劇場公開日 2025年3月28日

「際どいイロモノに見えるが引き込まれた」エミリア・ペレス La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

未評価 際どいイロモノに見えるが引き込まれた

2025年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 トランスジェンダーである事を隠してメキシコの麻薬王として悪行の限りを尽くして来た男が、性適合手術を受けて全く別人の女性として生き直そうとするお話です。もうそれだけで、何じゃそれ?ですよね。しかも、その物語がミュージカルとして展開するのです。いかにもイロモノ映画の匂いがするのですが、とんでもありませんでした。

 ミュージカル・シーンが重いテーマをスピーディーに牽引し、「この話、一体どこに行くんだ?」と一気に引きずり込まれました。様々な場面での歌がよいアクセントを生み、非常にテンポの良い展開で突っ込み所も吹っ飛ばします。そして、最後に何とも言えぬ思いが残るのでした。これ、一体、何の映画だったんだろう。でも、その疑問が心地よいのです。

 そして、この種の物語では、LGBTがネタや驚かせの道具として消費されているのではないかと言う点が気になります。それは、現実社会に生きる性的マイノリティーの人々への偏見や嘲笑を煽る事になり兼ねないからです。しかし、本作は際どい線を進みながらも、僕は違和感は感じませんでした。

La Strada
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