「やや期待外れ。気の良い娼婦は結局、何も手に入れられないっていうことになっちゃいませんか?」ANORA アノーラ あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
やや期待外れ。気の良い娼婦は結局、何も手に入れられないっていうことになっちゃいませんか?
この映画に関してはセックスワーカーへの差別的な発言がチラチラ漏れ聞こえてきて嫌な感じはしていた。(ストリップダンサーが主役の映画が何でカンヌのパルムドールを取るのかとか、セックスシーンだらけで作品自体のクオリティが低いとか)そのあたりについては主役のアノーラを演じるマイキー・マディソンの突き抜けた演技でかなりぶっ飛ばしてくれている。彼女は可愛く、そしてたくましくもあって、アノーラの造形については全く文句はない。
でも相手役のイヴァン(役者は可愛らしい)のクズ息子ぶりやそのロシア人両親(特に母親)の非道は本当にお約束通りであってハッピーエンドでもなく、アノーラが一矢報いるといった展開にもならないところが哀しい。気の良い娼婦は割を食うっていうことになってませんか。「べらぼう」みたいだよね。だから全体の筋としてはあんまり共感できなかった。最後のシーンについても納得しかねる。何故彼女が泣かなくてはいけないの?
シーンとして面白かったのは2箇所あって、最初はアノーラがイヴァンの家に出張してきてセックスする前にみせるストリップダンスのシーン(短いチェックのスカートをはいてる)。これは立派な芸です。
もう一つは皆さんも同様だと思うが、イヴァンの両親の手下3人組を相手に、イヴァンの家のリビングでアノーラがみせる大立ち回りのシーン。実にメストラのような暴れ方でこれは凄いです。(撮影に数日を要したとのこと)
この2つのシーン以外はちょっと期待外れだったかな。
(補足)
ご存知の通りアカデミー賞の作品賞と監督賞まで取りました。主演女優賞はまあ当然かなとは思っていましたが。
少々、グダグダな部分もあったけど、これがこの監督の味というところで、業界内愛されているんだなという印象です。
パルムドールとオスカー両方とったのは「パラサイト」以来でほとんど事例がないハズ。凄いね。
それはそうとこの映画、トランプ大統領が観たらどんな感想をもつのかな?上映禁止の大統領令にサインしたりして。
共感&コメントをありがとうございます。マイキー・マディソンの演技を楽しみにしていたので、イヴァン宅のリビングのシーンはめちゃめちゃ楽しかったです。アカデミー賞の主演女優賞、獲ってほしいですね!!
確かに当時はめでたしめでたし…と見ていたけど、実際あんな頭の悪い娼婦、お金持ちは相手にしませんもんね。アノーラのエンディングの方が女性へのリスペクトを感じました。