「アニーと呼ばれたいアノーラ、そこに本質があるのかな。」ANORA アノーラ ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)
アニーと呼ばれたいアノーラ、そこに本質があるのかな。
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ロシア系大財閥のボンボンに見初められた娼婦・アノーラの、どん底人生一発大逆転の、でも鼻につく金満的シンデレラストーリーな前半と、高みに高まったところから急角度で一気に叩きつけられる後半の落差に、胸が躍ってしまった。アニーごめん。
まー前半のこれでもかの嫌味な描写は、この落差を楽しませるためだよなーと思いつつ、アノーラの強欲で傲慢な振る舞いもあって、そりゃーこちらとしては大財閥の両親の肩を持っちゃいますよ。
でもね。
ラストシーンの「これおばあちゃんのお下がりなんだ」からの流れで一変。この落差は、「単に上がった分だけ下がっての元の場所に収まった」のではなくて、数世代を重ねても「這い上がることができない冷酷な現実」を描いたものなんだな。
そう。あのボンボンの母親への取り入られようとする強引な態度も、厚顔無恥ではなく必死の表れだったわけだ。
不器用だけど心優しいロシア系チンピラの抜け出せていない境遇に、慰め合うが故にアニーの心が折れる様は、救いがなくことごとく切ない。
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