「「It's a good name.」」ANORA アノーラ komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
「It's a good name.」
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前半は、おままごとの時間。時折息継ぎをする様に宙を見つめるアノーラ。対するイヴァンの目は散漫で何も見たくないと訴えている、目を合わせようとすればサングラスの後ろに逃げ込んでいく。どちらも目の演技がうるさく観ていて少し疲れる。親の描き方、アノーラとイヴァンの抱える葛藤、どちらも古典的。だが、葛藤の現れ方が今の時代を上手く表現しているので、荒唐無稽な設定なのに妙に身近に感じる。
後半、使いっ走りの男三人とアノーラがイヴァンを探し回る。何処かコミカルで虚脱的でアキ・カウリスマキやジム・ジャームッシュを思い起こさせる。
そして終盤、2時間程過ぎた頃から漸く物語が動き出す。最後、イゴールに跨ることで気持ちを表現するアノーラ。その姿はとても切なく悲しい。確かに、人はそんなに簡単に変われないよ。それでも、イゴールが隣に居てくれたら、アノーラの未来は決して暗くはないんじゃないかなと思える。無音のエンドロールを見ながら、残響の様にそんな事を考えていた。
結論、戦士イゴールは偉大なり
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