エミリア・ペレスのレビュー・感想・評価
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日本が舞台だと仮定したら、トンチキっぷりがわかりやすい
冒頭から想像していた以上にガッツリミュージカルであり、なおかつ見せ方としてとても面白く、いったいどこに連れて行かれるのかと期待が膨らむ。
お話としては、まあメキシコで批判が噴出したという話もわかるが、正直かなりのトンチキっぷりというか、これを日本のヤクザの親分を主人公にしたものを想像してみると(日本ではあまり怒られたりはしない気もするが)、結構なトンチキ映画であることがわかってもらえるのではないか。
なので、ずいぶんなトンデモ話に、本気の演技、本気の歌と踊り、そして愉快なミュージカル演出が乗っかっている表現のオモシロさを満喫したし、それ以上に深刻なものとして評価をしようという感じにはなれなかった。エミリアのあっけない最期も含めて、監督もいろいろ混ぜっ返して突き放すみたいな遊びをやってると思うのだが、まあその辺はこちらで勝手に解釈しました。
常に緊張感が漂い飽きさせない
麻薬王のマニタスがエミリアとして生まれ変わり、再びリタに接近してきた時から、いつ本性であるマニタスに戻り豹変し周りに害を為すか、ハラハラしながら見ていたのは自分だけなんだろうか。設定は荒唐無稽だが、エミリアの怪演とテンポの良いストーリーで全くダレない映画だった。
因果応報
この発想は無い構成。
実際にある社会問題を織り混ぜて作られている。
しかも、一見重そうに感じるがミュージカル調も
入るので時が止まり、考えさせられる。
エミリアの払った代償は大きすぎる。
その出来事を手助けしたリタは良かったのか
悪かったのか…………。
リタには報われて欲しかった。
あれだけ仕事に対して熱意と気持ちかあるのに
上司があれだと。ああいう上司、腐る程
いるよね。女性で共感する人も多いのでは。
エミリアも本来の自分に成りたいと言って別人になったが、今までの悪業なんて消えるわけがない。
因果応報である。
子供達は切ない。
自分らしく生きてと願うが現実を見て
生き抜く事を祈る。
こんな叔母さんはイヤだ
ゾーイ・サルダナがアカデミー助演女優賞、加えて主題歌賞も受賞作品とのことで、丸の内ピカデリーで観賞。
メキシコの麻薬王が整形と性適合手術で女性になりたいがために高学歴の貧乏弁護士(ゾーイ・サルダナ)を誘拐して、破格の報酬と引き換えにミッションを遂行させる。カミさんと子供がいるのに、身代わりの似た男を組織の部下に殺させ、自分は死んだことにして、スイスに高飛び。単に性同一性障害を直したいというよりも、新しい人生を欲しかったに違いないのだが、たくさんの人間がヤク漬けになり、貧困の悪循環の犠牲に上に成り立っている中南米の現状を思うと、一握りのセレブ達のお祭り騒ぎ映画を手放しに楽しめない。女性になって女性を愛したいというのは分かった。男性として女を愛するのには飽きちゃったのかもしれない。なんとも贅沢。麻薬王の強欲さにドン引き 。NPO活動もなんかねぇ。偽善者ってカンジ。
凄腕の整形外科医の名前はワッセルマン反応のワッセルマン博士。セレーナ・ゴメスちゃんもオトナになったが、なんだかな〜だった。前半はミュージカル仕立て。最後の方はドンパチにカーチェイスでドカン。
因果応報というか、自業自得というか······やはり最後は子供が犠牲になるし。
マニタス(麻薬王)と整形後のエミリアは同一人物とは思えなかった。
宇梶剛士&キャシー中島みたいだった🙏
アカデミー賞初ノミネートのトランスジェンダー俳優、カルラ・ソフィア・ガスコンがどちらも演じてると知って、ギンタマが縮みそうだった。
坊や。お父さんの匂いがする叔母さんのそれは加齢臭っていうのョ
ミュージカルシーンはどれも熱く、感情に訴えてくる力があるし、映像としても美しく素晴らしい。
昨年度の(というか今年の)アカデミー賞は凄かったんだね。
取れなかった「教皇選挙」も凄い作品だったが、この作品も作品賞を取ってもおかしくない出来だったと思う。
ただ、正直言って、作品賞を取った「アノーラ」も含め3本とも突き抜けたものがなかったのかも。いずれも技巧的。映画的な巧さがある3本だった。
ミュージカルと言われているけど(確かにミュージカルだけど)、それほど違和感はなく(というかハリウッドのミュージカルとは全く違う)、見終わった後にミュージカルだったことを忘れてしまうほど。
ミュージカルシーンはどれも熱く、感情に訴えてくる力があるし、映像としても美しく素晴らしい。
そしてストーリーを感情的に説明する役割を果たしていている。これは、結果として映画の効果的な時間短縮になるのでは?と思った。
それでいながら、というかそれだからこそ、深い映画になったと思う。
素晴らしいアクション映画であり、恋愛映画であり、性差別の問題も扱って、メキシコの悲劇も扱っている。けれど多分最後の二つの要素は、色々と物議を醸しているよう。映画創作上の設定でしかないのだけれど、ただ現実との関係性の中でさまざまな問題に発展してしまう。この映画を観た当事者はどう思うか。そこまでは正直観客側には考えられない。(「ディア・ハンター」がやはりそうだった。ベトコンの描き方が差別的だと)。一言で言えない難しい話だと思う。
ただ映画としては、エンターテイメント性が強く、とても面白く、熱くなる映画だった。
最初に書いた3本の中では、アカデミー賞には甲乙つけがたいが、これが一番だったかも、と思えてくる。
また見たくなる映画。
相反する心 グアダルーペの聖母
国民の八割近くがカトリック信者だというメキシコではキリストよりも崇拝の対象とされるのがグアダルーペの聖母と言われる褐色のマリア様だという。
スペインによる植民地支配の下、カトリック教会はアステカ文明で崇拝されていた女神トナンツィンの姿を聖母マリアに重ね合わせることで布教に役立てた。そのために土着宗教とキリスト教の混じり合ったメキシコ独特のキリスト教になったという。
麻薬カルテルのボスであるマニタスは長年性同一性障害に悩まされ、有能な弁護士であるリタに依頼して性転換手術を受ける。
マニタスは見事女性として生まれ変わり、報酬を得たリタも弁護士として独立しロンドンで活躍していた。そのロンドンのレストランで声をかけてくる一人の女性、同じメキシカンとして意気投合した二人だったが、そのエミリアこそマニタスの生まれ変わった姿だった。
彼女は再びリタに依頼する。離れ離れの家族とメキシコで暮らしたいと。そしてリタとエミリアはメキシコで行方不明者の遺体を探すNGOを創設する。
マニタスはかつて部下さえも恐れる冷酷非情な男だった。しかし彼はこの貧富の格差が大きいメキシコで生まれ育ち、生きてゆくには犯罪に手を染めるしか道がない中でめきめきとその頭角を現し組織のボスにまで上り詰める。
手下たちも同じように犯罪に手を染めてきた油断ならない人間たちだけにそれを統率するためには彼ら以上の非情さが求められた。だが彼の真の心はそうではなかった。本当の自分は人を殺めたり痛めつけたりしたくはなかった。これは本当の自分ではない偽りの自分だと。幼い頃から自分の内面と外面とのギャップに苦しみ続けてきた。しかし彼の育った環境が本当の彼を許さなかった。
そんな彼が子供を持ち人生も半ば過ぎたころに一大決心をする。このまま偽りの自分のままで人生を終えたくない。残された人生を本当の自分として生きていきたい。彼は生まれ変わる決意をしてエミリアとなったのだった。
そして彼の心の奥底に押し込められていた善の心がふつふつと甦り、今まで彼が犯してきた悪行への償いのためにも犯罪により犠牲となった人々や家族のためにその活動に心血を注ぐのだった。
自分の犯してきた罪を償い生まれ変わったその姿は人々の罪を一身に背負って十字架につけられそして復活したキリストの姿を思わせた。
しかし、エミリアはマニタスに戻ってしまう瞬間が訪れる。妻のジェシーが子供たちを連れて再婚するのだという。彼女に怒ったエミリアの声はマニタスの野太い声に戻っていた。
怒鳴り声で彼女を恫喝するその姿は元の狂気に満ちたマニタスの姿そのものであった。
どんなに善行を行おうとも彼女の体に長年染みついた力で人を抑えつけようとするマニタスの影を追い払うことは出来なかった。
エミリアはジェシーの一味に誘拐され車もろとも崖から落下炎上し帰らぬ人となる。マニタスの犯してきた罪はエミリアになってもいまだ償いきれていなかったのかもしれない。
しかしエミリアが亡くなり彼女を悼む人々はその姿を模した聖母像を頭上高く掲げて彼女の功績を称えるのであった。
マニタスは今度こそ生まれ変わったのかもしれない。それはキリストではなく、グアダルーペの聖母として。
カトリック信者が多くを占める国民性ながらもいまだ植民地時代から根強く残る貧富の格差に苦しめられ治安が一向に改善されないメキシコ。
アステカ文明と西洋文明が入り混じった結果生まれた褐色の肌を持つ聖母マリアことグアダルーペの聖母、相反する心と体を持つその姿はマ二タスとエミリアの姿そのものなのかもしれない。
堕ちていく、あの空へ、昇っていく、あの暗い淵へ。冒頭のこの曲の歌詞をはじめとして劇中では逆説的な言葉が多用されている。父であり、叔母。麻薬組織のボスから慈善団体の代表者へ。男から女へ。優しい心を持ちながら劣悪な環境で生まれ育ったがために、悪人とならざるを得なかった一人の男の姿を通して、人間の心の中に潜む善と悪の葛藤を見事に描き出しエンターテイメント作品に仕上げた。
街中を走る廃品回収車のアナウンス音声から、レンジ、テレビ、何でも買います。でも買えない、私の人生と魂は売り渡すことはできない。などなど劇中で流れる歌の歌詞がすべてが素晴らしくて個人的にはミュージカル映画としても革命的な作品だった。
今年の粒ぞろいのアカデミー賞ノミネート作品の中で本作が個人的にはダントツだった。アノーラも好きだけど本作のすごさの前に少々かすんでしまった。ノミネート作品で最後に回した本作がマイベストだった。
ちっぱいおぱい♪主演はゾーイでは??
いつもながらフライヤーはもらっていたのにしまったままで。。
鑑賞後、どんな事書いてあるのか見たくなりファイルから探していると。。
たしかピンクだったよ〜なコレかな?と手に取ったのが「ドールハウス」
まさみとお人形さんので驚いた('◉⌓◉’)
違う違う怖い怖い。
やっと見つけた「エミリア・ペレス」
よく見るとこちらのガスコンさんも中々イカつい。。
でもいるいるこんな女性。
私もおばさんなんでアレですが、おじさんおばさんみたいなおばさん、、いますよね。
(私の唯一の親友心友悪友で、リーアム兄さん好きな私を"枯れ専"呼ばわりしたオンナがいるんですけども。
彼女の名言
「ゆきは上半身はお父さん似で下半身はお母さん似だ」とディスられた事を思い出しました!
爆!
巧いこと言いよる〜!
だよね〜アタシちっぱいだもんね〜
。。。あれれ??涙が。。。
くっそぉ〜!
アタシもおぱい欲しいよぉ〜!w)
そして近年、たよーせーたよーせー叫ばれておりますが、、
私が子供の頃は平気でデブとかブスとかチビとか言って(言われて)おりましたし、親も、男のくせに・女のくせにとか、やられたらやり返せとか言ってましたけど。。
(これは多様性じゃない問題発言w)
たよーせー教育(?)で育っているうちの子なんかは、人や自分の外見をからかう様な発言はしませんし、ロングヘアの男の子も黒いランドセルの女の子も普通にいます。
私も親として、たよーせーるっきずむには敏感になっている今日この頃。。
とはいえ普通に人それぞれみんな違うの当たり前って思ってるし、2丁目とかでも遊んでいたので色々な"タイプ"のパイセンも見て来たし、自分もわりかし変な人間って自覚もあるので。。
だから、その辺は割と守備範囲広い方だと思います。
どんどん増えるアルファベット。
正直"理解"なんてしなくても良いと思っている。
(所詮出来ないとも思っている)
だけど、
私とは違うけど、この人はそ〜ゆう人なのね。って位にライトに考えて付き合えばいいんじゃないかって思ってるし、そうしてる。
だだ、私はたまたま身体が女で性自認も女だからそこに不便はなかっただけで、実際に違和感のある人の苦悩は計り知れないのだろう。
置かれている環境や立場、経済的な理由などで、本当の自分の姿に近づけない人も多いのだろうな。。
本作の主人公マニタス(カルラ・ソフィア・ガスコン)も、長い間自分を誤魔化し生きて来た人物。
自分の本来望む姿とは正反対の人生を歩んできたメキシコの麻薬王。
誰もが恐れる最恐のキング。
悪の限りを尽くしてきた彼が実は
"女性として新たな人生を歩みたい"と思っているなんて誰が想像出来ただろう。
初めて姿を現した"マニタス"には身がすくむ程の恐怖を感じましたし、威圧感がすごかった。
気分を害したら確実に殺される!
リタ同様緊張感がハンパなかったです。
一方、優秀な弁護士だが地味なリタ
(ゾーイ・サルダナ)は、明らかに罪を犯している人物の弁護を任されるが、上司の命令で、無罪を主張し、裁判に"勝つ"
彼女も自分を誤魔化して生きていたし、弁護士としての正義も揺れていた。
そんなリタをなぜ"マニタス"が選んだのかは分かりませんでしたが、ある日マニタスの手下に拉致られる。
自分を完璧な女として生き直す方法を探せ。
恐怖もあっただろうが、大金に目が絡み
(だと思う!)その命令に従う事にするリタ。
"マニタス"が女性になる為には家族とも離れなくてはならない。
敵対する組織から守る為だと嘘の説明をし、マニタスの妻ジェシー
(セレーナゴメス・可愛い♡)と子供達をメキシコから遠ざける。
そこでマニタスが殺されたというニュースが飛び込んでくる。
もうマニタスは死んだのだ。
誰もがそう思った。
そして4年後。。
優秀だが泣かず飛ばずのリタだったが、大金を得た事で交友関係も広がったのだろう。
セレブ御用達の弁護士になっていた。
身なりも生活も華やかになり、自信に溢れ、充実している様に見えた。
そんな彼女の前に"エミリア"が現れ再び妻と子供達とメキシコで暮らせる様にして欲しいと頼まれる。
そして皆さんご存知の通り、物語は大きく動き出す。
まず冒頭の音楽からしてカッコいい!!
そしてこれはミュージカル?!
フラッシュモブのような演出からスタートする作りが新しい!
リタの歌とダンスにも引き込まれる。
息継ぎしてた?!マニタスの抑揚のないラップ風のセリフ回しももっと見たかったし、リタとドクターのハモリセリフのシーンの見せ方も新鮮だった。
(ジェシーと彼氏のカラオケサービスも有りでそこは不思議シーンだったw
イチャコラはセックスシーンじゃないのね、カラオケかい!健全かっ!w)
で!
斬新なミュージカルシーンと同等に見所といえばガスコンの演じ分けでしょう。
マニタスとエミリアどっちもすごかった!
マニタスもエミリアも、別の人物として正に存在し、生きていた。
ガスコン自身もトランスジェンダーという事も重なって説得力があり、その姿はリアルそのものでした。
(奥さんもいて、結婚生活継続中に徐々にアップデートしたそうですょ!)
女性として生き満たされていたエミリアだが、姿かたちを変えたとて、彼女の考え方は変わっていなかった。
そう、人間の本質なんて簡単には変わらないんだな〜と複雑な思いになった。
行方不明者を捜索する慈善団体を立ち上げ
"汚い金"をそこに惜しげもなく使う姿とは反対に、自分から離れていくジェシーを引き止める為に、陰では恋人を暴力で脅し金で解決しようとしている。
自分本位でしかない。
自分の願望を満たす為に全てを捨てる覚悟でジェシーをも捨てたくせに、自分の欲が満たされると、やっぱり妻も子も欲しくなる。
近くに置きたくなる。
諦めたくない。
支配したい。
この辺はエミリアに同情する見方もあるだろうが、私にはエミリアの勝手さが目に付いた。
ジェシーだっていっぱい泣いて悲しい思いもしたのに勝手だと思った。
ジェシーからしたらあんな叔母さん面倒くさいしかないわ(°▽°)
恋人エピファニスも出来たのに随分と強欲ではないか。
所詮思考はマニタスのままじゃんと思った。
そしてリタとマニタス/エミリアの関係性の変化に注目すると面白い。
最初は恐怖からマニタスに従っていたリタ。
お金に目が眩んだのもあるが、気持ち的にマニタスに対しては何の感情も持っていなかった様に見えた。
しかしエミリアとの仕事で自分に自信が付いていくリタは、頼りにされる事への喜びを感じ、もっと応えようと尽くす。
変な成功体験だが、間違いなくリタを変えたのはエミリアの存在という皮肉よ。。
徐々に気持ちがエミリアに寄り添って行き、私的な感情が加わっていくのも自然な流れだった。
マニタスの方も、最初は自分の願望を叶える為の道具としか思っていなかったリタが、どんどん自分に魔法をかけてくれる大切な存在になって行き、弁護士と依頼人の立場を超えた信頼を寄せるパートナーへと昇格していく。
無意識に変化していくその心模様も面白い。
もうずっとリタ〜リタ〜言ってたw
それぞれが互いを思う関係になって行く所も見所です。
ジェシーの"マニタスを愛していたのは間違いない。ただ、恐怖心は感じていた事、やっぱり他に好きピがいた事"は、まぁそうでしょうねと思ったが、子供のクンクンシーンはねぇ〜
(T -- T)
結局子供が犠牲者で、エミリアも切なくて可哀想でした。
が、、ラスト。
個人的にはエミリアはジェシーに真実を伝えないで欲しかった。
あの告白は、結局最後まで自己中で自己満じゃねぇかと思った私は冷たいんでしょうね汗汗
とはいえ、簡単に泣けるだけのお話しに仕立てず、意外と皮肉多めだったのも好み♪
そしてこの様なテーマを斬新な演出のミュージカルという手法で、エンタメに昇華させた監督の手腕には脱帽!
で。。
冒頭に色々書きましたが、本作は多能性云々というよりも、アイデンティティの確立ってのがテーマだったのではないかと思いました。
その描かれ方も説教臭くなくて好きでした。
私生活では色々不安定な様子のガスコンさん。
セレーナゴメスとの共演シーンは違う意味でドキドキしちゃいました。
心と身体のバランスを取るのって、難しいですね( T_T)\(^-^ )ドンマイ♪
手ごわい映画
「この男は手ごわいメキシコ人の一人だった。どこへ行こうと、この連中ほど手ごわい人間はいないのだ。」R.チャンドラー『長いお別れ』 男だけではなく、女も。そして、この映画自身も(ただし、メキシコ映画でなくフランス映画だけれど)。冷酷な麻薬王が性転換手術を受けて女性になる。それをミュージカルで。キワモノになりそうな題材を、(W.ヒルの映画で似たようなんかがあったような)ジャック・オーディアール監督は、メキシコの犯罪や暴力、自分らしく生きることの難しさなどを盛り込んで、見ごたえのある秀作に仕上げている。特に役者たちがいい。中でもリタ役のゾーイ・サルダナが。希望に満ちた卒業写真の顔、しかし、現実は弁護士として悪党を無罪にする空虚な日々、それが麻薬王と出会ったことで大きく変わっていく。自分が求めていた正しい生き方をしていたのに、最後は暴力に頼ってしまう。それが悲しい。久々に充実感のある映画だった。その前が『サメ遊戯』だったしね。
ものすっごくパワフル!
これはフランス映画なのか?南米の作品なのか?
冒頭、私は愚かにもこの作品をカテゴライズしようとして迷子になってしまいました。
突然歌い踊りだす構造にも翻弄されました。
でもマテアス/エミリアがとても魅力的でパワフルな人間であることが解ってようやく没入することができました。
彼/彼女はギャング時代も慈善家時代も常にパワフルで行動を起こす人でした。
愛と恐怖を知る人は強い。
時に暴力的だけど、なにをやっても成功する人。
それだけで魅力的です。
ラストのコーラスが心に残ります。
遠い地球の裏側の話?
昔から知ってるメキシコにちょっとバージョンアップしていたので。簡単には変わらんわな。
なんでも手に入れてなんでも変えて要らなくなられば捨てて⋯⋯。
だけど人間一度知ってしまった"欲"の味は捨てられない。
この国は武器を目の当たりにしないだけでさほど変わらない気がするよ。
まぁ犬のエサにならないだけマシなのかもね。
ちなみにアカデミー賞作品賞はAnoraではなくこっちの方が良かったかも。
純粋に作品を見比べた感想です。
私の人生を変えてくれた
こないだ鑑賞してきました🎬
これは一言で言うと元麻薬王の贖罪の物語ですね🤔
エミリアと次第に信頼を築く弁護士リタと、マニタス時代の妻ジェシーの3人がメイン。
リタにはゾーイ・サルダナ🙂
なぜ彼女が知り合いでもないマニタスの依頼を受けたのかいまいちピンときませんでしたが、結局はエミリアと協力関係に。
ガモーラのような戦闘力はないものの、信念を持った女性でしたね😀
エミリアにはカルラ・ソフィア・ガスコン🙂
元麻薬王という難しい役どころを、時折でる昔の話し方や仕草で巧みに表現。
味のある演技でした。
ジェシーにはセレーナ・ゴメス🙂
歌唱シーンはさすがです👍
マフィアの妻という高飛車な感じも、にじみ出ていた印象。
ミュージカルシーンがちょっと唐突に始まる場面もあり、他にもコメディっぽさやシリアスなドラマもありの盛りだくさん😳
私はちょっと消化不良でしたが、映画全体としては及第点👍
ガスコンの一連の騒動で、アカデミー賞は助演女優賞と主題歌賞のみに留まりましたが、それでも観る価値はありますね😀
余談ですが、クレジットの順が
ゾーイ・サルダナ
カルラ・ソフィア・ガスコン
なので、ゾーイが主演でガスコンが助演なのでは❓と思ってしまいました😅
まあ後半はほぼダブル主演でしたね🤔
自分らしく生きるとは?
悪い意味で主演が話題になってしまった本作。映画に罪はないので鑑賞。
毎日を鬱々と生きる弁護士のリタのもとに麻薬王のマニタスが性適合手術を受けたいと相談をする。数年後再び出会った2人は…というお話。
新しく人生を送りたいと思ったとしてもよほどの強い意志がないと身体を変えても本質は変わらない。エミリアはマニタス時代に強くなければならないと残虐な行為をしてきたわけやけど、心の中ではずっと無理をしていたんやなあ。
見た目が変わってもエミリアの子どもや家族を思う気持ちは変わらなかった。それは父性なのか母性なのか?
人を心から愛し、苦しみから救う。エミリアの求めていた生まれ変わるという願望は最後のシーンで叶えられたんやと実感。ただ、幸せに生きてほしかったよ。過去の代償はあまりにも大きかった。
カルラソフィアも熱演やけど、ゾーイサルダナのほうが目立ってたかな?ゾーイさん、あまり歌うまくない(ごめん)のが逆にこの作品にはマッチしていた。
コッテコテのミュージカルではないので、私みたいにミュージカル作品苦手な人でも割と観やすいと思います!
タイトルなし(ネタバレ)
メキシコの麻薬王マニタス(カルラ・ソフィア・ガスコン)は、妻ジェシー(セレーナゴメス)とふたりの子どもがいる身である。
しかしながら、彼は子どもの頃から自分の性に不満を抱いていた。
心情的には女性であるのだが、周囲の環境からそれでは生きていくことができず、麻薬の世界・暴力の世界に身をやつすしかなかった。
が、地位を築いた現在ならば、麻薬王の自分を葬り、元の女性になりたい、そして、それが叶うと信じた。
そのために働く者として指名されたのが、女性弁護士リタ(ゾーイ・サルダナ)だった・・・
という物語を、なんとミュージカル仕立てで描いています。
なんとも強烈なルックの作品。
特に前半は面白い。
が、性転換に成功し、エミリア・ペレスと名乗って行方不明者捜索のNPO・NGOを立ち上げてからが、意外とツマラナイ。
元の麻薬王の自分は葬り、家族をスイスの湖畔に疎開。
そこまではよかった。
だが、家族恋しの思い募って、正体を隠して家族を引き寄せてからが、どうも行動的には元の暴力の世界の行動に戻ってしまう。
身体は女性になった。
心も女性になった・・・はずだった。
でも、暴力の世界で生きて来た身は、最終的には暴力の論理で行動してしてしまう。
極端に言えば、「善行積めども、悪党は女になっても、やることは悪党」みたいな感じ。
可哀想、哀れ、といえばそうなんだけども・・・
どうも最終的に、わたし的には、ジャック・オーディアール監督の暴力志向(良いと思って志向しているわけではないだろう)が、悪目立ちした感じがして収まりがわるかったです。
ひとりで「多様性」
「多様性」多用されすぎ、ってか入れないと意識低いと思われる、トレンドから弾かれる、作品として評価が下がるようにも思える昨今、それじゃこれでどうだ、と「多様性」のショッピングモールみたいな映画を作ってみました、という、フランス映画らしい挑戦的な、シャレか風刺(または皮肉)の作品なんじゃないかと思いました。
クライム、コメディ、ミュージカル、社会派などジャンルの多様性に、主人公マニタス=エミリアがこれまた多様性をひとりで表現したような人物。
体は男性だが心は女性、そしてトランスジェンダーになったがセックスの相手は女性、そもそも泣く子もちびる麻薬王だったのに、行方不明者家族に心の底からシンパシーを覚えて(そう見える)家族を支援する団体を立ち上げて活発な活動をするって。冷血冷徹な人間かと思えば、夢が叶って女性になったが、寂しくて愛を与え愛に応えてもらう関係に飢えて、泣くほど家族を取り戻したいと願ったり。
一見矛盾した複雑な性格に見えるが、そうではないよう。
女性の心とカラダが欲しいがセックスの相手は女性が良い、目に見えない相手にはとことん非情だが、顔が目に見え名前を知ってシンパシーを抱く相手には仏様のように広く深い愛を示す、汚いことで儲けた金は、生まれ変わった後は贖罪と愛する人たちのためにじゃぶじゃぶ使ってしまう、というそれなりに筋は通っているので矛盾というより、これでもかと「多様」なのだと思う。
狂言回しのリタが、弁護士のマークの天秤のように「標準」「一般の常識」を、口には出さなくても絶えず表情で示すので、マニタス=エミリアの多様性が際立って見えるよう。
ごついおじさんがごついおばさんになり、おおきなおっぱいをゆさゆささせてハイヒールを履きこなす姿はちょっと異様(すぐ見慣れます)だが、時々こういう人を見かけるし、彼女は自分の存在への喜びに溢れ堂々としており、心底満足そうで良かった。
こういう映画を大真面目に高評価してオスカー候補にまでする評論家や映画のプロと言われる皆さんの反応までをひっくるめて風刺(皮肉?)した映画では、と思いました。
奇想天外な人物なんだけど、こういう人いそう、と思いました。
自分の欲求に忠実で、他人のことはまるで考えないので思いやりゼロ、だからこういう末路になるのは必然。
そして、「お金で買えないものがある」とつくづく思わされました。
予測不能な贖罪と因果のエンタメ作品
ゴールデングローブ賞作品賞やアカデミー賞の13部門ノミネートという情報のみを知ってる状態で拝見しました。
いや、面白い!!
とても面白かった。
予測不能のストーリーに加え、ミュージカル演出も個人的には新鮮でとても楽しめました。リタとエミリア、という二人の女性の贖罪と因果を描いた作品でした。
リタもエミリアも贖罪の意味で「正しい事業」を展開しつつも、その資金源は闇社会との関係を絶つことはできなかったようです。
エミリアは社会的には聖人として人生を終え、リタはそれらの「遺産」を継承することができたわけです。非常に辛辣な意味でのハッピーエンドを迎えます。
アカデミー賞関連の中でも非常に見応えのある作品でした。
派手なようで地味におもしろかった
ミュージカル、メキシコの極悪治安、麻薬組織、トランスジェンダー、性転換手術、家族モノ、女性の社会進出…
これだけいろいろあっても渋滞せずに観られたのは、映画自体がおもしろかったからでしょう
人間関係の移ろいや人間の心情を基本軸に丁寧に描いていたからだと思います。
ただ、そういう人間の心情などを描こうとすると、湿度が高めになり飽きてしまうことが多いのですけれど、そこはメキシコの乾いた空気感でさりげなく中和されていたのだと思います。
以下ネタバレ
エミリアとリコが、性転換前とはある意味真逆の、行方不明者消息調査事業みたいなのを開設して「人助け」みたいなことになっていくんですけど、
その事業を展開していくのに役立つ「強み」っていうのは、男性時代に培っていた?ギャング組織でのノウハウやネットワークをフルに利用していたことは、ある程度想像できますよね。
エミリアたちの新規事業の「光」の部分は、ギャング組織時代の「闇」が生み出していたことになります。
オープニングに流れていたの歌詞(具体的には覚えてないけど)と繋がっているようで、おもしろかったです。
派手なようで地味におもしろかった映画でした。
なぜミュージカル?
何が言いたかったのか?
本当の私?シリアスなのか?コメディなのか?
ミュージカルって、言葉で全て説明できるので便利です。しかしオスカー受賞してる割に、全く耳に残る曲はなく、真面目なテーマ?なのにぶち壊してます。
ラストまでは何の問題もなく順調でちょっと退屈になります。話がどこに向かってるのか分かりにくく飽きてきます。
カミさんの不満もよくわからず。最後の銃撃戦もなんで脱出出来た?
これがオスカー候補?わけわかりません。個人的な感想です。
この映画を一言で言うと、プロポーズを断られたフラッシュモブだ!
ミュージカルというのは、いきなり踊り出して、歌い出すという、素面ではやれるものではない。フラッシュモブの何が痛いって、路上やレストランというのは、フラッシュモブという非日常が起きても良い場所ではない。
で、フラッシュモブの何がイタいって、歌う歌詞が告白するおにゃのことの出会いを歌っているのだが、歌詞としては成立していない陳腐な歌詞なのも問題。聞くに耐えないのだよ?
これが、宝塚とか、劇団四季とか、ザ・スズナリとか、ライブハウスとか、演芸場などなど、パフォーマーがやりたい放題やっていい場所だから、客席からいきなり役者が立ち上がったり、警備員のおじさんが踊り出したりしても、安心して見れる。
更に、ミュージカルというのは、コメディか、ヒットナンバーを題材にしないと、目も当てられない大事故に繋がるのだ。
邦画のはじまりの日という、J-WORK中村耕一のミュージカル映画もあったが、この映画のミュージカルシーンが、いらないし、下手糞だし、才能が無い人に何故、ミュージカルをやらすかねぇ?あれは、大事故だった。
あんな大事故をユナイテッドシネマキャナルシティの、必要がないスナック付きのぼったくりスクリーンで鑑賞した時のガッカリ感はなかったです。
さぁ、この映画。麻薬王のオッサンが性転換をして、女になりたいので執刀医を紹介してクレメンスと黒人女性弁護士を拉致する。
それから、数年後、パリに移住した黒人弁護士はあり得ない偶然で、性転換した麻薬王と再会する。
ここで、性転換した麻薬王と弁護士のミュージカルが始まるが、普通に話せばよくないか?歌うなら、歌うで、ちゃんと、スイニー・トッドみたいに歌詞を作らなければいけないのに、普通の会話を節につけて歌うだけなのだ。フラッシュモブかよ?
で、麻薬王が弁護士に依頼したかったのは、故郷に残した離れ離れの自分の子供達と同居したいから何とかしてクレメンス。と、無茶振りをかます。
何とか、子ども達と、母親を自分の邸宅に引き取るも、母親は麻薬王と結婚していた時に
昔、付き合っていたヒモ男と再婚しゅるの❤️
と、女になって出直した麻薬王に三行半を叩きつける。怒った麻薬王!元嫁に渡していた財産の口座を凍結果汁は新しくいこう!の台詞は中居正広!
怒った元嫁!なんと孫六!女になって出直した野口五郎こと麻薬王を拉致して、指を二本、切断して、弁護士の所に、指を届ける。
アナタニモ、チェルシー、アゲタイ!
という、メモを発見した黒人弁護士は麻薬王を助ける為に、警察に通報...、しなくて、何故か、
精鋭の八人を呼んで!
と、精鋭部隊と共に、麻薬王を奪還に行く...、うん?何だ、この展開は?
果たして、麻薬王は助かるのか?嫁とは元サヤに戻れるわきゃあないから、それなりのオチがあるのだが、
ここは、歌うシーンじゃないだろう?
というシーンで、ミュージカル調に歌うのだか、
監督?貴方、滑ってますよ?
と、指摘したくなるくらい恥ずかしくなる失笑シーンは誰も突っ込まなかったのか?
トランスジェンダー役に、トランスジェンダー俳優を使ったという所が、評価されているんだろうが、作品としては出来が良くない。
こんな題材だったら、ペトロ・アルモバドルか、パトリス・ルコントに監督させた方が、かなり面白くできるぜ?今回は監督の力量不足で、この程度の映画になっちゃったよね。
劇場で見るまでもない映画。
ミュージカル映画だったら、
カタクリ家の幸福か、だいじょうぶマイフレンドがお勧め。
俺、だいじょうぶマイフレンドは生涯ベスト10に入る映画で、何年かかってでも、だいじょうぶマイフレンドの上映会を開くのが夢なんだ!
どうしようかなぁ?とりあえず夢グループに電話だ!先ずはそれからだ!
お見事
幼い頃からそう願っていたが
自分の世界では許されなかった
葛藤。
麻薬王としてのそれまでの自分を塗り替えるかのように、性転換をして新しい自分になり、躍起になって善を重ねていくエミリア。女性の身体になっても妻や子供への愛は変わらない。
そして同時に心休まる女性へも惹かれていく。
しかしそれでも過去の罪や仲間は消えるわけではなく、そのしがらみを断てず最期を迎える。
このフランス映画は面白いです。
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