払うから専属になって、って言われて無邪気な目でプロポーズされたら「あれ?ほんとに、もしかして、玉の輿…?!いや、やってみせる、確実にモノにしてみせる、じっちゃんの名にかけて!!!」みたいな意気込みとプライドと気迫は、ラスト1分まで続く。
思い立ったが吉日でオモチャみたいにポップに結婚して、有頂天になってる2人が空虚すぎて見ててツラい。
そして放蕩息子の親がアメリカに来るって言った途端、アノーラを残して家出するってwお目付け役も優しすぎるしw ロシアのイメージがなんかよくなった。
息子の結婚をなかったことにしようと奮闘するお母さま、あるあるある。ほんと胸糞悪いわー。
唯一、お目付け役のロシア人イゴールは、最初から優しい目をしてたし行動もずっと優しかった。いい男。
離婚してからのアノーラのフォローも最高。
豪邸から結婚する前の家に帰ってきたアノーラ。
車で送ってくれたイゴールから奪われた結婚指輪を「内緒だよ」と渡されて、私のこと好きなんでしょ?これはお礼なんだから、と言わんばかりに無言で運転席のイゴールに跨って挿入する?も無反応のイゴールに「虚勢は見抜かれてる」と気づき、イゴールを叩くがその腕も掴まれて、
あれ?結局イゴールにだけは弱音を吐けるんじゃない??と判断してやっとアノーラは泣くことができた。
最後の最後でアノーラの硬く自分を守っていたプライドが崩れ、やっと1人の女の子に戻った時、最初のストリップ店や享楽の爆音とは真逆の無音のまましんしんと雪が降る中ワイパーの音でエンディングを迎える、というなんとも切ないラストだった。
あれ?
なんかいい作品だったのかも。
あ、ストリッパー役の女子達のスタイルはすごかった…ポールダンスもできてるから鍛え上げられてるんだけど、なに食べたらああなるんだろ。
アカデミー賞につられて
アニーよ銃?をとれ
ユダヤ人を主人公にした『ブルータリスト』や『名もなき者』、そして多様性を前面に押し出した『エミリア・ペレス』をさし置いて、本作『アノーラ』がアカデミー賞主要5部門を独占した。リベラルの巣窟といわれるアカデミー会員ならびにハリウッド内部も、トランプ大統領就任によってかなりの影響を受けたという証だろう。
共和党の🟥と民主党の🟦をモチーフに、ポリティカルなメッセージをストーリーに忍ばせた『リアル・ペイン』や『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』と同様に、本作にもその🟥と🟦の原色が印象的にちりばめられている。前作『レッド・ロケット(発情した犬のペニスのスラング)』を撮ったショーン・ベイカーが、新星マイキー・マディソンにセックス・ワーカーのヒロインを演じさせている。
ロシアン・マフィアのバカぼっちゃまイヴァンの資産に目が眩み、2つ返事で結婚のオファーにOKを出すアニーことアノーラ。ところが、イヴァンの両親がそれを認めるはずもなく、あわれイヴァンはロシアに連れ戻され、アニーは結婚無効のサインを強制されてしまう....おそれをなしてアニーを残して雲隠れしたイヴァン捜索のシークエンスが、実は本作のメインであったことを観客は知らされるのである。
どうも放蕩息子イヴァンは男色の気もあるバイセクシャリスト、この度トランプと公開大喧嘩したゼレンスキー🇺🇦と同じだ。プーチンにクリソツの用心棒イゴールにしても確信犯的キャスティングといえるだろう。隠れトランピストだと私は確信している監督ショーン・ベイカーが、(家父長制との対決を隠れ蓑に)🟥と🟦をモチーフにアメリカ🇺🇸とロシア🇷🇺の和解をストーリーに練り込んだ、ポリティカルラブコメディこそ本作の正体だと思うのである。
1万5千ドルという大金で1週間のエスコート嬢貸し切り“ディール”を取り交わすイヴァンとアニーは、劇中ズッコンバッコンやりっ放し。その度、イヴァンの萎え(🇺🇦の消耗)具合を横目でチラ見するアニーの冷たい視線にドキッとさせられる。つまり、イヴァン=ウクライナ🇺🇦もアニー=(バイデン時代の)アメリカ🇺🇸も金だけの関係で、おそらくそこに本当の愛はなかったのであろう。
あまりにも冷たいイヴァンを含むザハロフ家の仕打ちに対し、思わずイゴールが「アニーに謝るべきだ」と勇気ある提言をする。このあたりから、アニーの気持ちが徐々にイゴールへ傾斜していくのである。イヴァン捜索中、夕暮れ時寒さに震えるアニーへ手渡した赤いスカーフがとても印象的だ。そして、もしかしたら映画史に残るかもしれないラストの雪中カーSEXシーン...
バカじゃないの。これは◯◯を返してくれたお礼なの、あくまでもディールなのよ。ここであんたと◯◯したら、本気だってことがバレバレじゃない。あんたみたいに真っ直ぐな男、こっちから願い下げよ....唯一信じていた“金”に裏切られ、今まで否定し続けてきた“愛”に救われた時、胸の中で泣き崩れるアニーをひしと抱き締めるイゴール。無音のエンドロールから雪がしんしんと降りつもる音が聞こえてきそうな名シーンだ。🟦も🟥もない⬜だけの世界。2人は気づくのだ、不毛な争いの勝者などいなかったことに....
これが作品賞かぁ
面白くなくもなかったけど、結構予想通りでしたよね。
アニーは別に愛があったわけではなくて、乗りかけた玉の輿と、ミエ、プライドから引き返せないだけだと思います。ラストは本当にイヴァンと愛し合って幸せな人生を送れたら、、、という夢を見た自分への哀れさと、イゴールへの優しさに対してアニーが出来る代償の払い方だったと思います。ビジネスだけの関係と分かっていたはずなのに、、と。だってイヴァンの良いところって何も描写がなかったしね。
そこそこ面白かったし、役者も良かったのですが、ショーン•ベイカー作品ですから、個人的にもう一歩足りない感じでした。オスカー受賞というのもちょっと驚きです。もう少しアニーの内面や、生い立ちを描いてくれればもっと理解できたのかもしれないなぁ。
裏プリティウーマン
アカデミー賞作品としての評価は理解できなかった
私にも、そこそこ映画を見る力はついてきたと思いたかったが、本作をアカデミー賞級の作品として理解し評価することは私にはできなかった。
まだまだ、未熟者であると思いつつ、まだまだ映画を楽しむ伸びしろがあるのかと思うところ。まぁ、そう難しく構えて映画見るのも何ですが。
さて。
本作の画づくりは好きであり高評価ですが、音・役者などなど普通に感じました。主演女優賞というのも・・・。
作品賞も何故になのか分からなかった。言語をロシアに設定したことや金持ちをアルメニア人としたあたりに、強烈な風刺が効いているとかなのだろうか?分からない。
映像 ★★★★ なんか良い
音 ★★★ 悪くないが特に印象にも残らない
物語 ★★ うーん、ちょっと
役者 ★★★ 悪くはないが、これがアカデミー級なのって感じ?
編集 ★★★ 変な物語ながら飽きずに観れたのは編集の力か
粗さ ★★★ 粗々だと思うが何故か気にならないという不思議
総合 3.2
画は色彩も含め良く、見飽きず、全体としてつまらなかった訳でもない。
しかし、私的には2018年の「シェイプ・オブ・ウォター」をアカデミーが評価したのに続き、ちょっと分からない作品でした。
納まらない
貧富差からの幸せの結婚、だがリアルな権力は残酷
身体を売る娼婦のアノーラことアニーはアメリカ旅行のロシアの大富豪の長男との出会いで、たった数週間で旅行先のラスベガスでゴールイン。前半までは順風満帆、だがしかし現実はそう甘くは無かった。
結婚は当然ロシア側の親にも伝わり、その側近であるトロスはアメリカで教会勤めをしながら長男の結婚について破棄するよう親から告げられる。ガードマンの男2人を連れトロスは長男説得に向かうも長男逃亡、アニーは離婚させようとするトロスらに反抗するも逃亡した長男を探しに4人で夜中まで街へ捜索へ。個人的にここのパートが1番面白い。アニーの心情もさることながら、道中レッカーされたり仲間に嘔吐されたりのトロス、ガードマンの2人もアニーとの衝突でくたびれており、狭い車内はカオスで面白すぎる。その後長男を発見するも、ラスベガス婚のため合流した大富豪両親と共にラスベガスへ。向こうの母親は当然のことながらアニーを嫌悪し、最終的に敵対するアニー。
最後にはガードマンの1人イゴールさんの協力のもと、結婚前の日々に帰ってゆくのだった。
このイゴールさんもアニー側についてくれ、無償の愛情で慰めるのは当初お金目当てのアニーにとってどうしようもならない悔しさと虚しさで終わるラストでした。
カップル爆誕→爆散 映画NO1
アニーと呼ばれたいアノーラ、そこに本質があるのかな。
ロシア系大財閥のボンボンに見初められた娼婦・アノーラの、どん底人生一発大逆転の、でも鼻につく金満的シンデレラストーリーな前半と、高みに高まったところから急角度で一気に叩きつけられる後半の落差に、胸が躍ってしまった。アニーごめん。
まー前半のこれでもかの嫌味な描写は、この落差を楽しませるためだよなーと思いつつ、アノーラの強欲で傲慢な振る舞いもあって、そりゃーこちらとしては大財閥の両親の肩を持っちゃいますよ。
でもね。
ラストシーンの「これおばあちゃんのお下がりなんだ」からの流れで一変。この落差は、「単に上がった分だけ下がっての元の場所に収まった」のではなくて、数世代を重ねても「這い上がることができない冷酷な現実」を描いたものなんだな。
そう。あのボンボンの母親への取り入られようとする強引な態度も、厚顔無恥ではなく必死の表れだったわけだ。
不器用だけど心優しいロシア系チンピラの抜け出せていない境遇に、慰め合うが故にアニーの心が折れる様は、救いがなくことごとく切ない。
タイトルなし(ネタバレ)
これで今年のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたもの全部観ましたがこの映画のイゴール役のユーリ・ボリソフをはじめノミネートされた人全員素晴らしく、もし年度がばらけてたら各人受賞出来るのではと思うほど。
車のワイパー音だけが響くラストシーンからの無音のエンドロールだけで5億点の映画だった。
長さは半分でいい
女性のための女性の作品
[60代男です]
前半は、若い二人がひたすらセックスしては贅沢な暮らしを満喫しているのを見せられるだけ。そのセックスも、愛し合う恋人同士のものではなく、娼婦がお金をもらったお返しとして男を喜ばせるためにやるセックスだ。
この前半は退屈。
中盤、バカ息子が勝手に結婚したことを知った親が激怒し、別れさせようと手先を送り込んでくる。その手先3人が現れたとたん、なんと男は妻を放り出して一人で逃げる。
そこから主人公が手先3人と一緒に、ひたすら男を探しまわるだけなのが後半。
この後半も退屈。
そして終盤、男を見つけ出し、男の両親もやってきてから急に引き込まれて観れた。ここから結末までは面白かった。
この終盤がなければ、正直、僕にはまったく楽しめなかった。
観終わって、一番に感じたのは、これは一貫して女性にストレスを感じさせないという姿勢で作られた作品だということ。
それは女性のための女性の作品だからだ。
気性の荒い主人公の感情だけを追って物語が進み、それに対する敵対者の正体も女性だ。
結婚相手の男すら後半になると姿を消し、その男も、一族の手先たちも、主人公の周囲で主人公を振り回す脇役たちみんな、結局は最後に出てくる母親の意志で動かされている駒にすぎない。
自分の感情で、自分の意思で、自分のために主体性を持って行動しているのは、主人公とこの母親。あとは主人公をイビる同僚もだが、なんにしても全員女性だ。
劇中では男の一族が主人公をこばんでいるかのような印象を与えているが、もし母親が主人公に好意的であったなら、普通にハッピーエンドになる話なのだ。
父親のほうは主人公の言動に気持ち良ささえ感じているふうなシーンさえあった。
そして幼稚な精神で主人公を苦しめるバカ息子も、この母親が生み出した存在なのだ。
つまり本作は、主人公の女性が、別の女性が支配する世界の中で翻弄され、あがき、対決する物語なのだ。
男たちはみな、その敵対している女性が支配する世界の一部でしかない。
考えてみれば、前半でしつこいほど繰り返される二人のセックスも、通常の男主導のラブシーンとは違い、受け取ったお金の対価として受け身の男を喜ばせるために能動的に行う、女性が支配するセックスだった。
うんざりするほど具体的なセックス描写をするのに、レイプはもちろん、女性がいやいや行うセックスは出てこない。
お金のための場合でも、不快さを耐えたりするような演出はカケラもなく、女性たちは楽しんでやっている。
暴力的なお客どころか、女性に屈辱的なこと、不快なことを強要する男も出てこない。
日本で風俗店を舞台にした映画を作ればそういう描写が中心になるのとは正反対だ。
僕は男なので断言はできないが、現実世界だと、いくら男女平等と言っても腕力で勝てない女性は、二人きりの空間で目の前に迫られたりすれば確実に心理的なストレスがあると思う。
本作はそういうものが一切、排除されている。
男の女性への暴力が出てこない。
それが一番表れているのが、中盤の、押しかけてきた手先たちを相手に繰り広げる主人公の乱闘シーンだ。主人公は殴る蹴る噛みつくとやり放題に暴れるが、男の側は押さえつけようとするだけ。ひたすら痛い目をみるのは男のほうだけだ。
いくら傷つけるなと言われていたからと言っても、顔面を足の裏で蹴られて鼻の骨を折られたなら、男はカッとなって相手の顔面を殴り返すだろう。しかし本作では、痛がって情けない顔をするだけだ。
この現実とは違う描写も、女性にはストレスなく映画を楽しめ、現実では味わえない解放感すら感じる部分ではないだろうか。あくまで男の僕の想像だけどね。
主人公は常に、まったく我慢などすることはなく、言いたいことを言い、やりたいことをやり、自由に思うままに行動する。これほど伸び伸びとした女性主人公の作品ってちょっとないかもしれない。
ここがアカデミー会員たちの心に響いたのではないかと思う。
一族の3人の手先の中の一人が主人公を見るまなざしに、観客の目を誘導していく終盤が良かった。
離婚が成立し、主人公が相手親子と最後の別れのとき、その手先の一人が脇から初めて雇い主に意見する。息子は謝るべきじゃないかと。ここが一番の見せ場。僕にとってはね。女性から見れば違うのだろうが。
それに対して息子が反応する前に、母親が絶対に謝らせないと宣言する。バカ息子は母親の所有物にすぎない幼児なのだ。とても一人の男として、自分の選んだ女性と結婚できるような人間ではないという、主人公にとって絶望的な現実を再確認させる。
ラスト、主人公が、自分に好意をよせてくれる男を相手にしない態度だったのもリアルで良かった。たった1日で気分を切り替えられるほど裏切られた主人公の心の傷は小さくないのだ。
二人の間にこの先、進展があるのかどうかは分からない。安易にくっつけて終わらせていたら、主人公の感情にリアルさがなくなっていたところだった。
本作の主人公は、作者の都合で気持ちが操作されているような作り物っぽさがない。
感情がリアルで、本当に生きている生身の人間に見えるのがいい。
役者が演技しているということが意識から消えて本当のことを見ているかのように楽しめた。
追記)
ラストシーンの意味が分からない方のために解説
主人公は心の中はまだ愛した男のことでいっぱいで、他の男など相手にする気持ちになれないが、目の前の男から、金銭的にも重大な恩をもらったので、それまでやってきたように、対価を体で返しはじめる。
行為の最中に男からキスをされそうになる。
結婚前までなら当然、キスなどお金を払ってくれる相手とならいくらでもしていたが、結婚したときから相手は愛する男ひとりだけという気持ちになって過ごしていたため、キスはしたくなかった。
キスを拒んでいるうちに、自分が唯一、愛情を込めたキスをする相手、その愛する男はもういないこと、その男の方には愛などなかったことが頭の中によみがえってきて、たまらずに泣き出した。
おしまい。
ラストシーンの主人公の心情が複雑すぎる
アノーラはとても頭のいい女の子。離婚と婚姻無効の違いも分かるし、法的問題では弁護士を要求する権利があることも知っている。
クズ男のために勝てない争いをする必要もない。1万ドルもらって、自分を好きになってるおじさんを頼った方が効率がいいに決まってる。
こんなことは全部分かった上で、手に入れかけた夢のような金持ちの生活をあきらめきれない、子供でも大人でもない23歳のアノーラが見事に描かれている。
このジャンルの映画を普段観ないので、過去作との比較はできないけど、主人公の心理がシーンごとに移り変わっていく様子が見事に表現されていて、間違いなく名作といえる映画。
ここまで丁寧に描いておいて、ラストシーンは主人公の心情を観客にゆだねているのが印象的で新しい。
ざっと挙げてみると、
①真の愛に出会えた安藤(たぶん違う)
②手に入れかけた夢の生活への未練
③現場の生活に戻ることの苦悩
④新たな相手をつなぎとめる為に、結局セックスに頼るしかない不甲斐なさ
いろいろ考えられるけど、自分の人生経験では最後の主人公の心理が分からないので、星四つ。
もらい泣き・・
最初、この映画のサブタイトルかと思った「BITTERS END」は配給会社でした♪・・・。
シリアスでもあり・・ドタバタコメディーの要素もありの・・R-18のオスカー作品賞映画♪
成金のボンボンは、どこの国でも似たようなボンクラなのでしょう・・。
イゴール役ユーリーボリソフさん、助演男優賞ノミネートに相応しい、素晴らしい表情の演技♪
表情の一挙手一投足に、イゴールさんの真の心の内が滲み出ているようで・
アニーがプライベートジェットに搭乗拒否した時の繊細な表情など・・♪
ラスト・・やはりそういう人でした♪
もう「プリティウーマン」や「シンデレラ」は、おとぎの国の話なのかもね・・・。
本当に悔しくて悲しくて・・そんな時は・・あのように号泣するのでしょう・オスカーの主演女優賞も納得のシーン
・・心中思い計って、思わずもらい泣き・・
パリ五輪の、阿部詩さんを思い出しました。
でも・・涙を受け止めてくれる人がいて良かった・・。
ハリウッドも色々と問題もあるでしょうけど・・アメリカのショービジネスの懐の深さを感じ取れる映画でした♪
タイトルなし
ひとつの映画にふたつの物語があるみたいだった
アニーことアノーラの仕事、出会い、享楽にふけるだけの日々、結婚…
ここまででひとつの夢物語
そこに当然現れる現実
その現実を連れてくる人々
ここからもうひとつ
その日々の元資金はどこから?と考えるまでもなく、そこ抜きではその先はない、という現実がやってくる
とはいえ、予想よりコメディだった二幕目の役者が出揃い始めてのしばしドタバタ劇
予想を裏切ることのない御曹司の御曹司っぷり
分かってたけど、どうしようもないわ、こいつ(笑)
ただ、アニーがたくましいし、賢い
若さ故の現実見えてない部分はあっても、あの状況で、あのたくましさ、弁が立つ抵抗っぷり
そして、エンディングへ向かう心の動き
ダイヤモンドの嫉妬がうっとおしいくらいだけど、アニーも見えてなかったわけではないんだろうな
だから、余計に腹立ったんだろうな
そんなことも分からないバカな小娘ではない
でも、しばし、夢を見たんだろう
両親出て来てからのアニーの様子は見ていて切なくなるし、腹立たしいし、、
けれど、ちょいちょい啖呵切ってくれるとこがよい
しようもない親、しようもない息子
イゴールが、なにげにこの人、悪い人じゃないよな感があったけど、いいキャラだったな
ラストのラスト、そう終わったかー
ワイパーの音かー
オープニングとは真逆な静かで色のないエンディング
なんだ、これ?
めちゃくちゃ面白いじゃないか!!!
前半エロ後半コメディの傑作
2025年劇場鑑賞74本目。
エンドロール後映像無し。
アカデミー賞獲ったというので、堅苦しい陰鬱としたストリッパーの映画かと思いきや、まぁ前半はエロエロで、いや脱いでダンスで満足できるなんて皆さん紳士だね、と思ってたらやっぱり裏オプションがある子もいますよね。主演の子がとにかくエロかわいくて、ベッドシーンも何回も出てきます。シーン自体は短いのですが、もうなんかおつまみ感覚で随所に提供されます。ぼかしが入るような野暮な撮り方はしていなくて、なんかこううまく見えない感じでパンパンパンという流れです。
このまま肉欲に溺れた感じでいくのかな、と思う頃にロシアから送られたずっこけトリオの登場で一気にコメディになります。みんなハゲ頭のイゴール君に頑張れ!くじけるな!と声援を送っていたのではないでしょうか。
シンデレラ
シンデレラが一番好きと話すアノーラ。
派手な結婚を祝うドレスと笑顔。
その後ろには華やかな花火が短い瞬間にも見える。
毛皮を本物かどうかも分からない。
最後に残ったのは心の傷と顔の傷。そして涙。
切ないシンデレラになった。
滅茶苦茶な行動に出るが彼女の前に出てくる
キャラクターは全員、愛おしい。
監督が愛を込めてるのだろう。
Fの言葉が半端無く多かった。
まさかの479回もあるとは笑。
あの赤いスカーフ。
口に巻かれた後は、お洒落なマフラーに。
アノーラがイゴールにかけた毛布も赤。
まるで彼女の生きざまと生きる象徴の赤色。
似てると思ったら、イゴールはコンパートメントNO,6のの方だったのかぁ。
ユーリー・ボリソフ覚えておきます。
タフでクールで破天荒なアノーラ。
彼女の負った傷を寄り添うイゴール。
彼の愚直な男のさりげない優しさは素敵。
降りしきる雪の冷たさと優しさが
入り交じって、やっと泣けて良かったね。
また沈黙のエンドロールが涙をそそる。
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