「金を払う人を受け取る人の差は、人間か人間じゃないの差なのかという問い」ANORA アノーラ バビさんの映画レビュー(感想・評価)
金を払う人を受け取る人の差は、人間か人間じゃないの差なのかという問い
ショーン・ベイカー監督の「フロリダ・プロジェクト」が大好きなので、アカデミー賞関係なく楽しみにしていた。
フロリダ・・・での映画史に残る「〇ァックユー!!」を、本作では数で凌駕する主人公の悪態はちょっとノレないレベルまでいっていた。
セクシーダンサー(セックスワーカーと呼んでいいのか?)と金持ち坊やが仲良くなっていく様は、さきざき悲惨な結果しか見えないって観客の全員が思っているのに、なんの疑いもためらいも不安もないアニーにはちょっと同情できない。
そして、アニーを筆頭にして、金持ち坊やの乱痴気騒ぎの後の清掃をする女性や、ラスベガスで彼にたちの悪いドッキリを仕掛けられるホテルマンや、朝一で裁判所にアポをねじ込むはめになる弁護士まで、「金をもらう側」はここまで非人間的な扱いにがまんしなきゃならないこの世界にうんざりする。
そして「この世界はそういううんざりするところだけど、それでいいの?」っていうのがベイカー監督の真骨頂なんでしょう。
今作は期待ほど・・・って感じだったけど、何本ものオスカー像のおかげで、次作は大きく予算がつくでしょうから、今からとても楽しみです。
コメントする