「「人生はやり直しが効くのか?」という問題」エミリア・ペレス Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
「人生はやり直しが効くのか?」という問題
人間、誰しもが自分らしく生きたいと望むものだが、自分らしく生きることを許容しない社会状況があるのも現実だ。リタやマニスタ(エミリア)、さらにマニスタの妻ジェシーやエミリアが後に出会うエピファニアなどの主要な登場人物たちは、問題はそれぞれ異なるが、一様に自分の人生に違和感を覚えながら生きている。
それぞれが抱える怒りや悲しみ、葛藤などを如何にして昇華していくのか、閉塞感のある人生から抜け出すために再スタートすることで問題は解決するのか?ひょっとするとやり直して一見変わったように見えても、実質的な部分では変わっていないのかも知れない。そして、結果的に変われなかったことを因果応報と言うこともできるだろう。
振り返って、一度つまずいた者にセカンドチャンスをなかなか与えようとしない日本社会で皆がもう少し寛容になれば、誰にとっても、もっと生きやすい世の中になるのになぁ、と無いものねだりをしたくなった。
実は、事前情報をあまり入れずに劇場に行ったため、これがミュージカル作品だとは知らなかった。賛否はあろうが、曲にするからこそ胸に直接刺さってくるということもあるだろう。劇中曲が幾つかエンドロールでかかるのを改めて聞いて、全体を思い返しながら歌詞に注目すると、その想いがより強まる。
酸いも甘いも知った大人向けのミュージカル作品だ。
コメントする